400kgでの優勝は快挙と呼ぶに相応しい
文/編集部(M)
出走馬13頭の
前走を見ると、
4角10番手以下の馬がいなかった。もっとも後方の位置取りだったのが
ノットフォーマルで
4角8番手。
メイショウスザンナが4角7番手、
ダンツキャンサーと
ナムラアンが4角6番手で、
4角5番手以内の馬が13頭中9頭を占める組み合わせだった。
これだけ先行型が揃えば、
流れは速くなりそうと考えるもの。ところが、こんな時に限って隊列がすんなり決まると
速くはならないんですね……。
リラヴァティがハナに立ち、
シャルールが2番手に収まると、
呪文がかけられたかのように各馬の動きが止まり、
緩い流れになった。
1000m通過は
61秒5で、これは00年に
クイーンSが古馬混合重賞となってからもっとも遅かった。61秒台となったのは11頭立てだった03年(
61秒4)だけで、その時は
オースミハルカが逃げ切って、
ファインモーションと
テイエムオーシャンを撃破している。
今年の
函館記念は稍重馬場で、
マイネルミラノがマイペースの逃げで快勝したが、今回もあの時と同じように
内を回った馬が上位に入った。2番手から早めに先頭に立った
シャルールは
上がり34秒0を計時し、それを競り負かした
マコトブリジャールは
上がり33秒8だった。
メンバー中最速の上がりは
メイショウスザンナの33秒6で、2位は
ナムラアンの33秒7だったが、後方追走では物理的に届かない流れになってしまった。
①着
マコトブリジャールと②着
シャルールの着差は
アタマ差で、これは期せずして
アイビスサマーダッシュの①着(
ベルカント)・②着(
ネロ)と同じ。
アイビスサマーダッシュは優勝した
ベルカントが
1番人気で、
ネロが
2番人気だったが、
クイーンSは
シャルールが
1番人気で、
マコトブリジャールは
9番人気だった。
着差は同じでも人気は異なっていたわけだが、①着が
重賞ウイナーで、②着が
重賞未勝利馬というのは共通している。
マコトブリジャールは前走の
福島牝馬Sが15番人気での勝利でフロック視された部分があったのだろうが、
勝ち切るだけの何かを掴んでいたのかもしれない。
マコトブリジャールは出走馬中でもっとも小柄な
400kgで、これは
クイーンSが北海道で開催されるようになってからの優勝馬の中で
最軽量。というか、86年以降に行われた北海道の芝重賞でもっとも軽かった優勝馬は、
94年札幌3歳Sの
プライムステージと
00年函館記念の
クラフトマンシップで
416kgだったから、これも大きく更新した。
410kgを切る馬が86年以降の北海道の芝の
準OP以上を勝ったのも今回が初めてで、
1000万クラスでも3頭しかいなかったので、今回の
マコトブリジャールは
快挙と呼ぶに相応しい優勝だろう。
ちなみに、1000万クラスで優勝した3頭とは、
93年津軽海峡特別(函館芝1200m)の
キャリイアウト(402kg)、
98年阿寒湖特別(札幌芝2600m)の
アスクファンタジー(400kg)、
15年道新スポーツ賞(札幌芝1500m)の
セウアズール(406kg)。今回の
マコトブリジャールと同じ
400kgで
98年阿寒湖特別を勝利した
アスクファンタジーは、鞍上が
四位騎手だった。
86年以降、北海道の芝で馬体重が
418kg以下で優勝した馬は226頭いて、そのうち
騎手の最多勝はなんと
四位騎手(19勝)だった(今回の
マコトブリジャールで20勝目)。小柄な馬を北海道で勝たせる術を熟知していた鞍上だったか……。
マコトブリジャールは
重賞連勝となったことで、今後は
斤量を多く背負うケースが出てくるだろうし、他馬からのマークも厳しくなるかもしれない。それらを跳ね返せるかが今後のポイントになってきそうだ。
シャルールは勝ちに等しい内容だったが、気になるのは
リラヴァティだろう。前走の
マーメイドSでは差し返す根性を見せて
初タイトルを獲得したが、今回はマイペースで運びながらあっさりと後退してしまった。
リラヴァティは古馬になってから5連対を記録しているが、その5戦の馬体重は
450~462kg。今回は中6週の臨戦だったが
4kg減での448kgで、激戦だった
マーメイドSの影響があったのだろうか。