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「新潟2歳S以来重賞2勝目」はかなり凄いこと!?
文/編集部(T)、写真/川井博


朝から降っていた雨がレース直前にやみ、心配された馬場も回復して、京成杯AHは良馬場での開催となった。

このレースはサマーマイルシリーズの最終戦として位置づけられる。レース前までは中京記念勝ち馬ガリバルディ関屋記念勝ち馬ヤングマンパワーが10ポイントでトップに立っていたが、この2頭はともにここは不出走だった。

このシリーズは対象レースで1勝以上して、かつ12ポイント以上を獲得することがチャンピオンの条件となるので、この時点で前述の2頭に優勝の可能性はなし。ここまで2ポイント以上を獲得していたダノンリバティ、ダンスアミーガ、ピークトラム“勝てば”チャンピオンだったが、この3頭は掲示板外に沈んだことで、今年のシリーズチャンピオンは12年以来の該当馬なしとなった。

勝ったのはダービー以来で、1番人気に推されたロードクエスト。出負け気味のスタートを切ったが、3コーナー過ぎから外を通って一気に先団に進出。長く脚を使い、メンバー最速の上がり34秒2で押し切る強い内容。昨年の新潟2歳S以来、1年ぶりの重賞2勝目となった。

サラっと流しそうなところだが、ここでハッと気づいた。新潟2歳S以来重賞2勝目』というのはかなり凄いんじゃないだろうか?

というのも、過去のサマーマイルシリーズ結果を振り返ると、対象の3レースで2回以上掲示板内に入ったのは14年の関屋記念、京成杯AHを連勝したクラレントがいるが、この年は2レースともに新潟芝外1600mで施行されている。それ以外のチャンピオンは、いずれもどこかのレースを勝ち、あとの2レースで掲示板外に敗れた馬だった。

ご存じの方も多いと思うが、これはシリーズ対象となっている3コース(中京、新潟、中山)のうち、複数のコースで好走するのが難しいことの証明だろう。

調べてみると、現在シリーズ対象となっている3コース(12年以降の中京芝1600m、01年以降の新潟芝外1600m、中山芝1600m)で、異なるコースでそれぞれ重賞を勝ったのはわずかに3頭(ブレイクタイム、マイネルレコルト、セイウンワンダー)だけ。ロードクエストは4頭目となった。

マイネルレコルト、セイウンワンダーは2歳G1馬だし、ブレイクタイムも01年安田記念②着の実力馬。異なる性格を持つコースで好結果を残し続けるのは、それだけ実力がなければできないのだろう。

「自分、不器用ですから」と言った故・高倉健さんではないが、失礼ながらロードクエストはこれまでの戦績やレースぶりを見て、直線距離の長いコースで直線を向くまでジッとして力任せに追い込んでくる、“不器用なタイプ”と思い込んでいた。

そんなロードクエストが、器用さが要求されると言われる中山のコーナーでスムーズに加速し、前との差を詰めてきたレースぶりに、少なからず驚いたわけだ。

先週の新潟記念レースインプレッションでも書いたが、このレースができた理由としては、できるだけコーナーを大きく回ってスピードのロスを抑えた池添騎手のファインプレーも見逃せないだろう。今後は揉まれた時の対応が課題になりそうだが、外を通れる展開になればコースは問わないのではないだろうか

今後は東京の富士S、京都外回りのマイルCSということが伝えられているが、どちらのコースも中山よりは走りやすいはず。3歳で斤量面の恩恵も見込めるだけに、G1戦線でも目が離せない存在になりそうだ。

ところで、今年で5回目となったサマーマイルシリーズだが、結果的に2回がチャンピオンなしとなってしまった。

その理由として、3コースがこれだけ性格が違うことが分かってしまったこともあるのでは。それだけに、今後はますますシリーズチャンピオンを狙う馬が減ってしまうのではないだろうか。

こういったシリーズは話題をそれなりに呼ぶし、形骸化してしまうのはもったいない。期間を延ばして対象レースを増やすなど、何らかのてこ入れを望みつつ、ロードクエストのような馬が今後も出現し続けてくれることを期待したい。