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今週は、調教助手のハードな仕事の一端を語ります
2009.05.14

先週の対談での、藤沢先生との『ダビスタ』ネタについて、読者の方から面白いという反応をいただきました。思い出すと、僕自身もそんな時代もあったんだぁという感覚を覚えるのが正直な気持ちです。藤沢先生と言えば、競馬ファンで知らない人はいない存在ですからね。

思い出話はそのくらいにして、今週からの対談では、いよいよ競馬の話をディープにしていきます。

あっ、あと、読者の皆さまに伝えさせていただきたかったのは、今回の一成(鈴木一成調教助手)との対談については、我々厩舎関係者が普段からこんな風に競馬の話をしながら酒を飲んでいる、ということだったりするんですよね。前にも言いましたけど、何も特別じゃありませんから。

それでは対談の続きをどうぞ。


[鈴木一成調教助手(以下、鈴)]初めて会った時に、こいつとは一生の付き合いになるなという直感があったよ。

[西塚信人調教助手(以下、西)]また、適当なことを言うなよ。

[鈴]本当だって。

[西]でも、お前が結婚式にエスパー伊藤を呼んで余興をやってもらって、しかもその後に俺が歌うことになってたなんて聞いてねぇぞ。

[鈴]知ってたら緊張して歌えなかっただろ?

[西]そ、そんなことあったな(笑)。

[鈴]だろ(笑)。

[西]でも、本当にお前と一緒に働くとは思わなかった。しかも、読者の方々はわからないだろうけど、西塚厩舎と一成が3月まで所属していた小島茂之厩舎は隣同士だったんだよな。

[鈴]そうだね。なにも隣じゃなくてもね。

[西]いまは攻め馬、何頭乗ってるの?

[鈴]4頭くらいかなぁ。

[西]中間は何をやってるの?

[鈴]スタンドに行って、先輩の助手や調教厩務員の攻め馬を見たり、『めざましテレビ』を観ていたりしているよ。

[西](爆笑) 小島厩舎時代には考えられなかったな。

[鈴]そりゃね。一度跨ったら、終わるまで跨りっぱなし状態だったから。

[西]いや、隣で見ていても本当に凄かった。一成といえば、小島茂之先生についても語り合わないとね。

[鈴]本当はここに(小島先生を)ゲストとして呼ぼうと思ってんじゃないの?(笑)

[西]その通り! でも、来てくれっかな?

[鈴]そりゃあ、来てくれるさ。対談をしたら、1ヵ月どころか、2ヵ月でも足りないかもしれないね。

[西]俺が話すところもないくらいだな。

[西・鈴](爆笑)

[西]話を戻すけど、よく大仲(厩舎内で厩務員さんたちが休憩するところ)へ遊びに行ったりしていて、小島茂之厩舎における仕事のシステムというか、流れって勉強になったし、凄いと思っていた。いま尾関先生の下で働いてみて、より強くそう思うというか、参考にさせてもらっているんだよね。上原厩舎に移ってみて感じるでしょう?

[鈴]理にかなっているというか、凄いと思うよね。馬主の方々に高い預託料をお支払いしていただいている厩舎としては、それに応えるだけの仕事をするのは当たり前という考えが基本だから。


[西]ブッチャけ、すべての面において、相当、いや、あり得ないくらいハードだったりするのに、あの厩舎の人たちは文句も言わずやるだろ。中でも、個人的には日記の細かさね。追い切りの内容は当然のこと、飼い葉の内容についても、何をどのくらい食べているとか、残したとか書くんだよね。あと、角馬場とかで丹念に乗っていて、右前の出がどうだとか、トモの入りがどうだとか、あるいは右のハミ受けがとか話し合っていて、大事にしていたよね。いつもふざけながらお邪魔していたけど、実は気になって見ていたんだ。

[鈴]乗り手のことも含めて、1頭の馬について厩舎のスタッフ全員で情報を共有するというのはすごく大事だと思う。栗東に行かせてもらって、いろいろな厩舎の攻め馬も見たけど、角居厩舎も角馬場で乗り替わりながら、みんなで意見交換していたんだよね。

[西]例えば、右トモの入りが悪いと言っても、原因はいろいろ考えられるわけだから、当然、対処方法もさまざまになってくるわけで、みんなで意見を出し合うというのはとても大切でしょう。

[鈴]そう、そう。原因が右トモにある場合もあれば、対角線の左肩、あるいはその首付近にある可能性もあるからね。それを乗り手がそれぞれ感じる意見を言い合って、把握するのはとても大切でしょう。それとね、例えば深管が痛いとした時に、その症状の時の歩様はこうなんだとか、ソエが痛い時にはこうだとか、そういうことも含めて、乗り手全員がわかるようになるわけですよ。本当に勉強させてもらいました。

[西]乗っていて、ここだとピンポイントで当てるのは難しいけど、膝の上か下かはわかる。あと、エビの歩様は独特じゃない。

[鈴]ツンツンする感じで、確かに独特だね。でも、小島厩舎で勉強させてもらったから、いまの俺があるのは間違いない。

[西]あとね、何が凄いって、自前のスタッフを必ず現地に行かせますというサービスだよ。それだけスタッフは大変なんだけど、かなり説得力がある、実は重要なサービスだと思う。

[鈴]よほどのことがない限り、臨場を他の厩舎に頼むことはない。

[西]実は、それは馬主さんに対するサービスであると同時に、調教助手たちに対して責任感を持たせるというか、モチベーションを上げるひとつの要素だったりするよな。

[鈴]そうね。そのレースの結果について、騎手に話を聞いたり、上がってきた直後の馬の状態を見たりして、次にどうするべきだと自然と考えるようになる。

[西]その場の空気だったり、その瞬間の思いを感じることで、もうひとつ上を目指したいと思ったりするものだと思う。テレビで観ているだけではわからない部分って、意外と多かったりするよな。

[鈴]あるね。

[西]返し馬がスムーズじゃなかったとか、ゲートを待っている間に実は入れ込んでしまっていたということは、実は珍しくないことなんだけど、とても大切なこと。でも、テレビではあまり映らなかったりする部分があるからね。

[鈴]鞍を置いて、パドックから送り出して、競馬を見て、パトロールを見て、そしてジョッキーと話をして、という流れのなかに、たくさん大切な情報が存在する。

[西]突然だけど、今回の転厩って、どうやって決まったの?


[鈴]助手で空きが出るようなところがあったら教えてほしいと、何人かの友人知人に声をかけていて、上原厩舎に所属していた伊藤大士先生が調教師試験に合格して空きが出たというのが経緯だね。

[西]前から他に行きたいというのは考えていたんだ?

[鈴]誤解すんなよ。小島厩舎が嫌になったというのではなくて、あなたには何回か話をしているけど、他の厩舎も見たいと前から思っていたんだ。

[西]そうだったかぁ。出張が多いのが嫌になったのかと思ったよ。

[鈴]だから違うって。いろいろ勉強したいと思ったんだよ。

[西]でも、お前は逃げて辞めてないよな。この前、一緒に小島厩舎の花見に行ったしな。

[鈴]だから円満転厩だって。小島先生に相談した時に、『いい話じゃないか』と背中を押してくれたんだよね。感謝していますよ。

[西]どちらにしても、(池田)鉄平ちゃんの人生を変えたのはあなただということで(笑)。

[鈴]そんなことはないよ。頑張っている。

[西]確かに、頑張ってやっていた。でも最初は、俺が入った西塚厩舎と成績はそれほど変わらなかったよな。パッパッと終わるウチに対して、それこそ朝から晩までビッシリ。さらにはプレッシャーがあってな。ブッチャけてしまえば、運動場で一緒になった時に、「それだけ働いて11勝かよ」とかって言ったけど、正直、どう思ってたのよ。

[鈴]『おい、もう帰るぞ』とか、わざわざ言いに来なくていいから。でも、絶対に後につながるというか、結果は出ると先生が言っていたし、俺もそう思っていたよ。

[西]それがブラックエンブレムの秋華賞制覇、そして今回の転厩につながったよな。

[鈴]そうじゃないから。

[西・鈴](爆笑)

[鈴]ブラックエンブレムが引退していない中での転厩だったから、正直、迷いましたよ。

[西]まあ、迷っただろうね。というか、迷わない方がおかしいかもな。ただ一成、読者の人たちは、調教助手の転厩がどういうことって、わからない人がいるんだよ。だから、ブッチャけちゃおうぜ。

[鈴]正直、今年で30歳になるし、余所も見てみたかったし、視野を広めたかったということしかないよ。

[西]違うだろ。子供が生まれたばかりで、出張が多く、人生を考えてのことじゃねぇか。りなちゃんの存在は大きかっただろ?

[鈴]存在は大きいけど、でもホント違うって(笑)。いま、体が動くうちに、せっかく声を掛けていただいたわけだし。

[西]ヒーヒー言っていたけど、まあ、今回はそういうことにしておくか。

[鈴]いや、確かに出張は多かった。しかも、朝、調教に乗ってから、新潟、福島だけじゃなくて、関西に行くのはそりゃハードだよ。

[西]確かにそれは認めるよ。西塚厩舎の俺は、近い東京、中山でさえも朝乗らなかったからな(笑)。読者のみなさんに説明させていただくと、土曜日は調教が朝4時から始まるんですけど、それで何頭か乗ってから関西まで出張に行きます。そしてレース終了後に美浦へ帰ってくるわけですが、最終レースとかだと帰ってくるのが夜の10時、11時になるケースが出てくるわけですよ。そして、翌日の朝2時に厩舎に行って、4時からまた乗って、また競馬があれば出張するということなのです。そうだろう?

[鈴]そうですね。ただ、小島先生自身もそれをやっているんだよ。そこで嫌だと言っちゃいけないと、俺は思う。普通の会社でもそうだと思うけど、社長がそこまで頑張っているのに、社員ができないというのは許されないだろ、給料をもらっている以上は。まして、このトレセンというところは、嫌なら他に転厩できるようなシステムになっているんだから。

[西]だから出たのね(笑)。

[鈴]だからそうじゃないって(笑)。でも、真剣に話すけど、社長がそこまで頑張っているんだから、嫌って言っちゃいけないって。

[西]確かにな。


今週はここまでとさせていただきます。いかがだったでしょうか。

来週は、栗東について、あるいは助手という職業についてと話が発展していきますので、どうぞお楽しみに。

あっ、そうです。(村田)一誠さんが『なんだ、俺は一成の後なのか』と、先週からずっと言い続けているんです。皆さん、一誠さんとの対談をどう思いますか? ぜひメールをお待ちしております。

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