リーチザクラウンのカリスマ性に惹かれつつある!?
文/編集部

過去20年の
きさらぎ賞出走馬の牡馬クラシック成績を見ると、
皐月賞[3.4.2.44](勝ち馬は90年
ハクタイセイ、03年
ネオユニヴァース、06年
メイショウサムソン)、
ダービー[3.8.4.34](勝ち馬は98年
スペシャルウィーク、03年
ネオユニヴァース、06年
メイショウサムソン)、
菊花賞[3.3.5.30](勝ち馬は96年
ダンスインザダーク、99年
ナリタトップロード、07年
アサクサキングス)となっている。
そして、その7頭の
きさらぎ賞での成績はというと、
ハクタイセイ、
スペシャルウィーク、
ナリタトップロード、
ネオユニヴァース、
アサクサキングスが1着、
ダンスインザダーク、
メイショウサムソンが2着だった。
牡馬クラシックと関連性が強いきさらぎ賞ではあるが、
連対していたかどうかが、その先の大舞台に向けて重要とも言える。
今年は1着
1番人気リーチザクラウン、2着
2番人気リクエストソング。3着には
単勝181.5倍のシンガリ人気だった
エンブリオが突っ込み、ちょっと驚かされたが、上位2頭は
人気通りで順当な結果だった。過去の傾向からいえば、
リーチザクラウンと
リクエストソングが、
クラシックホースとなり得る権利を得た、ということになるだろうか。
それにしても、
リーチザクラウンが能力上位であることは認識していたが、
2着以下に3馬身半差をつけて圧勝するとまでは、正直、想像できなかった。直前の追い切りでは、併せた新馬の
アイアンルック(デビュー戦は7馬身差の圧勝だったが)に先着を許し、今回はマイナス4kgで、
デビュー以来続いている馬体減に歯止めがかかっていない。
ひょっとすると、他の有力馬の後塵を拝する結末もあるかもしれない。心配性の虫が騒ぎ、レース直前は
単勝1.5倍という圧倒的な人気ほど、自分の中では信頼を置きづらい印象を受けた。だが、いざふたを開けてみれば、その心配は単なる杞憂にすぎなかった。
行く構えを見せない他馬を尻目に、抑え切れない感じでハナに立った
リーチザクラウンだったが、あとは悠々とマイペース。持ったまま直線に向き、馬場の良い中央に進路を取ると、
武豊騎手の右ムチ一発で後続を突き放し、あとは馬なりのまま先頭でゴールを駆け抜けた。
3馬身半差という着差以上に力の違いを見せつける結果だった。
98年の
きさらぎ賞において、
単勝1.7倍の1番人気で
3馬身半差の圧勝を飾った父
スペシャルウィーク。そして、息子
リーチザクラウンも
単勝1.5倍の1番人気で
3馬身半差の圧勝。
差し切りを決めた父、
逃げ切りを決めた息子という違いはあるにせよ、鞍上が
武豊騎手、オーナーが
臼田浩義氏という点でも共通していて、
類似点の多い父子二代同一重賞制覇となった。
過去20年の
きさらぎ賞を振り返っても、
2着以下に3馬身差以上をつけて勝利したのは、
スペシャルウィークと
リーチザクラウンしかいない。過去10年の
1着馬と2着馬の着差を時系列で見ても、
クビ、クビ、半馬身、クビ、半馬身、クビ、ハナ、半馬身、1.3/4馬身、3/4馬身と接戦が多い。クラシック候補が揃う出世レースで2着以下に大きな差をつけ、圧倒的なパフォーマンスで勝利するのはやはり、
稀有な存在だろう。
栄冠へ向け、着実に一歩前進した
リーチザクラウン。本賞金を加算できたことで、今後のローテーションにもゆとりが出てくるだろう。だが、
皐月賞が行われる
中山芝2000mと似た舞台(グルッと1周し、最後に急坂がある)の
ラジオNIKKEI杯2歳Sでは、その4馬身先に
ロジユニヴァースがいた。3勝は
芝1600~1800m、
関東への長距離輸送が未経験という部分には、まだ不安を残す。
弥生賞に出走してくれれば、その不安の所在をはっきりさせることができるのだが、それは現時点では分からない。再び、心配性の虫が騒ぎ始めてきたが、また、
きさらぎ賞のように、
リーチザクラウンを3連単1着固定にして、馬券を買っていそうな自分がいるような気もする(次こそは3着ヌケという切ない結末はご免被りたいところですけど)。
強すぎてスキがない馬より、
強いけどちょっと危なっかしい面もある馬のほうが魅力的というか、どこか惹かれる。
リーチザクラウンはカリスマ性があるなあ。自分の性格を再確認でき、また、自分の中で
リーチザクラウン像が形成されつつある、15の夜(もとい、正確には2月15日の夜)でした(笑)。