サクラオリオンも上がり馬と言って良かったのかも!?
文/編集部
中京開催の開幕週である。今年は変則開催で1月に
6日間の開催があったため、3月の中京開催も
6日間で行われる。昨年は
開催2週目に行われた
中京記念だが、今年は
開幕週で行われることになった。
中京開催の開幕週は内枠、先行有利で、徐々に外差し馬場になっていくことは、みなさんもご存知のことだろう。ところが、前日からの雨の影響で
重馬場となったことで、馬場の読み方が難しくなった。果たしてこの馬場は後方馬の斬れ味を封じ、さらに先行有利となるのか、それとも先行勢のスタミナを削ることになるのか。直前まで悩まされた。
それでも、断然の1番人気となった
ヤマニンキングリーは好位差しの安定した走りで重賞3連対中。同コースの
中日新聞杯も制しており、鞍上も年明けから重賞でも乗れている
武豊騎手ということで、馬券の中心はこの馬で仕方ないと思った人も多かったことだろう。
95年の改修以後では、95年
チョウカイキャロル、97年
アロハドリーム、98年
トーヨーレインボー、99年
エリモエクセル、00年
メイショウドトウ、02年
ツルマルボーイ、03年
タガノマイバッハ、06年
マチカネオーラ、08年
タスカータソルテと
4歳馬が9勝を挙げている。そんな心強いデータもあった。
レースは予想通り、外枠もお構いなしに
ヴィクトリーがハナに立つ。内から好スタートを切った
レッツゴーキリシマは2番手に控える。そして、
ヤマニンキングリーは好位集団の後方、7番手で馬群の内側につける。
前をいく
ヴィクトリー、
レッツゴーキリシマが競らなかったことで、ペースはやや落ち着いた流れに。馬群は3コーナーを過ぎたあたりで後方集団が一斉に前に迫り、ひと固まりになる。
直線に入ると、逃げ切りを図る
ヴィクトリーに
レッツゴーキリシマが並びかけ、いつの間にかその直後につけていた
ヤマニンキングリーが外に出して交わしにかかる。前々走の
中山金杯、前走の
小倉大賞典と、あと一歩のところで勝ちを逃していただけに、早めに仕掛けていったように見えた。
狙い通りだったのか、直線半ばには先頭に立った
ヤマニンキングリーがそのまま押し切るかと思われたが、さらにその外から伸びてきたのが
サクラオリオンだった。ゴール直前で
ヤマニンキングリーに迫って、これを差し切り、
重賞初制覇を飾った。
ヤマニンキングリーはこれで
3連続重賞2着となった。
3着に
レッツゴーキリシマ、4着に
ヴィクトリー。
終わってみれば、開幕週に相応しい先行有利の前残り馬場だったということだろうか。勝った
サクラオリオンも、
ヤマニンキングリーをマークするかのようにレースを進めていたため、直線入り口では先頭にほぼ並びかけていたことが勝因のひとつだろう。
そしてもうひとつ。00年以降、このレースは3走前までに条件戦を勝ち上がっているような、いわゆる
上がり馬が好走しているレースだったこともプラスに働いたか。
00年1着メイショウドトウ(3走前、ドンカスターS)、
01年1着ロードクロノス(3走前、外房S)、3着
マイネルブラウ(2走前、寿S)
02年1着ツルマルボーイ(2走前、1000万下)、2着
アンクルスーパー(2走前、寿S)
03年1着タガノマイバッハ(前走、飛鳥S)
04年2着ナリタセンチュリー(前走、松籟S)
05年1着メガスターダム(2走前、松籟S)
06年1着マチカネオーラ(前走、アメジストS)
07年2着シルクネクサス(3走前、寿S)
08年3着ワイルドファイアー(2走前、初富士S)
15番人気で穴を開けた
サクラオリオンはここ3走こそ
重賞、
重賞、
オープンだったが、4走前は
1600万下の
ポプラSを勝っていた。昨年夏のことであり、近3走以内でなかったため見逃していたが、
サクラオリオンも
上がり馬と言って良かったのかもしれない。
7歳馬にして28戦のキャリアを誇る
サクラオリオンは、準オープンでは
ポプラSの勝利までに
13戦を要した。そして、
オープンに上がってからは
7、10、6着。低評価だったことも仕方ないと思われるし、それは、
中京芝2000mでの2戦(12着、10着)を含めて、これまで左回りでは6戦して馬券圏内が一度もなかったことも影響していたのだろう。
サクラオリオンはこれまでに
芝2000mで14戦し、
2勝・2着1回・3着2回という記録を残していた。準OPを勝利した
ポプラSも該当する(
札幌芝2000m)が、馬券圏内に入った5戦は走破時計がすべて
2分0秒3~2分4秒3で、勝ち時計が
1分59秒7より速い時には
4着以下に敗れている。
中京記念は2年前に
ローゼンクロイツがレコード(
1分56秒9)を叩き出すなど、好時計の決着が多く、04年以降の近5年の勝ち時計は
1分56秒9~1分59秒5だった。それに対して、今年の勝ち時計は
2分0秒4。
サクラオリオンにとってはさまざまな条件が合致し、さらには
雨もひと押しする材料となったのだろう。