極限の瞬発力勝負が人気両頭の明暗を分けた
今年と過去20年における
京都大賞典のレースの上がり3Fは下記の通り。
●京都大賞典の上がり3F86年……36秒7
87年……37秒1
88年……36秒3
89年……35秒1
90年……35秒0
91年……35秒5
92年……35秒7
93年……35秒7
94年……35秒0
95年……35秒2
96年……34秒1
97年……34秒8
98年……34秒8
99年……34秒5
00年……34秒7
01年……34秒1
02年……34秒1
03年……34秒0
04年……34秒3
05年……34秒2
06年……
33秒3ローゼンクロイツが引っ張った流れは、前半1000m通過が
64秒1という超スローペース。過去20年でも、もっとも遅い通過タイムだ。
レースの上がり3Fは34秒台という想定だったが、それをはるかに上回る
33秒3。こんなタイムはこれまでの京都大賞典で計時したこともない、とんでもない数字だ。もはや、
上がり3Fだけの競馬だったといっても過言ではないだろう。
そんな中、2番人気の
スイープトウショウが1着、1番人気の
インティライミが7着という結果をどう見るか。
休み明けという条件は同じ。となると、
極限の瞬発力勝負に対する適性の差が、人気両頭の明暗を分けたと分析できるだろう。
スイープトウショウの上がり3Fは
32秒8。これは
自身の最速タイムであり、
今回のメンバー中でも最速タイムである。過去16戦でも、14戦までで32秒8~34秒台の上がりをコンスタントに計時してきた豪脚の持ち主。今回が特別なのではなく、今回も自分の能力をきちんと発揮したに過ぎない。
骨折と
11ヶ月のブランクという不安要素からか、1番人気を
インティライミに譲った格好だろう。だが終わってみれば、
G1馬が実力で他を圧倒するという、京都大賞典で毎年見る順当な結果だったと言えよう。
内、内の好位で脚を溜め、直線
インティライミと
ローゼンクロイツの間に生まれた1頭分のスペースを、間髪入れずに突き抜けた瞬発力。
女王スイープトウショウの強さを改めて認識させられた。ブランクがあったとすれば、その強さを
不安要素という色眼鏡でぼかしてしまった、こちらの方かもしれない。反省。
一方の
インティライミ。1番人気は過去10年で
[6.3.0.1]で、唯一、連を外したのは99年の
スペシャルウィーク(7着)だけだった。その息子も父と同じく
7着に敗れ、不名誉な記録に名を連ねることとなってしまった。
インティライミの上がり3Fは、自己ベストとなる
33秒4。過去8戦で、上がり33秒台を計時したのは2歳時の
新潟2歳S(6着)のみだった。上がり3Fに11秒台のラップが並ぶ展開も、4戦目の
3歳500万下(阪神芝2500m)と
ダービーで経験しただけ。
ダービーのレースの上がり3Fは
11.9-11.0-11.6というラップだったが、これは直線で突き抜けた
ディープインパクトがもたらした数字であり、自身はおそらく、最後の1Fは
12秒台だったはず。
インティライミは
ダービー2着、
ディープインパクトの2着という勲章により、1番人気に押し上げられた部分もあるだろう。ただそれは、究極の上がりを繰り出すディープインパクトに、
5馬身差の完敗を喫したレースでもあったということだ。
インティライミの能力を否定するというわけではない。
京都大賞典はあくまで、得意でない
瞬発力勝負という展開になっただけのこと。それこそダービーのように、自分から積極的に動いて
持続力勝負に持ち込めば、この先、いくらでも巻き返しはあるだろう。
最後に補足として、京都大賞典の過去10年の勝ち馬を、
上がり3Fとともに記載しておく。こうしてみると、G1馬の多さに気づくが、京都大賞典はやはり、
格がモノを言うG2の中のG1、ということなのだろう。
●過去10年の京都大賞典の勝ち馬96年
マーベラスサンデー…
33秒997年
シルクジャスティス …
34秒298年
セイウンスカイ………
34秒899年
ツルマルツヨシ………
34秒300年
テイエムオペラオー …
33秒301年
テイエムオペラオー …
33秒802年
ナリタトップロード…
34秒003年
タップダンスシチー…
34秒004年
ナリタセンチュリー……
33秒705年
リンカーン…………
33秒706年
スイープトウショウ …
32秒8