注目種牡馬が多数お披露目! 新冠地区・日高町の種牡馬展示会レポート
取材・文・写真/村本浩平
2月7日から始まった今年の種牡馬展示会シーズンも、既に折り返し地点を過ぎて、間もなくゴールを迎えようとしている。
今週は月曜日(13日)に新ひだか地区(JBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッド)、火曜日(14日)に新冠地区(ビッグレッドファーム、優駿スタリオンステーション)、そして水曜日(15日)に日高町のブリーダーズ・スタリオンステーションで種牡馬展示会が開催。また、月曜日から水曜日までは日高町のダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックスで、オープンハウス(牧場を開放しながら、決められた時間ごとに種牡馬を展示)という形での種牡馬展示が行なわれた。
火曜日(14日)に行なわれたビッグレッドファームの種牡馬展示会では、9頭の繋養種牡馬を展示。新種牡馬の繋養こそ無かったが、ブリーダーズ・スタリオンステーションからはグラスワンダー、社台スタリオンステーションからはダノンシャンティが新入厩。昨年のフレッシュサイアーランキングで2位となったアイルハヴアナザー、そして今年、初年度産駒を誕生させるゴールドシップも展示されるなど、小頭数ながらバラエティ感溢れる種牡馬展示会となった。
また生産、育成を一手に手がけるビッグレッドファームならではの展示となったのが、先日、牧場で誕生した父ゴールドシップの牝馬(マイネテレジアの17)の展示。尾の付け根が既に白くなっているなど、父と同じ芦毛になりそうな印象だけでなく、父譲りの好馬体は、生産者も高い評価を集めていた。
ビッグレッドファームの後には、優駿スタリオンステーションで種牡馬展示会が開催。今シーズンから繋養される5頭の新種牡馬を含め、22頭の繋養種牡馬が展示された。
最初に姿を見せたのは新種牡馬(ヘニーハウンド、バンデ、アジアエクスプレス、ホッコータルマエ、アロマカフェ)の5頭。そのうち2頭(ヘニーハウンド、アジアエクスプレス)が、優駿スタリオンステーションで繋養されるヘニーヒューズの後継種牡馬となった。ヘニーハウンドは現役時にファルコンSを優勝。またアジアエクスプレスは朝日杯FSとレパードSを優勝と、ヘニーヒューズ産駒らしいオールマイティな活躍を見せた。
ヘニーハウンドの展示では林正道オーナー、アジアエクスプレスの展示では馬場幸夫オーナーと手塚貴久調教師が挨拶に立った。林オーナーはヘニーハウンドの仕上がりの早さとスピード能力の高さを、馬場オーナーと手塚調教師は、芝、ダート問わない活躍と馬体の良さを生産者にアピールしていた。
↑アジアエクスプレス
ホッコータルマエの展示では、西浦勝一調教師と幸英明騎手がマイクを持ち、西浦調教師は、
「丈夫で筋肉も素晴らしい馬。これから産駒を管理するのが楽しみ」
と話し、幸騎手も、
「大人しくてとても乗りやすい馬でした。一頭でも多く生産者の皆さんに配合していただき、その産駒に騎乗させてもらいたいです」
と産駒のデビューを心待ちにしていた。
↑ホッコータルマエ
優駿スタリオンステーション種牡馬展示会の大トリを務めたのは、今年、日本での初年度産駒を送り出すヘニーヒューズ。同スタリオンには後継種牡馬のサウンドボルケーノも繋養されている。(株)優駿の関係者からは、騎乗育成を行なわれている初年度産駒の評判も伝えられており、その中から未来の種牡馬候補となるような活躍馬も現れてきそうだ。
水曜日(15日)に開催されたブリーダーズ・スタリオンステーションの種牡馬展示会では、18頭の繋養種牡馬が展示。うち、新種牡馬は3頭(ラブリーデイ、リオンディーズ、ダノンシャーク)となった。
ラブリーデイの展示では、オーナーである金子真人氏が挨拶に立ち、
「仕上がりの良さや古馬となってからの成長力など、ラブリーデイの長所は産駒にも遺伝されるはずです」
と生産者にアピールしていた。続いて登場したリオンディーズも、ラブリーデイと同じキングカメハメハの後継種牡馬。ブリーダーズ・スタリオンステーションにはこの2頭の他にも、社台スタリオンステーションから繋養地を移したベルシャザール、そして今年、初年度産駒をデビューさせるローズキングダムも繋養。
その中でもラブリーデイは母父がダンスインザダーク、リオンディーズは母父がスペシャルウィークと、母系に入ったサンデーサイレンスが3代父となっており、配合馬にはサンデーサイレンスの3×3、もしくは奇跡の血量と言われる3×4のクロスを試みる生産者も出てきそうだ。
ダノンシャークはディープインパクト産駒のマイルG1(マイルCS)勝ち馬。高いマイル適性だけでなく、2歳のデビューから8歳まで息長く活躍した丈夫さも産駒には遺伝されるに違いない。
展示の大トリにはブラックタイドが登場。昨年は産駒のキタサンブラックがG1レースを3勝する活躍で年度代表馬に選出と、一気に種牡馬としての価値を高めた1年となった。
ブラックタイドの展示でもオーナーの金子真人氏にマイクが渡され、
「ブラックタイドとの出会いがディープインパクトの購入に繋がったとも言えますし、現在、ブラックタイドが種牡馬として成功している姿を喜ばしく思います」
と語っていた。ディープインパクトは次々と後継種牡馬を送り出しているが、ブラックタイドも、将来はキタサンブラックの種牡馬入りが確実視されており、今後は兄弟で父系を広げていくことにもなりそうだ。
↑ブラックタイド
オープンハウスで行なわれたダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックスには、新種牡馬としてディスクリートキャットがスタッドイン。今年14歳という年齢が示すように、種牡馬としての実績は充分過ぎる程であり、日本でも根岸Sの勝ち馬エアハリファを送り出している。
馬体、そして歩く姿を見た生産者からは、
「血統、産駒実績から想像した通りの馬体をしている。ダート色が強いのは間違い無いだろうし、仔出しの良さも含めて確実性も高そう」
との声も聞かれていた。この後の種牡馬展示会は、20日の浦河・イーストスタッドでも行なわれる。
↑ディスクリートキャット