香港ヴァーズには、日本から
キセキ、
トーセンバジルが出走。両馬とも今回が初の海外挑戦となる。
一方の海外勢は、一昨年にこのレースを制し、昨年はサトノクラウンに差し切られたものの、半馬身差の②着に入った
ハイランドリールが3年連続の参戦。同馬はレーティングが
「123」で、今回のメンバー中ではトップ評価となっている。
さらに、前走の
BCターフでその
ハイランドリールを③着に下して勝利した
タリスマニックが
「122」。続いて日本で
菊花賞を制した
キセキが
「118」。それに続くのが
「114」の
ティベリアン、牝馬で
「110」の
スマートコールだから、評価の面では上位3頭が少し水をあける形となっている。
昨年の勝ち馬サトノクラウンは直近の3走が⑫⑥⑭着と崩れていたが、前年の
日本ダービーで③着に好走した実績があった馬。また、②着の
ハイランドリールは前走で
BCターフを制して参戦してきていた。
さらに、一昨年②着のフリントシャーは前走で
凱旋門賞②着、2014年の勝ち馬フリントシャーは前走で
BCターフ②着、2013年②着のザフューグは前走で
BCターフ②着、2012年の勝ち馬レッドカドーは前走の
ジャパンCで⑧着に敗れていたが、同年の
コロネーションCで②着に好走した実績があった。
つまり、過去5年の
香港ヴァーズでは、
同年にG1で連対歴があった馬が連対しているということになる。今年のメンバーで、これに該当するのは
ハイランドリール、
タリスマニック、
キセキで、レーティング上位の3頭が順当にピックアップされてくる形となった。
昨年このレースを制したサトノクラウンは父が
ノーザンダンサー系のMarju、②着
ハイランドリールは父が
デインヒル系のDansili、③着ワンフットインヘヴンは父が
ストームバード系のShamardal。つまり、
父ノーザンダンサー系の馬が上位3頭を占める形となった。
そして、過去5年まで振り返っても、2013年以降は4年連続で
父ノーザンダンサー系の馬がワンツーしていて、2012年もこれに該当するミアンドル(父は
リファール系Slickly)が③着に入っている。
要するに、
香港ヴァーズは
父ノーザンダンサー系の馬が近5年すべてで馬券圏内に入っていることになる。これに該当する馬は評価を上げておきたい。
今年、これに該当するのは
ハイランドリール、
タリスマニック、
ティベリアン、
ケミカルチャージ、
デインヒルコディアック、
トーセンバジル、
ゴールドマウント、
ヘレンカリズマとなる。
また、昨年は日本のサトノクラウンが制し、②着は
愛・A.オブライエン厩舎の
ハイランドリール、③着ワンフットインヘヴンは
仏・A.ドゥロワイエデュプレ厩舎。
日本調教馬と
欧州調教馬が馬券圏内を独占した。
過去5年を振り返っても、
日本か欧州の調教馬が5年すべてで連対し、うち4年で勝利している。特に、
日本か欧州調教の3~4歳馬が過去5年すべてで馬券圏内に入っているので、今回はこれに該当する
タリスマニック、
デインヒルコディアック、
キセキの評価を上げてみたい。
以上の3点を
香港ヴァーズの
好走共通項として扱い、該当馬を整理すると次のようになる。
[1]同年にG1で連対歴あり(近5年で連対)
[2]父ノーザンダンサー系(近5年で馬券圏内、近4年でワンツー)
[3]日本か欧州調教の3~4歳馬(近5年で馬券圏内)
G |
馬番 |
馬名 |
[1] |
[2] |
[3] |
1 |
2 |
タリスマニック |
◯ |
◯ |
◯ |
2 |
7 |
マックスダイナマイト |
|
|
|
3 |
12 |
キセキ |
◯ |
|
◯ |
4 |
4 |
ケミカルチャージ |
|
◯ |
|
5 |
6 |
イーグルウェイ |
|
|
|
6 |
10 |
ヘレンカリズマ |
|
◯ |
|
7 |
8 |
トーセンバジル |
|
◯ |
|
8 |
1 |
ハイランドリール |
◯ |
◯ |
|
9 |
3 |
ティベリアン |
|
◯ |
|
10 |
5 |
デインヒルコディアック |
|
◯ |
◯ |
11 |
11 |
スマートコール |
|
|
|
12 |
9 |
ゴールドマウント |
|
◯ |
|
※表中Gはゲート番号。
フルマークは
タリスマニック、ふたつに該当が
ハイランドリール、
デインヒルコディアック、
キセキとなった。
タリスマニックは今年に入って[3.3.1.0]で、前述したように前走は
ハイランドリールを下している。今回はテン乗りの
M.ギュイヨン騎手に替わるが、
A.ファーブル厩舎で同騎手騎乗というのは12年③着のミアンドル、14年①着のフリントシャーと同じで、コース実績がある騎手に替わるのも悪くないのでは。
香港ヴァーズでは、
前走がBCターフで②着以内に入っていた馬は16年②着
ハイランドリール(前走①着)、14年①着フリントシャー(前走②着)、13年②着ザフューグ(前走②着)の3頭いて、いずれも連対している。過去5年の
香港ヴァーズでゲート番1番の馬は馬券圏内に入れていないが、6年前の2011年にサムザップが②着に好走しているから、上手く捌ければ。
ハイランドリールは今年に入って⑦①①④③③着だが、堅良~良馬場だった3戦は①①③着なのに対し、稍重~重馬場だった3戦は⑦④③着。過去2年のこのレースも良馬場なので、今年も良馬場が見込まれる点は好材料だろう。過去2年はゲート番9番、10番で、過去5年ではゲート番8番より外枠の馬が馬券圏内に入っているから、今年も外目の
ゲート番8番に入ったのも悪くなさそうだ。
なお、
ハイランドリールは今回が引退レースと伝えられており、仕上がり具合は気になるところ。ひとつの指標として馬体重に注目すると、勝った
一昨年は1036ポンド(約470kg)、②着の
昨年は1069ポンド(約485kg)、
今年は1083ポンド(約490kg、いずれも2日前計測)。極端な馬体増はなさそうだが、当日の気配に注目したい。
キセキは
芝2000m以上が[3.1.1.0]で、前走は不良馬場の
菊花賞で差し切り勝ちを収めている。昨年の勝ち馬サトノクラウンはご存じの通り道悪巧者で、同年の
京都記念を重馬場で制していた。それ以外に過去5年の
香港ヴァーズで馬券圏内に入った日本馬は12年②着のジャガーメイルがいるが、同馬も不良馬場の09年
目黒記念で②着に好走している。
キセキが前走で道悪をこなしたことは好材料ではないか。
キセキの父は
ミスプロ系ルーラーシップで、その点は少々気になるところ。ただ、
ルーラーシップ自身はシャティン競馬場の
クイーンエリザベス2世C(芝2000m)でG1勝ちを飾っているから、馬場適性もあると見たい。
デインヒルコディアックは今年に入って①④②①③着で、右回りの芝に限ると2戦2勝。ただ、G3までは勝ち鞍があるが、
G1は今回が初挑戦となる。本馬は欧州外のレースが初で、
S.レヴィー騎手は香港初騎乗となるだけに、ここでどこまで食い込めるだろうか。
トーセンバジルは
芝2400mが[1.1.1.1](馬券圏外は昨年の
ジャパンC⑪着)で、前走の
京都大賞典では差し馬が台頭する流れの中、先行してシュヴァルグラン(③着)に先着している。
トーセンバジルについて気になるのは、今回は2ヵ月ぶり(中8週)となる点か。過去5勝は中6週以内で挙げていて、中8週以上は[0.1.2.4]と勝ち切れていない。ただ、2日前馬体重は
1069ポンド(約484kg)で、前走時の482kgから極端な馬体増はなさそう。昨年のこのレースを制した
J.モレイラ騎手の手腕に期待したいところ。
ティベリアンは前走の
メルボルンCで⑦着に敗れたが、芝3200mは距離が長すぎた印象。今年は
芝2400~2500mで[4.0.0.1]と好成績を残していて、6走前の
ポルトドマドリッド賞と5走前の
エドゥヴィル賞では
タリスマニックを下して勝利している。
O.ペリエ騎手はG1昇格前を含めて
香港ヴァーズを4勝していて、この鞍上も魅力。
なお、
香港ヴァーズでは
フランス調教馬が06年以降11年連続で馬券圏内に入っていて、昨年もワンフットインヘヴンが③着に好走している。今回のメンバーでフランス調教馬は
タリスマニック、
ティベリアンの2頭だけで、その点でも侮れなさそうな印象も受ける。
マックスダイナマイトは前走の
メルボルンCで③着に好走していて、これで同レースは2回出走していずれも③着以内に入っている(15年②着)。父は日本の芝1400~1800mで5勝を挙げた
グレイトジャーニーだが、平地重賞での好走歴は3000mを超える距離が中心で、2400mはキズナが制した13年
ニエル賞⑦着以来となる。
長距離路線を中心に活躍してきた馬といえば、
天皇賞・春勝ち馬ジャガーメイルが2012年のこのレースで②着に好走しているし、
メルボルンCで②着3回の実績があるレッドカドーがこのレースで③①④⑥着と好成績を残している。その点では侮れない感じだが、本馬は久々の芝2400mで流れに乗って運べるか。
ケミカルチャージは2走前にオールウェザーの2400mで重賞初制覇を飾ったが、初のG1挑戦となった前走の
カナディアンインターナショナルでは後方から差を詰めるも⑥着に敗れている。G1で好走するにはワンパンチ欲しい印象だが、差しが利く流れになれば。
イーグルウェイは今シーズンに入って⑥⑤着だが、1400~1800mで後方から差を詰め切れなかったもので、距離不足の印象だった。
シャティン芝2400mは①③着で、3走前は
香港カップでも人気を集めそうなワーザーから0秒47差の③着に入っている。香港での③着以内は
H.ボウマン騎手か
J.モレイラ騎手とのコンビで記録していて、
T.ベリー騎手とは芝1400~2000mで⑥④⑥⑥⑤着だが、適距離でどこまで食い込めるか。
ヘレンカリズマはフランス所属での3歳時に
パリ大賞(G1、サンクルー芝2400m、当時の馬名はモントルメル)を制した実績がある。今秋の3戦は芝1800~2000mで⑪⑧⑧着と崩れているが、このコースで
イーグルウェイの②着に入った実績があるので、こちらも適距離に戻って変わり身を見せられるだろうか。
スマートコールは英国移籍後の近5走が牝馬限定戦で③④⑦④⑥着という成績で、今回は9月10日の
ブランドフォードS⑥着以来3ヵ月ぶりとなる。過去5年で③着以内に入った15頭のうち14頭は同年10月以降に出走歴があった馬で、9月以前の出走で③着以内に入ったのは15年③着のダリヤン(前走は8月15日)のみ。牡馬相手ということもあり、今回の条件だと評価しづらい印象を受ける。
ゴールドマウントは香港移籍後が[2.0.1.3]だが、2勝は芝1800m以下で、
芝2000m以上では⑩③⑤④着。英国では芝2400mでも勝ち鞍がある馬だが、G1での芝2400mでどうか。
まとめると、フランス調教という点と前走の
BCターフを制覇したことを評価して
タリスマニックを「◎」とし、過去2年の実績馬
ハイランドリールを「◯」に、不良馬場で
菊花賞を制した
キセキを「▲」とする。「△」は
J.モレイラ騎手に期待して
トーセンバジルと、このコース得意の
イーグルウェイ。
イーグルウェイは、もし人気がないようなら穴ぐさ💨的存在の「★」の筆頭としたい。
穴ぐさ💨的存在の「★」としては、フランス調教馬でこの距離に実績がある
ティベリアン、長距離実績を評価して
マックスダイナマイトを推す。
◎タリスマニック
◯ハイランドリール
▲キセキ
△トーセンバジル
△イーグルウェイ
★ティベリアン
★マックスダイナマイト
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