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川田将雅騎手自身が語る、生い立ちからトップに立つまでの「思考法」の変遷


※本稿は、川田将雅騎手の初書籍『頂への挑戦  負け続けた末につかんだ「勝者」の思考法』(刊行KADOKAWA)のまえがきを再編集したものです。




はじめに── 「勝者」 になる道を探し続けて

ご存じの通り、競馬はギャンブルです。

世の中には、あまりいいイメージを抱いていない方がいることも理解していますが、ギャンブルであると同時に、スポーツという側面があることをもっと知ってほしい──。そんな思いを僕はずっと抱いてきました。

ジョッキーはもちろん、競走馬もアスリートです。目指す試合=レースに向けて、競走馬は毎日厳しいトレーニングを積み、ジョッキーもまた、体を作り、腕を磨いていきます。

その過程には、たとえばオリンピック選手の人生に物語があり、ときにそれらが見る人の心を動かすように、競走馬1頭1頭、ジョッキー1人ひとりに物語があり、それらが誰かの人生に影響を与えることもある──。

野球やサッカーに比べれば、ファン層はまだまだ限られているかもしれませんが、ジョッキーとはそういう仕事であること、また、そういう存在であるべきことは、若い頃から自覚していました。

何を〝勝利〟とするか、その価値観は人の数だけありますが、どんな立場にある人もみな、何かに打ち勝つべく必死に生きていると僕は思っています。もちろん、僕もその1人です。

なかでもジョッキーという職業は、常に自ら〝勝利〟を勝ち獲りにいくのが仕事。〝勝利〟を得られなければ、簡単に淘汰されてしまう厳しい世界です。

だからこそ、勝つための戦略、選択、それらにまつわる自らの思考と毎日のように向き合っています。

そして、数え切れない失敗とわずかな成功を積み重ねていく中で、技術の向上と合わせて、自分なりの「勝つための思考法」を見つけていくのです。



前置きが長くなりましたが、僕、川田将雅は2004年にデビューした、日本中央競馬会(JRA)のジョッキーです。

早いもので、2023年で20年目を迎え、いまや紛うことなきアラフォー世代ですが、そんな僕が昨年、デビュー当時からずっと目指してきた全国リーディング(年間勝利数)1位を獲得することができました。

こうして文字にするとあっけないものですが、それはそれは長い道のりでした……。

本書は、そんな僕の半生を通して、いかにしてトップを目指し、その時々で何を考え、何を選択し実行してきたか──。

トップに立つまでの思考の変遷を綴った1冊です。

先述したように、ジョッキーとは常に「勝つための方法」を模索している職業。僕の経験を通して、競馬ファンはもちろん、仕事のパフォーマンスを上げたいビジネスパーソンや、メンタルを鍛えたい人などに何かを伝えられるのではないか──。

そんな思いに至り、この書籍の仕事を受けさせていただきました。



ここで僕のこれまでを簡単に振り返ると、デビュー5年目にはG1・皐月賞を勝つことができ(キャプテントゥーレ) 、2011年には、年間の勝利数を初めて100の大台に乗せて(109勝) 、全国リーディングの3位になりました。

2016年には、すべてのホースマンにとっての頂である日本ダービー(東京優駿)をマカヒキで勝利。

ダービージョッキーの称号を得たことをきっかけに有力馬への騎乗も増え、ジョッキーとしてのステージが上がったことを実感できました。

世界の名手が一堂に会す「ワールドオールスタージョッキーズ」でも2019年に優勝を経験し、2021年にはアメリカ競馬の祭典・ブリーダーズカップのフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーで勝利。光栄にも、日本人騎手として初めて、ブリーダーズカップの勝利騎手として歴史に名を刻むこともできました。

こんなふうに書くと、実績自慢をしているように思われるかもしれませんが、そうではありません。

人との出会いに恵まれ、馬に恵まれ、前述のようなビッグレースをいくつも勝たせていただき、年間を通して最も高い勝率をマークした騎手に贈られる、 「JRA賞最高勝率騎手」も、2013年から2021年の9年間で、5回も受賞することができました。

しかし、どうしてもリーディングだけは獲れなかったのです。

3位が2回、2位は実に4回。

なぜ一番になれないのか、自分には何が足りないのか──。思えば、試行錯誤の連続でした。



本書を執筆するにあたって、改めて気づいたことがあります。

それは、子供の頃から僕の人生は、いつも〝負けからのスタート〟だったということ。だからこそ、勝ちたかったし、勝つにはどうするべきか、人一倍、頭を使ってきたこと──。

幼い頃からその繰り返しだったので、当然のごとく、僕は負けず嫌いな性格に育ちました。

そんじょそこらの負けず嫌いではありません。よく〝筋金入りの~〟などと表現しますが、僕の負けず嫌いは、そんな甘っちょろいものではありません。

詳しくは本文に委ねますが、僕は普通の育ち方をしていません。簡単に表に出せるような話ではありませんし、公にするようなことでもないので、これまでごく一部の人にしか明かしてきませんでした。

もちろん、メディアを通して語ったこともありません。

ただ、間違いなく「川田将雅」のベースはそこにある──。であるならば、それを明かさなければ、この本は嘘になると思いました。

とにかく普通とはかけ離れた子供時代だったので、多くの方にとっては参考にならないかもしれません。

でも、今の僕につながる思考やメンタルを形成した時代なので、はたして僕がどんな環境のもと、どんなふうにして育ったか、第1章を丸々使って紹介させてもらっています。世間に出しても大丈夫な範囲ですので、この本にはとても載せられない話も多く、物足りない思いもありますが(笑) 。



第2章で取り上げるのは、競馬学校の入学から卒業、生き残るために必死だった20代の頃。これまでの人生の中で最も挫折を味わい、なんとかこの世界で生き残ろうともがき、考え、何より一番ギラギラしていた時代です。

そこからもう一歩進むために、僕がどういう選択をしたのか。当時の心境も含めて、ありのままを綴っています。

第3章は、おもにハープスター以降の話です。生まれて初めて緊張しているのを自覚した桜花賞、そして凱旋門賞。

人はなぜ緊張するのか、緊張の原因とは何か、それらを取り払うには……など、僕なりのプレッシャーとのつき合い方を紹介しているので、参考にしていただける部分も多いのではないかと思います。

第4章のテーマは、レースで「勝ち筋」を見つけるために必要とされる能力について。一見、競馬に乗る機会のない方には何の参考にもならないようなテーマに思えますが、一般社会にも通じるものがあると僕は思っていて、ぜひとも読んでほしい内容です。

なぜなら、ジョッキーには馬を導く技術ももちろん必要ですが、その技術を本番で発揮できるか否かは、レース前の徹底した準備と、さらにメンタルの強さや洞察力、物事を客観視できる俯瞰力にかかっているからです。

レースはスタートからゴールまで瞬時の判断の連続ですが、それらの力があって初めて、正しい判断を積み重ねることができ、その結果、 「勝ち筋」を見つけることができるのです。

考えてみれば、これらはすべて、どんな職種であっても、上を目指したり道を切り開いたりしていくには、必要とされるスキルなのではと思います。



そして第5章。最終章では、人との出会いの大切さや、僕の「仕事人」としてのスタンスをまとめていますが、ここにも共感してもらえる部分、参考にしてもらえる部分が少なからずあると思います。

とはいえ、僕は極端な人間です。読み進めるうちには、 「自分と違うな」 「自分には無理」と思うところも多々あるでしょう。また、極端な人間だからこそ、遠回りをしたという自覚もありますが、それも僕自身が選び取った道です。

なぜなら、ありのままの自分でトップを目指し、そして頂点に立ちたかったから。

そんな僕の半生を通して、頂に辿たどり着くまでの思考法を綴ったこの1冊。

何か1つでも、たとえ1行でも、この本を手に取ってくださった方々の心を動かすことができたら──。それだけで僕は十分です。

2023年2月
川田将雅



『頂への挑戦  負け続けた末につかんだ「勝者」の思考法』

マカヒキでの日本ダービー制覇や、ラヴズオンリーユーでの米国ブリーダーズCフィリー&メアターフ勝利など、数多のG1レースで活躍してきた川田将雅騎手。2022年には最多勝利騎手・最高勝率騎手・最多獲得賞金騎手の三冠を達成し、史上4人目となる「JRA賞騎手大賞」を獲得。9年ぶりの「JRA生え抜きリーディングジョッキー」に輝いた原動力ともいえる、負け続けた末につかんだ “川田騎手流の思考法” が、本書にて存分に語られている。

【通信販売 / 電子書籍】(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046060433/

【KADOKAWAオフィシャルサイト書誌詳細】
https://www.kadokawa.co.jp/product/322207001339/



著者 川田将雅騎手 プロフィール

1985年生まれ、2004年に騎手デビュー。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を制しG1ジョッキーの仲間入り。2012年にはジェンティルドンナでオークス制覇、2016年にマカヒキで日本ダービーを制覇。2022年は最多勝利・最高勝率・最多獲得賞金の三冠を実現し、史上4人目となる「騎手大賞」を獲得。9年ぶりの「JRA生え抜きリーディングジョッキー」となった。


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