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【2021年菊花賞】特別企画

サラブレ本誌でお馴染みのパドックの達人
北枕鳩三郎が 菊花賞 の推奨馬を解説!


いよいよ今週末に迫った牡馬三冠レースの最終戦・菊花賞。例年とは異なり阪神芝3000mで施行されるため、より難解なレースになりそう。そこで今回は「特別企画」として、サラブレ本誌にも度々ご登場いただいた、パドックの達人・北枕鳩三郎氏(著者プロフィール)に、今年の菊花賞のポイントと馬体面からの推奨馬を挙げていただいた。



阪神の内回りを2周する今年の菊花賞は
例年とは違った適性と性能が必要


近年の菊花賞は馬場管理技術の向上と競走馬全体のスピード化により、生粋のステイヤーよりもスピード性能に優れた中距離馬タイプが、距離の適性を超えて活躍できる舞台だったと言えます。しかし、阪神の内回りを2周する今年の菊花賞は、例年の京都で開催される菊花賞とは、また違った適性と性能が必要とされるので注意が必要です。

今年の阪神芝は開幕週から2週の傾向を見ても、特に内回りでは上がりの時計がかかっているように、瞬発力比べというよりも持久力に優れた馬の我慢比べ的な要素が強い競馬となっているように思います。好走馬の馬体的な特徴を見ても、トップスピード重視の軽い芝馬タイプではなく、骨太のパワータイプの好走が目立ちます。

京都大賞典におけるマカヒキの好走、復活劇も、それを裏付ける要因のひとつで、3歳時とは違い母父フレンチデピュティのパワーが全面に出ている印象のある、今のマカヒキだからこその勝利だったと考えられます。今の阪神は、距離が長ければ長いほど、追走時に削られるスタミナ値が大きく、パワー兼備のステイヤーでないと3000mを乗り切るのは困難だと考えます。

では、そこで具体的にどんな馬体の特徴があれば好走しやすいのか。ここでは3頭の推奨馬をあげ、その特徴と当日のパドックでの注意点に触れていきたいと思います。


 推奨馬①
アサマノイタズラ

まず1頭目は、アサマノイタズラです。父ヴィクトワールピサはパワー兼備の大柄な馬体でしたが、アサマノイタズラ自身も父同様に関節の可動域が広く大きめの完歩で歩くことができる中長距離馬。大きく歩ける馬は、大きなフットワークで駆けることができ、まずは『歩様の質がそのまま走法に直結しやすい』ことを知っておいてください。セントライト記念の向こう正面での走りを見ていただくと分かりやすいかもしれません。四肢の長さを活かした大きなストライドで駆けています。

馬体的な特徴で言えば、母系のダンシングブレーヴとオペラハウスともに腹袋のあるタイプを出す種馬ということもあり、アサマノイタズラも少し太めに見えるくらい腹袋がしっかりしています。ロベルト色の強い馬にも同じことが言えますが、このお腹の膨らみにスタミナが詰まっていると言い換えることもできます。

そして、四肢が長めで、太く力強い飛節の形状をしているのも、この馬の特徴です。四肢の太さが、そのままパワー型の特徴であるという短絡的な結論にはなりませんが、大枠で捉えた際には、それも間違いではありません。サドラーズウェルズの血が色濃く表れると骨太で四肢が太くなる傾向が見られますが、これが重たい馬場での推進力を生む馬体の特徴でもあります。軽い芝でのトップスピード比べではマイナスに働くこともあるサドラーの血ですが、こと重ための芝の中長距離では大きくプラスに作用します。

3代母にあたるレディステラは快速馬でしたが、アサマノイタズラに宿るスピード能力の基礎がここにあり、その後に重ねられた種馬がパワーとスタミナを補完したのでしょう。阪神の3000mを乗り切るだけの馬体的な裏付けもあり、最後は堅実に脚を伸ばしてくると考えられます。

当日の注意点は、初の関西遠征となりますので、輸送による大幅な馬体減がないかどうか、また、気が入りやすい馬だと思うので、チャカつきがなく落ち着いて歩けているかをチェックしてください。


 推奨馬②
レッドジェネシス

2頭目は、レッドジェネシスです。まず初めに、前走(神戸新聞杯)時の現地パドックでの印象をお伝えしておきます。

正直、素晴らしく良く見せた京都新聞杯を100%とすると、良くて80%くらいのデキに感じました。それでも2着に好走したのです。雨で馬体が濡れた状態だったとはいえ、装鞍所から発汗していたであろう染み込んだ汗の黒い痕、また、筋肉の張り自体も物足りないと感じました。もちろん、ダービー時と比較しても完調手前だったと思います。そのことを前提に話を進めると、今回は鞍上が乗り慣れた川田騎手での友道厩舎のG1仕上げ。確実に状態アップが見込めると考えます。

では、推奨する根拠となる馬体の特徴についてですが、この馬もまたアサマノイタズラのところで触れた母系のサドラーズウェルズの血が色濃く出た後肢の造りをしています。骨太で力強い曲飛は、まさにサドラー。母父ストームキャットとのニックスだけに注目が行きがちですが、このレッドジェネシスの馬体を構成している約半分が父ディープインパクトの要素が強いとすれば、残りのあと半分がサドラー的な要素で埋まっていると言っても過言ではないでしょう。

適度な曲飛は長く良い脚を持続するのに適した構造であり、阪神の芝2400を力のいる稍重のなか4馬身差で突き抜けた、ゆきやなぎ賞での走りに、のちの菊花賞馬の姿を見た気がしました。馬体のシルエット自体は四肢が長く体高が高めですが、首が短いこともありピッチ気味の走法です。そのぶん小回りで小脚が使えるので、3走前の京都新聞杯で見せたコーナーで内から上がっていく器用さも兼備しています。内回りを2周する今回の菊花賞でも、コーナーでスピードを落とさずに回って来られるのは大きなアドバンテージとなるでしょう。

当日の注意点は、馬体の張り、どれだけ筋肉が隆起しているかに注目です。もちろん、発汗があるのはマイナス。また、筋肉量が多いタイプでもあるので、G1仕様で稽古を強めると捌きが若干硬く映るかもしれませんが、張りがあれば何ら問題ありません。


 推奨馬③
ディヴァインラヴ

続いて3頭目は、牝馬での参戦となるディヴァインラヴ。頭部の造りが全体のバランスからすると大きいのですが、これはシンボリクリスエスから続く父系の特徴で、パワー型のエピファネイア産駒にもよく見られます。その大きめの頭部の造りと、直飛気味で腰の位置が高い前傾姿勢からは、自然と重心が前々になりやすく、スタートの安定感や先行力の源となっていると考えられます。

ここ2戦はプラスの馬体重が示すように腰回りの筋肉量がアップし、確実に変貌を遂げ、今、まさに成長期の真っ只中にあるようです。母父ディープインパクトらしく後肢の造りは直飛で、歩様は股関節の可動域が広くないながらも、抜群のバネ感でパドックを周回します。

直飛の特徴はトモの筋力をダイレクトに地面に伝えやすいので、瞬時の反応に優れています。ここ2戦で見せた直線での反応の鋭さ、一瞬にして抜け出す時の脚の速さは、この直飛による利点と、それにプラスしてディープとシーザリオの運動神経をしっかりと受け継いだ証拠でもあると思います。好位から速い脚を使え、尚且つ、重たい馬場を苦にしない機動力からも、同じ内回りなら鞍上福永騎手で秋華賞3着のアンドヴァラナウトのような競馬が可能でしょう。

また、ディヴァインラヴは母系の奥にクラフティプロスペクターの名前があり、それはレディステラ経由のアサマノイタズラと一緒。もちろん、エピファネイアからはサドラーのパワーも補完されているはずで、奇しくも今回、推奨させていただいた3頭にはサドラーズウェルズの血を持つという共通点があります。日本の芝では重たすぎると言われてきたサドラーの血が、特殊な条件下では大きく開花する可能性を秘めています。

最後にディヴァインラヴの当日のパドックでの注意点ですが、まずは歩様のテンポ、リズムを注視してください。速いテンポでリズミカルに歩けているかどうか。また、牝馬だけに馬体重の維持は必須条件となります。



以上の3頭が、今回の阪神における菊花賞の推奨馬となります。ぜひ注目してみてください。
文/北枕鳩三郎


約28年間、パドックの最前列にこだわり続け、学生時代には年間365日、南関と中央のパドックに立ち続けたことも。競馬場以外にもセレクトセールや一口馬主のツアーなどにも参加し、数え切れないほど馬体を見続けてきた。その馬見に関してはネットを中心にカリスマ的人気を誇る。サラブレ本誌をはじめ競馬メディアにも度々寄稿。近年はツイッターの鍵付きアカウントに限定して予想や馬産地で見た馬の情報などを公開中。