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さすがオークス③着馬、秋華賞が大いに楽しみに
文/浅田知広、写真/川井博


今年から重賞に昇格した紫苑S、なのだが。99年まで、この時期のトライアル競走はG3「クイーンS」。後から紫苑Sを重賞にするくらいなら、札幌の古牝馬重賞を別の名前で創設したほうが良かったんじゃないか、と思わなくもない。まあ、後になって考えれば、という話ではあるのだが。

今年のポイントは、その重賞昇格がどんな影響を及ぼすのか。単純に考えれば、これまでローズSにまわっていた実力馬の一部が、こちらに駒を進めるようになる、というところだろうか。

というわけで、紫苑S過去10年の「前走オークス出走馬」の成績を調べると、計21頭で[0.1.3.17]。06年②着のキープユアスマイル(オークス⑫着)1連対のみという成績もちょっとヒドいが、年平均で2.1頭、昨年などゼロだったわけで、秋華賞に繋がりづらいのも仕方ないかという印象だ。

対して今年は、オークス③着馬ビッシュをはじめ計5頭が出走してきた。ここ10年の最多出走は11、12年の4頭だったので、この数字を見ただけでも「G3昇格効果」は出ていると言えるだろう。また、翌週のローズSでは、前走オークス組が過去10年で[8.5.2.33]と抜群の成績を収めていたが、紫苑Sにも分散するようになると、条件戦組の好走が増える可能性もあるだろうか。

もっとも、オークス組がここで好走するかどうか、というのは別の話。そのオークス最先着ビッシュが単勝3.1倍で1番人気には推されたものの、フローラSビッシュ(⑤着)に先着したパールコード(②着)が3.9倍。そして5.8倍で牝馬同士の500万を勝った直後のヴィブロスという人気順。オークス組が、さほどアテにはされていないことが現れていた。

レースを引っ張ったのは、そのオークス⑰着のゲッカコウ。同⑥着のフロンテアクイーンオークスとは一転して前目に付け、オークス3番人気(⑩着)のエンジェルフェイスと、同⑭着ウインファビラスも好位と、オークス組の多くが前を占める中、注目のビッシュは馬群の後方を追走していた。

1000mの通過タイムは59秒6、開幕週の馬場とメンバーを考慮すれば、平均やや速めくらいか。少なくとも遅くはなかったのだが、そんな中で最後方からオークス馬ウメノファイバーの孫ファータグリーンが一気にスパートして先頭集団へ。この馬1頭が来ただけでも、3コーナー手前でもう少し息を入れたかった先行勢には辛くなる仕掛けだ。

それに加えて、これを追いかけてビッシュにまで来られてはたまらない。直線入口ではもうビッシュが先頭に並びかけ、あとは抜け出すタイミングをはかるだけという楽な手応えだ。

他のオークス組では、内でいったん位置取りを下げていたフロンテアクイーンが外に出して追撃に入ったものの、そこからは突き放される一方。かわって脚を伸ばしたのは、3コーナーで不利を受けたが気持ちは切らさず脚は溜まったヴィブロスで、③着には3馬身半差をつける②着に突っ込んだ。しかし、前のビッシュとも2馬身半。勝ち切っていれば「ヴィルシーナの全妹が」云々というところだが、今回は引き立て役、ということになってしまった。

とにもかくにも、「さすがオークス③着馬」という強さを見せたビッシュ。これまで唯一馬券圏内を外したフローラSは、後方待機から不向きな展開にはまって⑤着。そして前走のオークスは、坂上で先頭の場面を作ったものの③着敗退。上位9頭中8頭を4角9番手以下の馬が占める中、5番手から粘ったのは立派なのだが、言い方を変えれば「再び展開に泣いた」という感も否めなかった。

一方で今回は、先に動いたファータグリーンをいい目標として、3コーナーから躊躇なく(鞍上がというより馬が勝手に、という感もあり)ロングスパート。オークスに比べれば楽な相手関係で、しっかり自分の力を出せる形にもなったなら、このくらいの結果はついてくる。

さあ次は、順調なら女王シンハライトとの再対決になる秋華賞。過去10年、紫苑S組秋華賞[1.0.0.39]……という成績も、重賞に昇格した今年はもう気にしなくてもいいだろう。どうも今年のオークスはシンハライトとチェッキーノの一騎打ちだった印象が強いが、ビッシュの位置取りが上位2頭とは違ったがゆえに割って入れなかった、という見方もできる。今回、3角過ぎから前を一気に飲み込んだ脚は、単に「G3だから」では片付けられないもの。力をつけて雪辱なるか、秋華賞が大いに楽しみだ。