香港スプリントの考え方
香港スプリントには、日本から
ビッグアーサーと
レッドファルクスの2頭が参戦する。
ビッグアーサーは今年の
高松宮記念の覇者で、
レッドファルクスは
スプリンターズS勝ち馬だが、昨年の
高松宮記念を制したのが香港の
エアロヴェロシティで、昨年の
スプリンターズSを勝利したのは
ストレイトガール。
エアロヴェロシティは一昨年の
香港スプリントの優勝馬で、同レースの③着が
ストレイトガールだったから、その比較で考えれば、今年の
ビッグアーサーと
レッドファルクスにもチャンスが十分にあっていいはずだ。
エアロヴェロシティは一昨年の
香港スプリントを勝ち(昨年は不出走)、その②着だった
ペニアフォビアが昨年の
香港スプリントを制した。レーティングはこの2頭が
119で、同じ119に香港の
ラッキーバブルズがいて、3頭がトップタイで並んでいる。
ビッグアーサーのレーティングは
117で、
レッドファルクスは
116だ。
近2年の
香港スプリントで連対している
ペニアフォビアは、それぞれの前走の
ジョッキークラブスプリントでも連対圏に入っていた(昨年が②着、一昨年が①着)。
ジョッキークラブスプリントの連対馬は5年前に
エントラップメントが②着に入っていて、3&4年前は前走で日本の
スプリンターズSを制していたロードカナロアが優勝している。
つまり、近5年の
香港スプリントは、前走で
ジョッキークラブスプリントか
スプリンターズSで
連対圏に入っている馬が連対している、ということだ。
今年の
ジョッキークラブスプリントは、①着が昨年の
香港スプリント③着馬の
ノットリスニントゥミーで、②着が
ラッキーバブルズ。
エアロヴェロシティは③着で、
ペニアフォビアは⑦着に敗れた。
日本の
スプリンターズSは、ご存知の通り、
レッドファルクスが外から差し切り、
ビッグアーサーは直線で前が詰まって⑫着となった。
2012年・2013年とこのレースを連覇した
ロードカナロアは、父
キングカメハメハ×母父
ストームキャットという配合だった。5年前に優勝した
ラッキーナインは父
Dubawi×母父
グリーンデザート(
ダンチヒ系)で、昨年の勝ち馬
ペニアフォビアは
Dandy Man(
デインヒル系)の産駒。
香港スプリントは
ストームバードや
ダンチヒという
ノーザンダンサー系の中でもスピードタイプの血を持つ馬がよく勝っているわけで、父か母父が
ストームバード系か
ダンチヒ系(
デインヒル系)の馬が近5年すべてで連対し、4年で優勝している。この2系統を持つ馬は評価を上げておきたい。
最後に
近走成績も好走ポイントに加えると、近5年の優勝馬はいずれも
近2走以内に②着以内の好走歴があった。一昨年にこのレースを優勝した
エアロヴェロシティは前走の
ジョッキークラブスプリントで⑭着に大敗していたが、最内枠で直線で何度も前が詰まっていた。同馬も2走前には勝ち鞍を挙げていたので、
近2走の成績で取捨を決めたい。
以上の3点を
香港スプリントの好走ポイントとして扱い、該当馬を整理すると次のようになる。
[1]
前走のジョッキークラブスプリントかスプリンターズSで連対圏に入っている馬(近5年すべてで連対)
[2]
父か母父がダンチヒ系(デインヒル系)かストームバード系の馬(近5年すべてで連対)
[3]
近2走以内に連対歴のある馬(近5年すべてで優勝)
G |
馬番 |
馬名 |
[1] |
[2] |
[3] |
1 |
3 |
ペニアフォビア |
|
○ |
|
2 |
1 |
エアロヴェロシティ |
|
|
|
3 |
10 |
ストラスモア |
|
○ |
|
4 |
4 |
ノットリスニントゥミー |
○ |
○ |
○ |
5 |
2 |
ラッキーバブルズ |
○ |
|
○ |
6 |
12 |
テイクダウン |
|
○ |
○ |
7 |
5 |
アメージングキッズ |
|
○ |
○ |
8 |
7 |
レベルデイン |
|
○ |
○ |
9 |
14 |
スーパージョッキー |
|
|
○ |
10 |
9 |
レッドファルクス |
○ |
|
○ |
11 |
13 |
ピュアセンセーション |
|
|
○ |
12 |
11 |
グラウル |
|
○ |
○ |
13 |
6 |
ビッグアーサー |
|
|
○ |
14 |
8 |
サインズオブブレッシング |
|
○ |
○ |
※表中Gはゲート番号。
8頭が複数で該当し、
ノットリスニントゥミーがフルマークとなった。
ジョッキークラブスプリントを制した
ノットリスニントゥミーは、前走が6戦ぶりの③着以内で、10頭立てで
8番人気という低評価だった。2走前に⑧着に敗れていた影響もあったのだろうが、その2走前は
ゲート番号1番で好位のインを追走しながら伸びきれなかったもの。前走は
ゲート番号8番で3番手から馬場の中央に出て押し切った。
ある程度の先行力はあるが、
包まれると良くない印象があるだけに、今回は
ゲート番号4番というのがどう出るか。ちなみに、15年春以降に①着となったことは5度あるものの、その次走は⑥着、⑥着、⑦着、⑧着ではある。
ジョッキークラブスプリントで②着となったのが
ラッキーバブルズで、同レースの
1番人気はこの馬だった。昨シーズン以降は[5.3.1.1]で⑤着以下はなく、
芝1200mに限れば①①②①①②①②着と連対圏を外していない。
ラッキーバブルズは後方に控えて外から追い込むタイプで、脚質的には日本の
レッドファルクスと似ている。今回は
ゲート番号5番で(前走はゲート番号6番)、前走よりも出走頭数が増えるので、直線で上手く捌けるかが焦点だろう。
レッドファルクスは
ゲート番号10番で、差し込みやすい位置に入ったと言えそう。
ロードカナロアが
香港スプリントを連覇した時の前走はともに
スプリンターズSで、2012年が
1分6秒7、2013年が
1分7秒2という勝ち時計だった。
香港スプリントでの勝ち時計は、2012年が
1分8秒5、2013年が
1分8秒2。
中山競馬場よりも
シャティン競馬場の方が時計はかかりそうで、
レッドファルクスはダートでの勝ち鞍もあり、パワーを求められる馬場にも対応できそうではある。今回も流れが合えばチャンスが出てくるのではないか。
ビッグアーサーは
高松宮記念を1分6秒7で制していて、道悪馬場での勝ち鞍もあり、500kgを超える大型馬でもあるから、こちらも力の要る馬場に対応力がありそう。
ラッキーバブルズや
レッドファルクスが後方に控えれば、それらより
ビッグアーサーの方が前になりそうで、展開的な
レースのしやすさは出てきそう。
問題は
ゲート番号13番という外枠になったことだろう。昨年は
ペニアフォビアがゲート番号14番で優勝したが、逃げ切りだった。00年以降の
香港スプリントでゲート番号がふた桁で優勝したのは、昨年の
ペニアフォビア以外だと03年の
サイレントウィットネス(ゲート番号11番)と2013年の
ロードカナロア(ゲート番号12番)だけになる。
ビッグアーサーはテン乗りの
ムーア騎手とのコンビで強さを見せられるか。
アメージングキッズは前走の
ジョッキークラブスプリントで⑤着までだったが、外を回って伸びかかりながら最後に脚が鈍ったもの。2走前の
プレミアボウル(芝1200m)では後方から内目を追い込んで
ラッキーバブルズとクビ差(②着)の接戦をしていて、今回は
末脚勝負に徹するのではないか。
モレイラ騎手が前走に続いて騎乗するし、昨シーズン以降は
2戦続けての③着以下がないので、巻き返しがあって不思議なさそうだ。
レベルデインは前走でムーニーバレー競馬場でのG1・
マニカトS(芝1200m)を制したオーストラリア調教馬。前走は
道悪馬場で中団のインを走り、空いた内を抜けて押し切ったもので、勝ち時計は1分10秒99だった。今回は時計がポイントになりそうだ。
サインズオブブレッシングは今夏に
モーリスドゲスト賞(芝1300m)を逃げ切ったフランス調教馬で、前走の
英チャンピオンスプリントS(芝1200m)は最後まで粘って④着だった。このメンバーでも序盤のスピードでは引けを取らなさそうだが、先行馬には厳しそうな
ゲート番号(14番)となった点がどうか。
アメリカ調教馬の
ピュアセンセーションも先行型で、前走は
BCターフスプリントで早めに逃げ馬を追いかけて③着に粘り込んだ。この馬も良いスピードがあるものの、
ふた桁のゲート番号(11番)というのが気になる。
サインズオブブレッシングが④着となった
英チャンピオンスプリントSで②着まで追い込んだのが
グラウルで、同馬は前走が準重賞だが、ここでも侮れない存在と言えそう。この馬は末脚を伸ばすタイプで、今回は
ゲート番号12番となったので、外を回って
ラッキーバブルズや
レッドファルクスなどとどこまで渡り合えるかだろう。
テイクダウンは前走で
ウィンターボトムS(芝1200m)を制したオーストラリア調教馬で、前走は先行しての押し切りだった。今年9月以降にすでに5戦しているが、[3.1.0.1]という成績で、
1100~1200mでは3戦3勝。前走の勝ち時計は1分10秒27で時計面に課題がありそうだが、脚質に自在性があり、
ゲート番号6番と悪くない位置となった。
一昨年の覇者である
エアロヴェロシティは上表では「○」が付かなかった。昨年に続く連覇を狙う
ペニアフォビアも「○」はひとつだけとなった。
エアロヴェロシティが非該当となったのは、今シーズンの近2走がいずれも
③着で伸び切れていないため。今回はゲート番号2番となったが、近2走もゲート番号は1~2番で、この点に変わりはない。
エアロヴェロシティは今年の
高松宮記念にも出走を予定していたが、疝痛により出走を断念し、その後の
チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)はゲート番号14番で⑧着に敗れた。前走は昨シーズン以降では
最多体重だったので、絞れるのがベターという印象だが、今年の勢いでどこまで動けるか。
ペニアフォビアは近2走が芝1200mで⑦着、⑦着だが、走破時計は前走が
1分8秒68、2走前が
1分8秒72で、これは昨年に
香港スプリントを制した時(
1分8秒74)よりも速い。昨年は
モレイラ騎手がマイペースに落として逃げ切ったが、今年は同型も控えており、楽な競馬はさせてもらえそうにないが……。
ストラスモアは前走の
ジョッキークラブスプリントが⑥着だったが、これが今シーズンの初戦だった。
6ヶ月半ぶりで0秒4差なら悪くないだろう。2走前の
チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)では直線で先頭を窺うレースで
ラッキーバブルズ(②着)と0秒17差(③着)の競馬をしていて、
アメージングキッズ(⑤着)や
ノットリスニントゥミー(⑥着)は直線でスムーズさを欠いていたが、この2頭に先着している。実力はここでも引けを取らないだろう。
印は、香港での末脚の安定感を上位に取って
ラッキーバブルズを「◎」とした。
ビッグアーサーは脚質を考えるとレースをしやすそうに映るものの、
ゲート番号13番が気になって「○」とした。
穴ぐさ💨的存在の「★」としては、今回は末脚勝負に徹してきそうな
アメージングキッズ、休み明け2戦目となる
ストラスモア、自在に動けそうな
テイクダウンを推す。
◎ラッキーバブルズ
○ビッグアーサー
▲レッドファルクス
△エアロヴェロシティ
△グラウル
★アメージングキッズ
★ストラスモア
★テイクダウン
※出馬表、記事内の表は『ゲート番号』の順に表記しています。馬券を買う際は『馬番』での購入となりますので、お間違いのないようにご注意ください。