この断然人気でこの逃げ切りは限られた名馬にしかできないもの
文/編集部
デビュー戦からオール連対で、前走で重賞を勝っている馬が3頭揃ったが、最終的にその3頭の単勝オッズは、
ロジユニヴァースが
1.3倍、
セイウンワンダーが
4.8倍、
アーリーロブストが
8.1倍。最終オッズからは、
「ロジユニヴァースで断然!」という雰囲気が漂っていた。
10頭立てという少頭数だけに、上位人気馬たちがどういった位置取りで牽制し合うのかに注目していたが、抑え切れないという抜群の手応えで最初に動きを見せたのが断然の
1番人気馬。スタート直後は、大方の予想通り、
レオウィザードがハナへ行くかと思われたが、それを制して逃げたのが、なんと
ロジユニヴァースだった。
ある程度、先行するとは思っていたが、予想していなかった展開。自分はこれを見た瞬間、まず思ったのは
「ああ、これでたぶん、ロジユニヴァースが勝つことはなさそうだな」ということだった。
それはまず、弥生賞の過去の結果を予習していて、
「過去10年で、逃げ切りは02年のバランスオブゲームだけ。②~③着に粘ったのも、04年②着のメイショウボーラーしかいない」というデータが、頭に浮かんだということもあるだろう。
ただ、それ以上に大きかったのは、
長年、競馬を見続け、馬券を買い続けてきた中で培われてきた経験則のようなものというか、
「これだけ断然の人気になっている馬が、芝中長距離の重賞で逃げに出て、勝ち切るのはかなり難しいんじゃないか」という面が、あると思われる。
レース後に、改めて調べてみた。90年以降、今回の
ロジユニヴァースと同様に、
「芝1800mの重賞で、単勝1.4倍未満の断然人気となった馬が、最初のコーナーから先頭に立ち、そのまま逃げ切って勝ったケース」は、果たしていかほどあるのか。
やはりというか、自分が想像していた以上に少なかった。90年以降に該当は
7件のみで、馬名で挙げると3頭だけ。
92年の皐月賞と
京都新聞杯における
ミホノブルボン。
98年の中山記念、
小倉大賞典、
毎日王冠における
サイレンススズカ、
05年の金鯱賞における
タップダンスシチー。
さすがという感じの印象深い名馬たちばかりが並んでいる。
この3頭のうち、
8歳時の記録だった
タップダンスシチーこそ次走以降に馬券圏内がないまま引退したが、
3歳だった
ミホノブルボンは、
皐月賞を2馬身半差で逃げ切った後、
ダービーも制覇。
4歳だった
サイレンススズカも、
小倉大賞典を3馬身差で逃げ切った2走後に、
宝塚記念を制している。
これらの例を参考にするなら、
「3歳3月の時点において、弥生賞で1.3倍の断然人気に推されて、2馬身半差の逃げ切り」という
ロジユニヴァースも、
ミホノブルボンや
サイレンススズカのように、
皐月賞や
ダービーに向け、
一歩も二歩も抜け出した存在になったと考えていいだろう。
ちなみに
ロジユニヴァースは、3歳春に二冠を制した
ネオユニヴァースの産駒で、父は春二冠でともに
1番人気だったものの、単勝オッズは
皐月賞・
3.6倍→
ダービー・
2.6倍。
皐月賞では、
きさらぎ賞を
単勝1.5倍で逃げ切った
リーチザクラウンとの再激突となるが、
ロジユニヴァースは着順とともに、
父と比べて、どういった単勝オッズとなるかも興味深い。
また、先述の
ミホノブルボンが
ダービーを制した時の2着馬は、
単勝114.1倍の16番人気の
ライスシャワー。
サイレンススズカが
宝塚記念を制した時の2着馬は、
単勝42.3倍の9番人気の
ステイゴールドだった。こうして見ると、
2着馬の2頭はともに、後にG1を制していることになる。
ロジユニヴァースは順調なら、おそらく
皐月賞で
1番人気に推されるだろう。そして、もしこの馬が順当に勝利して、2着が意外な人気薄だったとしても、
「ロジユニヴァースとともに、その2着馬も後のG1戦線で目が離せない」という注目の仕方もあらかじめしておくと、後々の馬券で、役立つ面があるかもしれない。