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世界のひのき舞台で、同じ競馬が見られることを願っている
取材・文/平松さとし

降り続く雨が容赦なく馬場を柔らかくしていった。発表は稍重。しかし、重か不良に近かったと各騎手は異口同音に語った。

傘の花に囲まれたパドックを回るディープインパクト。グイグイとハミをとるようなこともなく、落ち着いて歩いていた。

「栗東の厩舎を出る時から落ち着いていた。体重のプラス4キロも思っていた通り」

調教師の池江泰郎。ディープより先にパドックを出て、本馬場へ向かった。

出走13頭の最後に馬場入りしたディープ。コースに現れるなり、逆回り方向へ返し馬。一気に加速することもなく、ゆったりと走ってみせた。

輪乗りを切り上げたディープが、スタート地点に向かうだけで手拍子が起きた。ファンファーレに合わせた手拍子がバラけ、大きな拍手に変わると、間もなくゲートが開いた。

6枠8番のディープは他馬と互角のスタート。外にいた武幸四郎が内へ入ろうとするパートナーのファストタテヤマを外から引っ張る。ディープの邪魔をできないという鞍上の心理が形となって表れたか。

武ユタカはいつも通りディープを後方へいざない、後ろから二番手の位置取り。

最初の5ハロンを60秒2で通過。馬場状態を差し引いてもやや遅い流れだが、ディープは掛かることなく後方で待機。

3コーナー。まだ後方。

4コーナー。ラスト3ハロンを切ったところでユタカがディープのエンジンに火を点す。

「少しでも馬場の良い外へ」ユタカがいざなうと、ディープは鞍上の思った以上に反応し、グーッと外へ出たが、終わってみればこれもご愛嬌。

得意な道悪を味方につけたバランスオブゲームの鞍上で田中勝春が「(ディープ)こないでくれ!と思ったら、もう来てた」と苦笑する。

ゴール直前、2着まで追い上げたナリタセンチュリーの鞍上・田島裕和も「相手は大外を回っているのに4馬身も前にいた。どう乗ってもかなわない」と舌を巻く。

宝塚記念という春を締めくくる大きなG1にも関わらず、皆が見ていたのは、その先にある異国の地での大舞台。レース後、その視界はハッキリと、次なる目標をとらえた。

10月1日、フランスのロンシャン競馬場。凱旋門賞という世界のひのき舞台で、今回と同じ競馬が見られることを、多くのファンが願っている。
(文中敬称略)

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