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馬は本当に難しい。そう感じるのは、騎手も調教助手も同じです
2009.07.23

先週の対談についても皆様からメールをいただきまして、中には「マニアックなことについてはサラブレ本誌で解説してください」という方もいらっしゃいました。本当に温かいメールには感謝するばかりです。

そういう声が、編集部を動かしてくれることになると思いますので、今後とも活発なご意見、ご感想を送っていただきたいと思います。

それでは今週も、村田さんとの対談の続きをどうぞ。

[村田一誠騎手(以下、村)]俺(のアブミ)が短いイメージがあるって言うけど、みんなが持つイメージというのは、おそらく勝ったレースというのがほとんどでしょ。ということは、走る馬に乗っているわけだよね。ブッチャけて言うと、走る馬に乗る時は短くて済んじゃう。馬が勝手に走っちゃうから。それとは逆にすごくズブい馬などは、ウッチー(内田騎手)じゃないけど腰を入れて、尻を鞍に付けて追う時というのは長いね。

[西塚信人調教助手(以下、西)]やはり、そういうことですよね。

[村]極論で言えば、走る馬は邪魔をしなければいいんだよ。馬のリズムを崩さないように、ただ付いて行ければ良いわけだから。

[西]ということは、短い方が付いて行きやすかったりするわけですよね?

[村]そう。短いほど付いて行きやすいんだよ。

[西]なるほど、走る馬というのは邪魔をしなければ良いわけですね。

[村]ブッチャけちゃうと、なかなかそういう馬はいないんだけどね。こんなことを言っちゃっていいのかなぁ。でも、仕方がないよな、ブッチャけトークだから。

[西]いや、たいていの馬は走らないということは、ファンのみなさんには知っていただくべきだと、僕は思うんですよ。そうそうディープインパクトみたいな馬はいないから。

[村]その通り。でも、乗り役としては、そういう走る馬に乗っていないと感覚を忘れちゃうものなんだよ。

[西]そういうものですか。

[村]うん。まあ、俺は逆に走らない馬にも乗っていないからね。

[西]いや、いや。村田さん、笑えないところですから。でも、そういうイメージはないんだよなぁ。

[村]騎乗数は少ない方だよ。

[西]今週、土日で何鞍くらいの予定ですか。

[村]おそらく5、6頭かなぁ。俺は何でも乗るんだけどなぁ。

[西]あまり、そういうイメージがないんですよね。村田さん、いま一番ってどこで乗っているんですか。

[村]中川厩舎だね。

[西]中川厩舎と言えば、キョウエイストームっていますよね。あの馬、西塚厩舎の馬主さんが買いそうになったんですよね。

[村]あの馬、走るよ。

[西]一緒に牧場で見た時に、良い馬だと思ったんですよね。

[村]追い切りとか動いていなかったらしいんだよ。でも、新馬の返し馬で乗ると、良かったんだよね。競馬に行って良いタイプだと思った。また、なぜかわからないけど、いつも人気がない。でも、人気以上に走るし、正直、こちらが思っている以上に頑張って走ってくれるんだよ。

[西]へぇ、そうなんだぁ。何か理由はあるんですか?

[村]負けず嫌いというか、頑張ろうという気持ちが強いんだよね。

[西]サンデーサイレンスの肌なんですよね。

[村]その影響かもね。夏を挟んで良くなってきたし、これなら1000万でもと思わせられる馬になったんだよ。

[西]馬って成長しますよね。

[村]ハッキリ言うと、変わってこないと駄目。

[西]よく言われますよね。

[村]またさ、乗った感触より走る馬というのは変わってくるんだよ。ちゃんとした馬になってくるから不思議だよね。


[西]変われるのも素質なのかもしれませんし、走る馬は変わるって言いますからね。

[村]センスという部分もあるのかもしれないけど、まあ俺もそれほど長くやっているわけじゃないから。

[西]他にはどこで乗っているんですか?

[村]あとは佐々木厩舎で、500万を勝たせてもらったヤマニンに乗っているんだよ。口向きが悪くて、直しながら毎日乗っている。

[西]勢司先生のところは手伝っていないんですか?

[村]手伝ってないよ。あそこの馬、難しいからね。

[西]そうですか。

[村]他の乗り役とかにもさ、『お前、よくテキとしゃべっているけど、よく話わかるな』って言われる。だけど、『この馬、こういうところがあります』とか『この馬、こうしよう』とか、馬の話をするの、俺は嫌いじゃないからね。でも、言葉ではじゃべれても、体じゃなかなかできない。

[西・村](爆笑)

[村]いやぁ、馬って難しいよ。

[西]いやぁ、やればやるほど難しいと思います。

[村]でもね、頭で分かっていなければ何もできないわけよ。頭で分かっていなければ、分かっていないということだから。

[西]そうですよね。他に手伝っているところってないんですか?

[村]ないというか、正直に言うと、平日はあまり入れていないんだよ。というのは、平日に乗るということは、追い切りにも乗るということになるでしょ。そうすると、普段乗っている馬以外に、他に競馬に乗る馬の追い切りに乗ってくれというリクエストも入ってきて、いっぱいになっちゃうじゃない。しかも、どこの厩舎も時間までだいたい一緒だから、どちらにしても限られてきゃうんだよね。

[西]じゃあ、今度、尾関厩舎をお願いします。時間は他とズレてますので。いまだと6時50分というところもありますよ。7時30分にはあがってこられますけど。

[村]残念ながら、佐々木厩舎が7時20分なんだよね。

[西]でも、なんかあったら、本当によろしくお願いします。しかし、7時20分って、随分と中途半端じゃないですか?

[村]馬のいない時間に乗りたいからさ。馬がたくさんいることでイレ込んじゃうのは避けたいし、口向きを直しながらだから馬場を歩かせたりもするし。そこをバリバリキャンターで来られても困る。

[西]村田さんがやっているように1頭1頭に合わせて調教するということも、やはり大切だと思いますよ。

[村]馬によって変えなきゃいけないと思う。もちろん、集団で統一して調教する良さもあるし、それはそれで良い。ただ、あくまでそれぞれの馬、そしてその状況などに合わせるということも大切だと思う。ただ、やっぱり時間が限られているし、調教師の先生たちも全頭の調教を見ようと思ったら、なかなか難しい面はあるだろうね。

[西]確かに。

[村]そういうことで言えば、馬が変わるという話をしたけど、厩舎の調教も変わるよ。後藤厩舎を手伝っていた2年近くの間だけでも、方法が相当変わったからね。『あれっ、また変わった』という感じで、頻繁と言っても3カ月くらいだったかな。先生も、いろいろ試したいんだろうけど、またそれが俺には勉強になった。『なるほど、そう考えるんだ』ってね。

[西]なるほど。管理する方としては皆一緒が楽なんですよね。

[村]そうだろうね。でも馬は1頭1頭違うわけだし、俺は調教師の勉強をしたことはないけど、例えば短距離と長距離では違うんじゃないの?

[西]そういうことにもっと繊細になって良いでしょうし、解明されていない以上、可能性は探るべきだと思うんですよね。極端な話、牝馬の中には食べたり食べなかったりする馬っていて、その馬に与えるものをコロコロ変えれば良いというものではないと思うんです。なぜ、食べないのか、その理由が分からないから難しい。追い切りをやった日に食べないというのであれば分かりやすいんですけど、そうじゃなかったりするんですよ。追い切りの日は普通に食べたのに、2日後に食べなくなったりするんですから。本当は、そういう面を考えながら調教を進めていったりすることができれば良いのでしょうが、なかなか難しい部分もあって、完璧にというのは難しい。


[村]何回か、いろいろなことを試すというのは大事だよね。だって、ひょっとしたら強い追い切りをした方が食べるかもしれないわけじゃない。ひょっとしたら体が減っちゃうかもしれないけど、試していない以上、可能性はあるわけだし、完全に答えが出たということじゃないからね。

[西]そうなんですよ。さらに言えば、食べ物だけに要因を求めるのはリスキーだとも思うんですよね。

[村]俺はさ、乗る方だから、飼い葉を食べる、食べないというところまでは、言われない限り考えないよ。指示がない限り、どういう調教をしたいという思いなんだよね。

[西]僕はそこで『食べていないので、少し軽めで』とか、話をするべきだと思うんですよ。

[村]もちろんだよ。例えば、口向きを直すのに、どこでやるか。ピリピリして食べていないというのであれば、馬場に入れないで、角馬場のみにするとか、話をすることで工夫ができる。ただ、口向きを直すって簡単に言うけど、根気強くやらないといけないし、角馬場だけでも馬は相当体力を使うんだけどね。フーフー言うから。馬も俺も。まあ、ロンギを掛ければ一発だろうけど。

[西]いやいや。

[西・村](爆笑)

[西]ハミ受けということで言えば、本当は嫌がる理由を突き詰めていかなければいけないはずなんですよ。ただ、なかなかそこまでできないというのが現状ですよね。

[村]いま乗っている馬でも、1日ごとに助手さんと交代で乗りたいと思う。お互いの感覚を意見交換したいよ。いまのところ、土、日は競馬で乗らないから、その時はよく話をするようにしてるけど、本当は1日ごとに乗りたい。実は、そうした方が、早く直すことができるんじゃないかと思う。毎日、同じ馬に同じ人間が乗るというのではなく、みんなでバランス良く乗るようにした方が良いよね。

[西]そうですよね。不思議なもので、トモの悪い馬って、どちらが悪いかって分からなくなることってありませんか。

[村]ある。というか、もしかしたら前が悪くて、トモにきているということもあるからね。

[西]そう、そう。そこは乗っている人によって感じ方が違ったりするんですよ。

[村]競馬で故障したら、俺はすぐ停めちゃうんだけど、どこがいったか分からなくなる時があるくらいだから。パンクしたことは分かるけど、トモか、前か、分からなくなることがある。

[西]そうですか。トモが悪い馬でも、右か左かという時に両方って言う人もいますからね。本当に、感じ方が違うんだよなぁ。

[村]診察したら右前だったとかね。

[西]そう、そう。だから難しい。

[村]前に俺が乗っていて、右前が出ない馬がいたんだよ。ある時、追い切りじゃないのに『調教で乗ってくれ』って言われたんだ。聞いたら『左前が出ないんだ』ということで乗ったら、本当に左前が出ない。結局、調べたら、右をかばって左になっちゃったということがあった。

[西]ある、ある。でも、間違いなく微妙な感覚であるし、誰が正しいとかじゃないんですよ。ただ、そういう話をどこまで掘り下げてできるかというのがとても大切だと思うし、ブッチャけると、そこが厩舎の力なんだと思うんですよ。

[村]意見交換ができなきゃ駄目だよね。

[西]そうなんですよ。でも、村田さんを前に言っちゃいますけど、騎手の人がそこに入ると、また難しかったりするんですよ。騎手の人たちも仕事だから、『ここまでは言う』という基準が人によって異なるんです。

[村]確かに違う。それこそ、その馬に競馬で乗る、乗らないによっても違ってくるからね。

[西]その空気を読みながら、意見を交換していかないとならない。また、そこが難しかったりするんですよね。

[村]例えば、自分が乗る馬がいて、今週は乗れるけど、来週は乗れないという状況があったとする。その時に「乗って確かめてくれ」と言われたら、足りない、あるいは良くなかったとしても、多少なら『これくらいなら大丈夫です』って言うべきなのかもしれない。でも、『来週は僕は乗れませんが、来週にしてください。もっと言えば、その時の様子を見てからにした方が良いですよ』って言っちゃう。馬のことを考えたら、使うべきじゃないと思うんだよね。また後で乗せてくれれば良いとも思って言うんだけど……だから、俺、成績が悪いんだろうなぁ。

[西]そこには厩舎の関わり方という部分で差はありますか?

[村]ないね。やっぱり、そこは馬なんだよ。だって、俺が乗っていてずっと着に来ている馬がいたんだけど、どう乗っても勝てない。俺自身でも思うように乗れていたから、調教師の先生に『俺じゃ勝てないから、3kg減量のアンチャンを乗せようよ』って言ったんだよ。そりゃ、権利があるから普通は乗りたい。上手くすれば、勝てるかもしれないしね。でも、そこで何回も着を繰り返すよりも、3kgを使って勝った方が良いって思ったし、そう言っちゃうんだよ。

[西]話が逸れちゃいますけど、3kgって、やっぱり効きますか?

[村]効くよ。3kgは本当に走る。3kgを金で買えるんだったら、どんなことをしても買うよ。でも、買えたら、(武)豊さんとか、(横山)典さんとかも買うからイーブンになっちゃうんだけどさ。

[西・村](爆笑)

[村]でも、3kgは本当に走るよ。3kgって技術の差をカバーしちゃう。デビューした当時はそんなことはないと思っていたけど、いやいや、とてつもなく大きい。実際、自分で乗っていてというか、大井競馬でも軽い奴が来るからね。『やっぱり減量か』と思う。

[西]では、ハンデ戦もそういうところはありますか。

[村]いや、ハンデ戦は力差によって斤量に差を付けているわけだから、また違うよ。ただ、定量戦での3kgは相当。ブッチャけ、走らない馬が走る。よく『あの馬、持ってきたなぁ』とか言われるけど、3kgあるからだから。

[西]そこまでとは、あまり感じなかったなぁ。

[村]そう感じさせないのは、(3kg減の騎手に)技術がないからだよ。やっと勝ったというシーンが多いからで、もし上手い人が3kgもらったとしたら、そりゃ間違いなく大差となるよ。

[西]なるほどね。あと、個人的に聞きたかったんですけど、村田さん、『ダビスタ』ってやりますか?

[村]やるよ。

[西]やっぱり、騎手は村田一誠ですか。

[村]違うよ。

[西]誰ですか?

[村]それは……

いかがでしたでしょうか。実は、村田さんとの対談は今週で最終回の予定だったのですが、まだ話が終わらないので、来週ももう一回いかせていただきます。よりディープに、そしてより長くなるかもしれませんが、みなさんお楽しみに。

あと、最後にノビーズについて報告させていただきます。いまオリジナル曲の制作を行っておりまして、次回のライヴまでにはTシャツなどのグッズとともに、CD化を進めております。

また、秋に次のライヴの計画も進めておりますので、どうかみなさん、よろしくお願いいたします。

ということで、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。

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