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人馬ともに進化を遂げている!?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


道中のペースが上がらなさそうなメンバー構成で、予想通り、今年の府中牝馬S淡々とした流れになった。レースの上がり3Fは33秒9で、これは超スローペースとなった2013年(レース上がり32秒8)に次いで、近10年のこのレースで2番目の速さ。出走馬13頭のうち、8頭が33秒台の上がりを計時するレースになった。

スローペースを前で運び、速い上がりでまとめるのは、最近のスマートレイアーの得意とするところで、「◎」は同馬にした。府中牝馬Sは6歳以上の馬が勝てておらず、4~5歳の馬たちよりも1kg重い斤量55kgを背負っている点は気にはなったが、立ち回りの上手さを評価して上位と考えた。

「メインレースの考え方」でのチェックポイントで、唯一すべてをクリアしたのがクイーンズリングだったが、同馬は「○」にした。過去の好走馬の条件を揃って満たしていたのだから、本来は同馬を「◎」にすべきだったが、どうしても気になることがあった。

クイーンズリングはこれまでの重賞2勝が1400mで、秋華賞②着の実績もあったが、前進気勢が強く、前走の米子S(②着)でも行きたがる面が見られた。今回は距離が1800mに延びるし、冒頭で記した通り、ペースが上がらないことが想像されたので、折り合いを欠く懸念を抱いていた。

それでも伸び盛りの4歳馬だし、折り合いを付けやすそうな枠順に入ったら「◎」にしようと考えていた。ところが、金曜日午前に枠順が発表されると、クイーンズリングは大外の8枠13番に……。これを受けて割り引いたことで、「○」としてしまった。

スタートしてからのクイーンズリングは、やはり序盤に行きたがる様子を見せていたが、直線に入っても手応えは良く、追い出されるとしっかりと伸びて決定的な差を付けた。メンバー中最速の上がりはシュンドルボン33秒3だったが、クイーンズリングのそれは33秒5で、メンバー中2位。あの位置からこの上がりを使われては、他馬は成す術がなかった。

「◎」としたスマートレイアーは③着で、上がり33秒6を計時したから自身の脚は使っていたと思われる。ただ、驚いたのは、道中で同馬よりもクイーンズリングマジックタイム前にいたことだ。クイーンズリングはまだしも、マジックタイムは後方の位置取りだと思っていたので、改めてルメール騎手の騎乗に驚かされた。

M.デムーロ騎手ルメール騎手については、日本で通年の免許を取得してから1年半が経過し、どんな戦法を採るジョッキーか、多くのファンが熟知してきたと思う。短期免許で来日していた頃はどんな馬でも上位に持ってくるような印象があったが、通年で騎乗し、意外に馬券の買い時・消し時もあるように感じているのではないか。

ルメール騎手よりもM.デムーロ騎手の方が成績にムラがある印象で、一時はスタートで後手を踏むことも目に付いていたが、最近はそのようなケースはずいぶんと見なくなったような気がする。

試しに、昨年3月以降のJRAのレースで、M.デムーロ騎手4コーナーで10番手以下にいた率を調べてみたら、昨年が26.3%だったのに対して今年は23.6%。今年の7月以降に限ると20.5%となっていた(今年は10月16日まで)。

騎乗馬の得意の脚質を無視した算出なので、乱暴であることは承知しているけれど、騎乗ぶりの変化を表す一端でもあるのではないか。M.デムーロ騎手ルメール騎手超一流であることは間違いなく、通年でJRAのレースに騎乗することで、彼らもアジャストしてきている面はあるのだろう。

クイーンズリングは次走がエリザベス女王杯マイルCSマジックタイムは次走がマイルCSのようで、今回は両馬ともそれを見越した騎乗だったと思われる。あの位置を取りに行っても、次走に悪影響は出ないと考えていたのだろうから、次走で両馬の予想をする際はそのことを頭に入れておきたい。

余談だが、M.デムーロ騎手は昨年以降のJRA重賞で23勝を挙げていて(10月16日終了時点)、前走に続いて継続騎乗の馬で優勝したのは今回で5度目。その5頭はいずれも前走で連対圏に入っていた。継続騎乗で前走が③着以下だった馬に騎乗した時は[0.2.2.14]という成績。

今回のレース後のインタビューでM.デムーロ騎手が語っていたように、昨年のエリザベス女王杯でのクイーンズリングは直線で何度も前が狭くなる場面があって⑧着(0秒3差)だった。

昨年はシュタルケ騎手の騎乗で、4コーナー12番手という位置取りだった。今年出走となればM.デムーロ騎手の継続騎乗となりそうで、果たしてどのような位置でレースをしてくるか。人馬ともに進化した姿が見られて不思議なさそうだが……。