期待通りの結果を出し続ける可能性も十分!?
文/浅田知広、写真/森鷹史
サトノダイヤモンドと
ロイカバード、2度目の
「5億円対決」となった今年の
きさらぎ賞。「高馬は走らない」「良血馬は走らない」などと言われたのも今は昔。いや、頭に「期待通りには」とつければ「走らない」馬も多々いるが、なんだかんだと
〇〇の弟やら、
〇年の××で〇億円とか、そんな馬の活躍も多々見られるのが今の中央競馬。
サトノダイヤモンドは2連勝を飾り、
新馬戦では後れを取った
ロイカバードもその後2連勝と、少なくともここまでは、きっちりと結果を出してきた。
その再戦となった今回。
新馬戦は同じ京都の芝コースでも2000m内回り、そして重馬場。一方、今回は外回り1800m戦の良馬場である。
サトノダイヤモンドは2勝目も内回り(阪神)の稍重だったことを考えると、初勝利をこのコースの良馬場で挙げた
ロイカバードに逆転のチャンスもあるかもしれない、というのが週前半の大枠であった。
しかし。いざフタを開けてみれば、
サトノダイヤモンドの単勝最終オッズは1.2倍。まあ1倍台前半の馬でも、
ファンの「期待通りには」走らず②着、なんてレースもあるものだが、
大方のファンが下した評価は、逆転のチャンスなんてありません、というもの。ついでに個人的な話をすれば、現在馬券絶不調の父が
「明日はサトノダイヤモンドの単勝でも買って勢いつけようか」とか言いながら、結局は買っていない時点で
サトノダイヤモンドの勝利は約束されていた……ような気もしないでもない。
ともあれ、
サトノダイヤモンドが圧倒的な人気を背負ってレースはスタート。
サトノダイヤモンドの数少ない
不安点をひとつ挙げれば、2戦続けてゲートをやや斜めに飛び出していたことだったが、今回は大外9番枠。スタート自体もスムーズなもので、内の各馬の出方をうかがいつつ、すんなり中団と確保した。
対する
ロイカバードは、その後方で
サトノダイヤモンドをマークする展開、ではあったのだが。見た目上は「マークしている」というよりは、行きたがるのを「なんとか後方で我慢している」という印象。相手云々以前に、まずは自分の力を出し切ることから、というようにも見受けられた。
後続を3馬身ほど離して逃げた
オンザロックスの、前半800m通過は47秒5、そして1000mは59秒8。ルージュバックが勝った昨年の61秒6など、少頭数で超スローになる年もある
きさらぎ賞だが、今年はまずまずといったところだ。
こうしてゲートも展開も問題なしとなれば、あとは流れに身を任せていれば自然と勝利が手に入る、と言わんばかりの
サトノダイヤモンドのレースぶり。先に脚色が怪しくなったのは、中盤まで力んだ走りになった
ロイカバードの方で、4コーナーで
サトノダイヤモンドの直後にはつけたものの、ここから馬体を併せるまでには至らず、直線入り口で早くも勝負は決してしまった。
一方の
サトノダイヤモンドは、軽く気合いをつけた程度であっさりと前を捕らえる態勢。残り200mを切り、抜け出してからムチが一発は飛んだものの、これは今回の勝負というよりは、次へ向けてしっかりした競馬をしておこう、という程度。
ロイカバードと、これを交さんと迫る
レプランシュの②着争いを尻目に、
余裕十分に3馬身半差の完勝だ。
これで
無傷の3連勝、文句なしに
皐月賞制覇へ王手をかける一戦となった。もっとも、デビュー前から相当評価が高かった馬だけに、どこまでいっても「期待通り」レベルなのかもしれないが、どこまでだろうと、そんな
期待通りの結果を出し続ける可能性も十分にあるだろう。
来週、
共同通信杯での復帰が予定されているハートレーをはじめ、まだまだ未対戦の素質馬も多い今年の3歳世代。そんな中で、
サトノダイヤモンドがどんな輝きを見せてくれるのか、今後の頂上決戦が非常に楽しみになってきた。