香港マイルは2007-2009年にグッドババが3連覇を成し遂げたが、その後は2度勝った馬が出ていない。今年は昨年の勝ち馬・
ビューティーオンリーが出走するが、連覇することができるだろうか。
香港スプリントは前走で前哨戦(ジョッキークラブスプリント)を制していた馬があまり勝っていないが、
香港マイルはそんなことはなく、前走で
ジョッキークラブマイルを勝利していた馬が、近5年のうち2年で優勝している(2014年エイブルフレンド、2016年ビューティーオンリー)。
4~5年前も
ジョッキークラブマイルの勝ち馬が②着に入っていて、一昨年は前走で
マイルCSを勝っていたモーリスが制しているから、近5年はいずれも
前走の芝1600mを勝っていた馬が連対圏に入っていることになる。
今年も前走でマイル戦を勝っていた馬には注目だろうが、実は該当馬が1頭(
シーズンズブルーム)しかいない。他に、前走が芝1600mで②~③着の馬は
ビューティージェネレーション、
ヘレンパラゴン、
ランカスターボンバーの3頭がいる。
昨年の勝ち馬
ビューティーオンリーは
Holy Roman Emperor産駒で、父
ダンチヒ系になる。同父系の馬は2011年にエイブルワンが1分33秒98で制していて、一昨年に1分33秒92で勝ったモーリスも祖父のグラスワンダーの母父が
ダンチヒで、このレースは時計の速い決着になると
ダンチヒ内包馬がよく好走している。
香港マイルが1分32~33秒台になったことは7回あり、その時はいずれも4代血統表内に
ダンチヒを持つ馬が連対圏に入っている。今年の該当馬は
カラール、
コンテントメント、
シシュアンダール、
ジョイフルトリニティ、
ビューティーオンリー、
ヘレンパラゴン、
ホースオブフォーチュン、
ランカスターボンバー、
ローリーポーリーだ。
昨年は
ビューティーオンリーが外目から差し切ったが、同馬はゲート番号が13番で、これで香港マイルは
ゲート番号がふた桁の馬が5年連続で優勝している。ゲート番号がふた桁の馬は8年連続で連対していて、このレースは外目のゲート番号の馬を評価しておくと良さそうだ。
以上の3点を
香港マイルの好走ポイントとして扱い、該当馬を整理すると次のようになる。
[1]
前走の芝1600mで勝っていた馬(近5年すべてで連対)
[2]
4代血統表内にダンチヒを持つ馬(1分32~33秒台の決着となった7年すべてで連対)
[3]
ゲート番号がふた桁の馬(近8年すべてで連対して5連勝中)
G |
馬番 |
馬名 |
[1] |
[2] |
[3] |
1 |
6 |
ライトニングスピア |
|
|
|
2 |
2 |
ヘレンパラゴン |
△ |
○ |
|
3 |
9 |
カラール |
|
○ |
|
4 |
4 |
サトノアラジン |
|
|
|
5 |
7 |
シーズンズブルーム |
○ |
△ |
|
6 |
11 |
シシュアンダール |
|
○ |
|
7 |
12 |
ウエスタンエクスプレス |
|
|
|
8 |
3 |
コンテントメント |
|
○ |
|
9 |
10 |
ビューティージェネレーション |
△ |
|
|
10 |
5 |
ジョイフルトリニティ |
|
○ |
○ |
11 |
13 |
ランカスターボンバー |
△ |
○ |
○ |
12 |
1 |
ビューティーオンリー |
|
○ |
○ |
13 |
8 |
ホースオブフォーチュン |
|
○ |
○ |
14 |
14 |
ローリーポーリー |
|
○ |
○ |
※表中Gはゲート番号。
前走の芝1600mで②~③着に入った馬は[1]の項目で「△」を付け、5代目に
ダンチヒを持つ
シーズンズブルームは[2]の項目で「△」を付けた。それらを含めて複数で該当したのは、
ジョイフルトリニティ、
シーズンズブルーム、
ビューティーオンリー、
ヘレンパラゴン、
ホースオブフォーチュン、
ランカスターボンバー、
ローリーポーリーだ。
ランカスターボンバーは前走の
BCマイルが②着で、セントジェームズパレスS②着やウッドバインマイル②着など各国の
芝1600mのG1で好走しているが、突き抜けられない競馬が続いている。前走は好位のインを回り、ウッドバインマイルは外目、セントジェームズパレスSは先行して粘り込むなど、
自在性はあるものの、やや頭の高い走りで最後のひと伸びを欠くケースが多い。ここも鞍上(
ムーア騎手)の腕に期待だろう。
同じオブライエン厩舎の
ローリーポーリーは前走のBCマイルで⑪着に敗れたが、外枠で後方を追走し、直線でも前がごちゃついていた。今回も14頭立てでの大外枠(ゲート番号14番)だが、2走前のサンチャリオットSは
先行して押し切っていて、今夏に芝1600mのG1を連勝(ファルマスS、ロートシルト賞)した時も
先行策だった。力のある馬だから、スタートと位置取りがカギではないか。
シーズンズブルームはレーティング(115)があまり高くないが、今シーズンが①②①着で、前走の
ジョッキークラブマイルは斤量差もあったものの外々を回りながら差し切った。芝1200mでも切れる脚を使える馬だが、
モレイラ騎手が騎乗して勝利した今シーズンの2勝は外を回っていて、内を突いた2走前(セレブレイションカップ)が
ビューティジェネレーションの②着だった。外を回った方が伸びる印象があるので、今回はゲート番号5番でどこを通るか。
ビューティーオンリーは昨年のこのレースを勝った後が[0.2.0.6]で突き抜けられていないが、前走(ジョッキークラブマイル)は後方追走から大外を回って④着まで押し上げた。前走は勝った
シーズンズブルームなどと斤量差があったもので、今年も
ふた桁のゲート番号(12番)となったので、流れが合えば差し脚が見られていいだろう。
昨年の香港マイル②着の
ヘレンパラゴンは、その後にスチュワーズカップ、クイーンズシルバージュビリーカップというふたつのG1を制していて、前走のジョッキークラブマイルは②着だったが、出遅れた後に中団のインを追走し、馬群の間から抜けた後に
シーズンズブルームに交わされたもの。この馬も多くの他馬と斤量差があったので、本番で内目を上手く捌ければ再度チャンスが出てきて不思議ないだろう。
ジョイフルトリニティは昨シーズンが[1.2.3.2]で、香港マイル③着などすべてのレースで⑤着以内に走っていたが、今シーズンは2戦して⑪⑫着と精彩を欠いている。前走のジョッキークラブマイルは
大外枠で後方に下がり、直線で他馬に伸び負けていた。昨年はゲート番号11番で中団に付けて伸びてきたが、今年はどこまで巻き返せるか。
ホースオブフォーチュンは前走のジョッキークラブマイルが⑦着だったが、好位を進みながら直線で
前が詰まったもの。昨シーズン以降に挙げている2勝が芝1800mではあるものの、今シーズン初戦(芝1400m)では外から伸びて③着だった。その時と同じ鞍上(リスポリ騎手)で、差しの利く流れになれば侮れないのではないか。
日本から参戦する
サトノアラジンは昨年の香港マイルが⑦着で、最後に外からよく詰めていた。近2走はふた桁着順に敗れているものの苦手の
道悪馬場だったので、ラストランは乾いた馬場で走りたいところだろう。外差しの利きやすいシャティンの馬場は悪くないはずだが、ゲート番号は昨年(8番)よりも内の4番で、どれだけロスなく外に持ち出せるか。
コンテントメントは過去2度の安田記念が⑫⑩着で、今シーズン初戦の前走(セレブレイションカップ)も⑨着に敗れたが、前走は
芝1400mでのゲート番号12番で中団に控える形になっていた。3走前のチャンピオンズマイルは6頭立てだったが先行して
ビューティーオンリーや
ヘレンパラゴンを抑えて優勝しており、叩き2戦目でマイル戦に戻り、本来の
先行策を採ってくるようなら昨年(④着)の実績的にも侮れないか。
コンテントメントの前走を逃げ切って勝利したのが
ビューティジェネレーションで、同馬は前走のジョッキークラブマイルが③着だったが、序盤にハナに立ったものの、その後に他馬に2度交わされ、その度に頭を上げていた。それでも③着に入っていて、
マイペースで行けるようならこの馬にも注意が必要だろう。
ライトニングスピアは
6頭立てだった今年のセレブレイションマイルを中団から差し切った馬で、近2年での勝ち鞍は連覇した同レースだけとなっている。その勝ち時計は今年が1分38秒89、昨年が1分35秒96だが、昨年は
5頭立てで、この舞台での14頭立てでゲート番号1番をクリアできるか。
カラールは前走のBCマイルで⑦着に敗れたが、大外枠で後方追走となり、外を回って追い上げていた(ランカスターボンバーと0秒1差)。2走前のフォレ賞③着や3走前のパン賞①着などは
逃げてのもので、今夏に去勢されてからは走りが安定してきた印象があるだけに、ゲート番号3番から前に行ければ侮れなさそうだ。
ウエスタンエクスプレスは連闘で臨んだ前走のジョッキークラブマイルが⑧着で、昨シーズン以降は
芝1600mだと⑧③⑩⑤⑧着。昨シーズン以降は芝1400m以下で[5.0.0.2]という馬で、ここも距離が課題になってきそうだ。
シシュアンダールは前走のジョッキークラブマイルが重賞初挑戦で、後方追走から馬群の間をジリジリと伸びて⑤着まで押し上げた。近3シーズンで勝ち鞍を挙げた3戦はいずれも
ハッピーバレー競馬場で、シャティン競馬場では近2シーズンが⑥⑨⑩⑧⑨④⑥⑤着となっている。
印は、安定した末脚とゲート番号を重視して今年も
ビューティーオンリーに期待して、同馬を「◎」にした。昨年②着の
ヘレンパラゴンを「○」にして、
シーズンズブルームはゲート番号5番がやや気になるので「▲」としたい。
穴ぐさ💨的存在の「★」としては、前走で前が詰まった
ホースオブフォーチュン、前走で折り合いを欠きながら③着に粘った
ビューティジェネレーション、セン馬になって安定してきた
カラールを推す。
◎ビューティーオンリー
○ヘレンパラゴン
▲シーズンズブルーム
△ランカスターボンバー
△サトノアラジン
★ホースオブフォーチュン
★ビューティジェネレーション
★カラール
※香港国際競走は馬番とゲート番号が異なります。馬券を買う際は『馬番』での購入となりますので、お間違いのないようにご注意ください。