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馬の体重増加は「成長」か「太め残り」か、判断が難しい
文/編集部

長年にわたる不摂生な生活がたたり、中年太りのそしりを免れなくなった体型を改善すべく、6月に『WiiFit』を購入し、ダイエットを始めた。

9月までは順調に体重が減っていったが、汗をかきにくくなった10月に入って体重は下げ止まり。しかもちょっと油断をするとすぐに増えてしまう。ここにきてダイエットの難しさを知り、0.5キロ程度の増減に一喜一憂する日々が続いている。

人間の世界では肥満はとされ、成人病にかかりやすくなるといった身体的な弊害はもちろん、セルフコントロールができていないという社会的な評価につながってしまうこともある。

そして、日本の競馬ファンが自分の体重と同じくらい気にするのが出走馬の馬体重。ただし、人間とは違い、大幅な増加がマイナスになるとは限らない。肥満という言葉ではなく「成長分」という言葉で置き換えられることもあるからだ。特に成長途上の3歳馬の場合は、秋は春よりも増えていたほうがいいとさえ言われる。

そういう意味でも、今回の富士Sの出走馬の馬体重を見た時には、かなり思い悩まされた。

1番人気レッドスパーダの馬体重は、前走比プラス22キロ5ヶ月半ぶりの出走ということを考えれば太め残り仕上がり途上と判断してもいいのだろうが、この馬の場合は成長が期待される3歳馬で、2週にわたって美浦の坂路で好時計を出すなど十分な調教を積まれた上での数字だった。

当初、この馬は馬券の対象から外すつもりだったが、もしかしたらとんでもない成長を遂げているのではないかという思いが湧き、厚めに買うことにした。

では、逆になぜこの馬を当初、馬券の対象から外そうかと思っていたかというと、このレースでは3歳馬の成績が芳しくないから。過去5年で馬券の対象になった3歳馬は、9月の京成杯オータムハンデで3着となり、そこからの臨戦で優勝した07年のマイネルシーガルと、ハイペースに乗じて後方から脚を伸ばして3着に入った03年のマイネルソロモンのみ。特にマイネルソロモン(ダービー18着以来の出走)以外は、春からの休み明けでの敗戦が目立つ。

さらにこの日の東京の芝のレースでは内を通った先行勢が残れず、外差しが決まるパターンが続いていた。例年のこの時期にはまだよく見られるような高速馬場の前残り決着とはいきそうにもない。最内枠を引き、先行してうまく立ち回るのが持ち味のこの馬に向くような馬場状態ではないと思ったからだ。

ここまで考えておきながら馬体重だけを気にして、予想を覆し、余計な馬券を買ってしまったのは自分の体重をことさら気にしているせいなのだろうか……。

ただし、レッドスパーダ(15着)の敗因を馬体重に求めようとは思っていない。パドックで見た感じでは太め感もなかったし、着差は着順ほどひどくない0秒6差。レースぶりも先行2頭を前に見る単独3番手で折り合うという自分の競馬ができていた。最後にまとめて交わされてしまったのは先述の馬場状態のためではないかと考えている。馬場状態しだいではすぐに巻き返してくるのではないだろうか。

大幅な馬体重の増減で出走してきたのは、他にも上位人気馬の中にいて、3番人気のザレマプラス14キロ。キャリア28戦目の5歳牝馬に成長を見込むのは、中年女性に「最近、胸が大きくなったね」と言ってしまうようなものである。

ただ、この馬は前走の京成杯オータムハンデを勝った時がマイナス12キロで、その前のクイーンS2着時と今回とでは2キロしか差がない。520~530キロで馬体重が推移する大型馬でもあり、太め残りということはなかったのだろう(結果は僅差の5着)。

そのかわりに気になったというか、今回のこのレースの難解さを感じたのは、00年にマイル重賞になってから一度も馬券の対象になっていない牝馬が上位人気になっていたということ。さらに1、2、4番人気にもこのレースで不振の3歳馬が推されており(2番人気ケイアイライジン、4番人気ストロングガルーダ)、古牡馬勢に頼りになる中心馬がいないということで、長らく続くマイル路線における中心馬不在の情勢がなにも変わっていないことを改めて思い知らされた(王道をいくウオッカは除く)。

そんな混戦模様を制したのは5歳牡馬アブソリュートだった。

安田記念13着以来の休み明けで、馬体重はプラス8キロ。昨秋の東京では10月と11月に準オープン戦を走りそれぞれ2着、3着と敗れていたが、まだ本格化一歩手前だったのだろう。今回はこれまであまり実績がなかった鉄砲駆け(過去3回で3着が1回あるのみ)で重賞を制したのだから、確実に力をつけている。さらに5歳馬ながらキャリアはまだこれが15戦目。先を見込める馬でもある。

ただ、今回の勝利をもってマイル路線の中心的な存在に躍り出たとまでは言い切れないだろう。今回は差し脚が活きる馬場状態も向いたように思うし、あまりに混戦すぎた。東京新聞杯を制した時が5番人気で、今回が6番人気。さらに人気を背負って優勝した時に、初めて中心的存在と言えるような気がする。

2着には、長らくマイル~中距離の重賞で好凡走を繰り返してきた6歳牡馬のベテラン、マルカシェンクが入った。大きな出遅れをしながら追い込みを決め、これも差しが利く馬場状態が向いた印象が残ったが、久々にこの馬の豪快な末脚を見たような気がする。この日の馬体重はマイナス10キロ。やはり、中年男はダイエットをせねば……。

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