今年は日本から
サトノダイヤモンド、
サトノノブレスが出走する。出走馬は18頭で、
サトノダイヤモンドは馬番9番(ゲート番号13番)、
サトノノブレスは馬番10番(ゲート番号5番)となった。
ロンシャン競馬場が改修工事中のため、昨年に続いて今年もシャンティイ競馬場で行われることとなった
凱旋門賞だが、斤量面で変更があり、古馬は牡馬が59.5kg、牝馬が58.0kgに対し、3歳馬は昨年より0.5kg重くなり、牡馬が56.5kg、牝馬が55.0kgとなっている。
昨年は日本からマカヒキが参戦し、前哨戦の
ニエル賞を制して本番に臨み、JRAのオッズでは単勝1番人気を支持を集めたが、中団から外を回って伸び切れず
⑭着に敗れた。①着はファウンド、②着はハイランドリール、③着は
オーダーオブセントジョージで、直線で内目を通った
オブライエン厩舎の
ガリレオ産駒3頭が③着までを占める結果となった。ハイランドリールは直前で取り消したものの、
オーダーオブセントジョージは今年も出走している。
ちなみに、昨年は良馬場で2分23秒61(良)の
レコード決着となったが、今年はJRA通じて発表された9月29日(金)17:00時点でのシャンティイ競馬場の馬場は稍重で、
凱旋門賞当日の馬場も稍重と予想されている。今年はどんなタイムでの決着となるだろうか。
過去5年の
凱旋門賞をデータ対象として振り返ると、
前走は同年8月以降の芝重賞で③着以内だった馬が過去5年すべてで連対していて、
5年中4年で勝利している。これに非該当で③着以内に入ったのは14年①着のトレヴ(前走は
ヴェルメイユ賞で④着)、昨年②着のハイランドリール(前走は
愛チャンピオンSで⑦着)だけだ。まずはこの該当馬をチェックしておくのが良いだろう。
今年、前走は同年8月以降の芝重賞で③着以内なのは
イキートス、
ウィンター、
エネイブル、
オーダーオブセントジョージ、
カプリ、
クロスオブスターズ、
チンギスシークレット、
ドーハドリーム、
プリュマティック、
ユリシーズ、
ワンフットインヘヴンとなる。
また、欧州の最高峰のレースのひとつだけあって、G1馬が続々と集まってくるレースだが、その中でも、
近1年以内に2馬身差以上を付けてG1勝ちがある馬が過去5年すべてで馬券圏内入りしていて、
5年中3年で勝利しているから、勝利した時期やその内容(着差)にも着目しておきたい。
今年、近1年以内に2馬身差以上を付けてG1勝ちがあるのは
ウィンター、
エネイブル、
オーダーオブセントジョージ、
サトノダイヤモンド、
ユリシーズとなる。
昨年は
ガリレオ産駒3頭が③着までを占めたと前記したが、いずれも4歳馬で、勝利したファウンドは牝馬だった。過去5年では、
父サドラーズウェルズ系か父ダンチヒ系の3~4歳馬が過去5すべてで勝利していて、
5勝中4勝は牝馬だから、この該当馬(特に牝馬)は侮れない。
今年、
父サドラーズウェルズ系の3~4歳は
アイダホ、
ウィンター、
エネイブル、
カプリ、
セヴンスヘヴン、
チンギスシークレット、
ユリシーズ、
父ダンチヒ系の3~4歳は
クロスオブスターズで、そのうち、牝馬は
ウインター、
エネイブル、
セヴンスヘヴンとなる。
以上の3点を
凱旋門賞の好走共通項として扱い、該当馬を整理すると次のようになる。
[1]前走は同年8月以降の芝重賞で③着以内(該当馬は過去5年すべてで連対、5年中4年で勝利)
[2]近1年以内に2馬身差以上を付けてG1勝ちあり(該当馬は過去5年すべてで馬券圏内、5年中3年で勝利)
[3]父サドラーズウェルズ系か父ダンチヒ系の3~4歳馬(該当馬は過去5すべてで勝利、5勝中4勝は牝馬)
馬番 |
馬名 |
[1] |
[2] |
[3] |
1 |
ザラック |
|
|
|
2 |
ドーハドリーム |
○ |
|
|
3 |
ワンフットインヘヴン |
○ |
|
|
4 |
ユリシーズ |
○ |
○ |
○ |
5 |
クロスオブスターズ |
○ |
|
○ |
6 |
シルバーウェーヴ |
|
|
|
7 |
アイダホ |
|
|
○ |
8 |
チンギスシークレット |
○ |
|
○ |
9 |
サトノダイヤモンド |
|
○ |
|
10 |
サトノノブレス |
|
|
|
11 |
イキートス |
○ |
|
|
12 |
オーダーオブセントジョージ |
○ |
○ |
|
13 |
セブンスヘブン |
|
|
◎ |
14 |
ブラムト |
|
|
|
15 |
カプリ |
○ |
|
○ |
16 |
プリュマティック |
○ |
|
|
17 |
エネイブル |
○ |
○ |
◎ |
18 |
ウィンター |
○ |
○ |
◎ |
なお、表の[3]の項目の「◎」は牝馬を指す。[1]~[3]ですべてに該当したのは
ウィンター、
エネイブル、
ユリシーズ、ふたつに該当したのは
オーダーオブセントジョージ、
カプリ、
クロスオブスターズ、
チンギスシークレットだった。
エネイブルは現在、
英オークス、
愛オークス、
キングジョージ6世&QES、
ヨークシャーオークスと芝2400m路線の
G1・4連勝中で、いずれも4馬身以上の差を付けて圧勝し、
キングジョージ6世&QESでは
ユリシーズ、昨年の
凱旋門賞②着馬ハイランドリールを下しているから中身も濃い。良馬場でも道悪でも
高いパフォーマンスを発揮できるのは強味だろう。
エネイブルは多頭数の競馬が未経験で、大本命という立場からマークが集中して内で包まれた時に
不安もあるが、
凱旋門賞4勝の
デットーリ騎手なら上手く導いてくるのではないだろうか。3歳時に
キングジョージ6世&QESと
凱旋門賞を制した馬はミルリーフ(71年)、ダンシングブレーヴ(86年)、ラムタラ(95年)の3頭だけだが、
歴史的偉業を成し遂げる可能性は十分あるのでは。
ユリシーズは
エネイブルと同じイギリス調教馬で、母が
英オークス馬ライトシフトという良血。昨年の
BCターフではハイランドリール、フリントシャー、ファウンドに次ぐ④着だったが、今年に入って
エクリプスS、
英インターナショナルSと
G1・2勝を挙げる活躍を見せている。いまは
充実期を迎えている感じだが、
キングジョージ6世&QESでは
エネイブルに決定的ともいえる4馬身半差を付けられていて、これを逆転できるかどうか。
ウィンターは5頭出しの
オブライエン厩舎の1頭で、
ムーア騎手が騎乗してきた。
英1000ギニー、
愛1000ギニー、
コロネーションS、
ナッソーSとG1・4連勝を飾り、前走の
メイトロンSで連勝は止まったが、勝ち馬(ハイドランジア)とはアタマ差の②着だった。デビューから9戦して④着以下がなく、G1では
[4.1.0.0]と連対を外していない堅実派だが、2000mを超える距離は未経験で、前走から一気の800m延長に対応できるかがポイントでは。
ウィンター以外の
オブライエン厩舎の馬は
アイダホ、
オーダーオブセントジョージ、
カプリ、
セブンスヘブンで、このうち、上表でふたつに該当したのは
オーダーオブセントジョージ、
カプリというのは前記した通り。
オーダーオブセントジョージは5歳という年齢が引っ掛かり、[3]の項目で「○」が付かなかったが、前走の
愛セントレジャーでは9馬身差の圧勝を飾っていて、臨戦過程は同レース②着から臨んだ昨年(③着)以上と言える。長距離型だが、
レコード決着だった昨年の
凱旋門賞でも先行して③着と粘っていて、スタミナに偏ったタイプでもない。
凱旋門賞は
リピーターがよく来るレースで、過去5年でもオルフェーヴル(12&13年②着)、トレヴ(13&14年①着)、フリントシャー(14&15年②着)が2年連続で好走しているから、
オーダーオブセントジョージは今年も出番があっても不思議なさそう。
カプリは
愛ダービー、
英セントレジャーとG1・2連勝中で、
愛ダービーではクラックスマン(
ニエル賞①着)、ウイングスオブイーグルス(
英ダービー①着)を下していた。勢いを感じさせる3歳馬だが、前走が
英セントレジャーだった馬は過去10年でも1頭も馬券に絡んでおらず、中1週の臨戦とゲート番号15番で外枠をどう乗り捌くもカギになりそう。
チンギスシークレット、
クロスオブスターズは
サトノダイヤモンドが出走した
フォワ賞で①&②着。
フォワ賞連対馬は過去5年でもオルフェーヴル(12&13年②着)、フリントシャー(14年②着)が好走しているから、マークはしておきたい存在だろう。
チンギスシークレットは道悪巧者で、
フォワ賞は重馬場が向いた面もあるだろうが、現在、重賞3連勝中で、力を付けているのだろう。芝2400mは
[4.0.1.1]と好成績で、近走では少頭数の競馬ばかりだが、19頭立ての
独ダービーが③着で、多頭数にも対応できる下地はありそう。あとは
フォワ賞→
凱旋門賞と連勝したのは84年サガスが最後というデータをどう見るか。
クロスオブスターズは
凱旋門賞7勝を誇る
ファーブル厩舎所属の1頭(今年は他に
ドーハドリーム、
プリュマティックも出走)。06年レイルリンクを最後に
凱旋門賞の勝利から遠ざかっている
ファーブル厩舎だが、過去5年でも12年③着マスターストローク、13年③着アンテロ、14年&15年②着フリントシャー、15年③着ニューベイと、毎年のように好走馬を送り出している点は見逃せない。
ザラックは上表で「○」がひとつも付かなかったが、無敗で
凱旋門賞を制した
ザルカヴァを母に持つ。
父ドバウィ×
母父ザミンダーという配合は一昨年③着のニューベイと同じでもある。G1は
⑤②④④②⑤①着で、前走の
サンクルー大賞で差し切りを決めてG1初勝利を挙げたが、3/4馬身差の②着が
シルヴァーウェーヴだった。
ガネー賞(②着)は
クロスオブスターズ(①着)と接戦を演じていたが、相手強化に加え、大外枠(ゲート番号18番)も気になるところ。
ブラムトも上表で「○」がひとつも付かなかったが、今年の
仏2000ギニー、
仏ダービーを制した仏二冠馬で、シャンティイ競馬場では
2戦2勝と相性が良い。ただ、前走の
ギョームドルナーノ賞は出遅れて追い込み切れず初の連外(⑤着)に敗れていて、スタートに加え、追い込み一手の脚質で多頭数に
不安が残りそう。
父ラジサマンはマイルで活躍した馬で、初の芝2400mもどうか。
サトノダイヤモンドは上表で[2]に「○」が付いたが、日本馬は
凱旋門賞で
[0.4.0.16]となっていて、②着馬は99年エルコンドルパサー(
フォワ賞①着)、10年ナカヤマフェスタ(
フォワ賞②着)、12&13年オルフェーヴル(
フォワ賞①着)と、いずれも前走の
フォワ賞で連対していた。
サトノダイヤモンドの
フォワ賞(④着)は4ヵ月半ぶりや重馬場がこたえたようで、その時より良い馬場なら巻き返しも期待できそうだが、今年もレース当日に仮柵が外され、内有利な馬場となると、外目の枠(ゲート番13番)も影響しそうで、どこまで前進できるだろうか。
印は、上表ですべてに該当してG1勝ちの内容も濃い牝馬の
エネイブルを「◎」、昨年の③着馬
オーダーオブセントジョージを「○」、牡馬ながら上表ですべてに該当した
ユリシーズを「▲」とした。
穴ぐさ的存在の「★」としては、好走馬が出ている
フォワ賞連対馬で、
凱旋門賞で多くの好走馬を送り出している
ファーブル厩舎の
クロスオブスターズ、地力強化が窺える
チンギスシークレット、ハイランドリールの全弟で
キングジョージ6世&QESで
ユリシーズと小差の③着と好走していた
アイダホを挙げたい。
◎エネイブル
○オーダーオブセントジョージ
▲ユリシーズ
△ウィンター
△サトノダイヤモンド
★クロスオブスターズ
★チンギスシークレット
★アイダホ
※凱旋門賞は馬番とゲート番号が異なります。馬券を買う際は『馬番』での購入となりますので、お間違いのないようにご注意ください。