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絶妙なペースの逃げと地力強化が噛み合って快勝
文/山本武志(スポーツ報知)、写真/森鷹史


この秋、来年からの大阪杯のG1昇格が発表されるとともに、ここから天皇賞・春宝塚記念と3連勝すれば、褒賞金2億円が出ることが発表された。秋は00年から天皇賞・秋ジャパンC有馬記念を3連勝した馬に褒賞金が出されているが、今までに獲得した馬はテイエムオペラオー(00年)、ゼンノロブロイ(04年)の2頭だけ。

古馬の中長距離G1・3連勝は非常に困難だが、秋に関して言えば2か月の間に中3週、中3週で行われる過酷なローテ。「皆勤」するだけでも大変なことだ。実際に今年は天皇賞馬モーリスが香港Cへの出走で回避したため、褒賞金の有資格馬が不在だけではなく、天皇賞からの転戦はわずかに2頭。非常に珍しい年だった。

レースはキタサンブラックが大方の予想通りにハナへ、そして楽々と単騎に逃げる道中のペースは明らかに緩かった。前半1000mが61秒7。完全に自分の形に持ち込んだレース運びは完璧だった。余力を十分に残した直線では後続のしれつな叩き合いを尻目に、自らの脚色はまったく衰えることなく、終わってみれば混戦ムードはどこへやら、2年前のエピファネイア(4馬身差)に続く、過去10年では2番目に大きな着差となる2馬身半差の圧勝でG1・3勝目を挙げた。

逃げる形で結果を出していた今春、キタサンブラックの強さについて、福永Jがこんなこと言っていた。「あの馬は逃げなければいけない逃げ馬じゃなくて、逃げなくてもいい逃げ馬。だから強い」。本質的な逃げ馬なら同型の出方に応じて、自らが刻むペースが乱れる。しかし、武豊騎手の手腕抜きに語れないとはいえ、キタサンブラックは自分のペースで走ることに秀でた馬なのだ。

この日も3ハロン目から6ハロン連続で12秒台のラップ。今まで自身の上がり3ハロン33秒台が2回しかないキタサンブラックにとって、ペースを落としすぎての瞬発力勝負は得意ではない。そのことを頭に入れた上で絶妙なラップを刻んだ。そして、まだ誰も仕掛けてこなかったラスト4ハロンからジワッと11秒台のラップへ上げる。これでは後続もお手上げだ。

ただ、同じように絶妙なラップを刻んだ3走前の天皇賞・春が4センチ差の辛勝だったのに対し、さらに相手関係が強化されたはずの今回は2馬身半差。決して展開に恵まれただけの勝利ではなく、着実な地力強化を感じさせる走りでもあった。

さて、冒頭の話に戻りたい。今回は上位3頭が天皇賞組以外だった。これはディープインパクトが圧勝した06年以来のこと。ただ、この上位3頭は「天皇賞パスでジャパンC」というローテが当初からの既定路線だった。キタサンブラックと②着のサウンズオブアース京都大賞典のレース前から、この後はJCから有馬記念と公言。③着のシュヴァルグランも当初は京都大賞典で復帰して、ジャパンCへと向かうという青写真だったが、夏バテで帰厩が遅れ、アルゼンチン共和国杯に切り変えたものだった。

最近のジャパンC有馬記念との連動性が強くなっているが、天皇賞・秋との関係性が希薄になってきている気がする。この3年の天皇賞・秋の勝ち馬はジャスタウェイ、スピルバーグ、ラブリーデイ。2000m前後がベストの馬が多く、2400mでの好走はイメージしづらい馬たちだ。

今年は天皇賞・秋で②着だったリアルスティールが挑んだが、直線で⑤着に沈み、天皇賞にとらわれることなく、このレースに狙いを定めて、「余力」を残した組による上位独占。近年の秋の古馬中長距離路線の流れを象徴しているような結果になった。この傾向は来年以降も覚えておきたいと思う。

さて、いよいよ来月末には有馬記念。実はこのレースの前からグランプリの本命候補は大体、決めていた。ただ、このレースを見て、その思いはほぼ確信に変わった。シュヴァルグランだ。

昨秋から今春にかけて、中山と同じく急坂のある阪神で抜群の強さを見せつけ、秋に狙うなら有馬記念とずっと思ってきた。今回は大外枠で常に外を回らされながら、直線では力強く脚を伸ばしてきた。春からの成長を感じるには十分すぎる内容。もちろん、中間の気配を取材してからになるが、今年はこの馬で勝負したいと思っている。