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馬は頭を低く下げることで、前へ出て行く力が脚に伝わるものなのです
2009.09.17

先週日曜日(13日)、新潟4R新馬戦でエフテーグンダイが2着となりました。

エフテーグンダイは、エフテーララーヤの妹です。新馬戦でピンクカメオの2着となった姉よりも背中が柔らかくて、やれるんじゃないかと思っていたのですが、いやぁ、頑張ってくれました。

調教で良い手応えを感じた馬が結果を出してくれると、やはり気持ちが良いものです。今後も頑張ってくれると思っていますので、ぜひ応援をお願いします。

では、今週も、鍋掛牧場の沖崎場長との対談をお送りします。どうぞ。

[沖崎誠一郎場長(以下、沖)](走る馬のフォームについては)ディープインパクトをイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。体が小さいのに、トモの振り幅にしても明らかに大きい。ということは、脚元への負担も小さく、それだけ速く走れるということですよ。

[西塚信人調教助手(以下、西)]ボディが軽いのに、一完歩が大きいということですよね。

[沖]多くの馬たちは、ディープインパクトとは一完歩の大きさの違いはあったとしても、同じような構造を持ちながら活かしきれていないケースが少なくないと言える。活かしきれない馬、あるいは構造的な特徴を活かしながら動くことができない馬たちを、少しでも良く動けるようにと、みんなが頭を悩ましているわけだよね。

[西]はい、そうです。

[沖]その時に、直線での運動において、頭を下げ、トモが入るように、収縮運動を求めることは、とても難しい。馬は苦しく、乗り手はそのパワーに負けてしまう。それが輪乗りなど、曲線を描く運動をすることで楽になるんだけれど、それは、内方の後ろ脚が入りやすくなるからです。なおかつ、外方の後ろ脚を踏ん張ることで、遠心力で振られることを防いでいる。だから、例えば右トモの弱い馬は左手前となった時、キッチリと周回することができないのです。

[西]調馬索をすることで、そういう部分がより分かりやすいと感じたんです。トモが同じ力だと、本当にきれいな円を描くことができますからね。

[沖]そうだよね。さらに、頭を下げることができるようになると、口とトモが繋がってくるようになるでしょう。口が軽くなって、トモの踏み込みが深くなって、そして背中が柔らかくなる。よく背中が良い馬という表現が用いられるけど、まさにそういうことなんですよ。

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[西]何も背骨が柔らかいわけじゃないということですよね(笑)。

[沖]そう(笑)。ある程度、馬に乗った経験のある人なら、今日は硬いとか、柔らかいというのが分かるはずで、調馬索をすることで、その柔らかい状態になりやすいと言えるでしょうね。

[西]実際にその時は、背中には人は乗っていませんしね。

[沖]そう、背中には負荷がない状態で、ハミでコントロールすることができるわけだよ。しかも、ダブルレーンによって、常に馬に指示を与え、推進力を求めることができる。もし1本なら、指示を与えて推進力を求めようとすると、ステッキを使わざるを得ない。もう1本の手綱があることで、馬を前に送り出しやすくなる。


[西]写真などを見ていただくと、読者の方には分かりやすいと思うのですが、もう1本の手綱とはお尻の後ろを通っている手綱のことです。話を戻しますと、場長が口とトモが繋がるというお話をされていましたが、角馬場とかでそれをつくりたいという意識が、いまのトレセンでも広がっていると思うんですよ。ただ、それを乗ってやるのと、調馬索でやるのでは、明らかに後者の方が楽というか、簡単にできますよね。

[沖]信人もだいぶ分かってきたね。調馬索で馬を抑えやすいということについては、結果として外方がストレッチされるようになる。例えば、左手前で回っている時には、右外側が伸ばされるようになるのが分かるでしょう?

[西]はい。円を描く運動をするなら、外側が伸びざるを得ないということですよね。

[沖]そう。調馬索をしている時は、どうしても内側からしか見ることができない状況だから、内方姿勢と言われても、具体的には把握し難いところはある。ただ、外側が伸びるというのは分かるし、そうすることでトモの踏み込み、そして肩の出を良くすることができるということなんだよ。

[西]ハッキリ言わせていただくと、西塚厩舎の最後の頃、場長に調馬索を教わって、実践したところ、軒並み結果が出たんですよ。チチブヨマツリ、ジェイキング、そしてイモータライズという3頭は、間違いなく場長に調馬索を施してもらって、厩舎でもやった効果だと確信しています。

[沖]まあ、それだけじゃないだろうけどね。

[西]いや、チチブヨマツリなどは、ポリトラックで騎手が乗って追い切りをかけても、目一杯やって72(秒)という感じだったのです。その弱点は、背中が落ちゃう。頭をあげて、腰が引けてしまうような感じで、トモが入らず、前はバタバタという走りになってしまい、叩こうが走れない。でも、暴れた時などの動きからはバネを感じさせられて、体を上手くまとめることができたら爆発するんじゃないかという思いがあり、そこで調馬索となったのです。

[沖]まさに、トモと口がつながっていない感じだったよね。

[西]最初は、回るしかないから回っているのですが、極端な言い方をすればそうしているうちに、馬自身もどうやって走ったら楽かということで、どんどんハミを探し始めるようになった。そして馬場に出ても同じように、ハミを取らなかったものが、自ら探し始めるわけですよ。つまり、頭を上げたらハミは取れませんから、必然的にトモが入っているということなわけですよね。いやぁ、正直、驚きました。

[沖]馬の構造という言い方をすると、難しく感じてしまうかもしれない。でも、相撲で四つに組む、あるいはラグビーでスクラムを組む時、頭を上げている状態では力が入らないでしょう。頭を低く下げることで、前へ出て行く力が足に伝わるわけですよね。

[西]そういうことですよね。小さい子どもでも、何かを前に押せと言われたら、頭を下げて押しますからね。

[沖]昔は、馬に推進力を求める時に、馬の額で壁を押すような状況をつくれ、という教わり方をしたりもしたよ。

[西]へぇ。

[沖]それが分かりやすいのが調馬索ということだよね。


[西]チチブヨマツリは、調馬索を繰り返しすることで、徐々にハミを取ることができるようになって、追い切りでの動きも徐々に変わりましたからね。最後は65(秒)くらいで動けるようになったんですよ。

[沖]最後は、そういう手応えを感じることができたんだ。本当に良かったね。

[西]場長には、それこそロンギ場から『いま回っているんですけど』って、電話したこともありましたよね(苦笑)。でも、最後はそこまで良くなってくれたんですよ。あと、その時に感じたことがもうひとつあって、それでも前の硬い馬は硬いままということなんですよ。だから、トモの入りと、前の硬さは別物なんだと思いました。

[沖]そうだよね。良いフォームで走ることができるようになっても、前が硬いというのは、筋肉の質や姿勢など構造上に原因があったりすることが多く、なかなか解決できることではないし、ある意味、その馬の能力とも言えるでしょう。ただ、少しでもと考える時、推進力の源であるトモ脚の力を効率良く伝えられるような姿勢をつくった方が良いわけです。無暗にただ走らせていても、体力を浪費するだけですから。

[西]そうなんですよ。キッチリとしたフォームで走った方が、効率良く筋肉が付いてくるような感覚を覚えます。

[沖]多くの馬に対して、テクニックで瞬間的にやらせようとすれば、できないことはないよ。でも、長い時間は無理。馬にとっては苦しいから。飛んでいく馬もいるし、それこそ引っ掛かっちゃう。でも、それが調馬索なら、すぐに収まるから。つまりは、リスクが少ないということだよ。

[西]語弊があるかもしれませんけど、簡単なんですよね。だから、僕としては、トモの入りがと散々言っておきながらなんですけど、より危険が少なく、より簡単な調馬索をどうしてやらないのか、不思議で仕方がないですから。まあ、乗ることに対してのプライドなのかなぁと思うんですよ。もちろん乗るということを否定するのではなく、調馬索も取り入れて良いんじゃないか、ということなんですよね。

[沖]頭を下げて、トモを踏みこませるということを、乗って、なおかつ人の扶助によって求めるというのは、相当な技術と知識と経験を持っている乗り手ではないと、なかなかできないことでしょう。ただ、最後は人が乗ってレースに向かって追い切りを行うわけで、そういう部分があるということなのかもしれないね。

[西]そうなんですけど、馬が扶助に従って動けるかどうかということは大切だと思うんですけど。

[沖]そうだよ。しかもより軽い扶助で、馬が理解をして従ってくれるようになることが良いわけですよね。

[西]調馬索をしっかりとやって、頭を下げて、トモが入るようになった馬は、乗りやすくなりますよね。

[沖]そう、口とトモが繋がった馬に乗ると、最初に乗りやすいと感じるはず。そこまでの段階となったら、経験のある人は『どこまで扶助に従うことができるだろうか』と、停止して、そして後退させるわけですよ。

[西]なるほど。

[沖]口とトモが繋がっていない馬は後退できませんよね。

[西]はい、そうです。

[沖]軽い扶助で前に送っておいて、なおかつハミで制御すると馬は後退する。口とトモが繋がっている馬はそれがスムーズに行うことができるのです。そのことを、どの馬にも求めるということは、効果があることだと思います。

今週はこのあたりまでとさせていただきます。

今回の対談はあまりにもマニアックなのではないかという思いがあり、場長に協力していただき、実際に調馬索を行なっている動画と写真をアップさせていただくことになりました。

場長も説明していますが、馬の顔の横から、馬の首の下を通って胸前にかけて2本のゴム紐が通っているのですが、それに緩みが出ると、頭を下げることができている、ということになるのです。

他では、先週の話にも出たように、馬の顔が外へ向いているか否かとういうのもひとつのポイントですね。

あと、馬が人間を受け入れた状態となると、四本の脚を揃えて停止するんですよ。

マニアックな話かとは思いますが、写真や動画を見ていただき、このようなトレーニングを通して私たちが日々模索していることもお分かりいただければと思います。

話は変わりますが、前回の対談に出ていただいた桑原さんが担当するマイネルスケルツィが、先週の京成杯オータムHで3着に頑張りましたね。桑原さんの毎日の頑張りがそこにはあると改めて感じます。

ということで、最後はいつも通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。

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