朝日杯FSに向けて、オースミダイドウに立ちはだかる壁
これまで通り
逃げるか、それとも今後を見据えて
控える競馬を試すのか。果たして、
オースミダイドウ&
武豊騎手がどういったレースを展開するのか。
デイリー杯2歳Sの最大の焦点は、その一点に尽きたと言っても差し支えはなかっただろう。
結果的に、
武豊騎手は後者を選択した。道中、行きたがる素振りを見せる
オースミダイドウをなだめ、中団で折り合いをつけた。
おそらく、今までのように逃げる競馬をしていても勝てただろう。もしかすると、2着
ローレルゲレイロ以下との差(半馬身)は、もっと広がっていたかもしれない。
気性的な幼さを考えれば、
惨敗まであり得た選択。それでも試みた控える競馬。そこに、
中尾正厩舎陣営と
武豊騎手が
オースミダイドウに抱く期待の大きさが窺い知れた。
ただ、そうはいっても
オースミダイドウの単勝オッズは
1.3倍。その他の馬券でも、圧倒的なシェアを占めていたことは言うまでもない。
そんな状況下で、脚質に幅を持たせるための試走を行い、しかもきちんと勝利という形で応える。その両立こそが、
トップジョッキー武豊騎手の真骨頂であり、凄さたる所以のひとつだろう。もちろん、期待通りの走りを見せた
オースミダイドウも素晴らしい。
オースミダイドウの次走は、
朝日杯FSが有力。先が広がるV3に水を差すつもりはないが、過去10年、
デイリー杯2歳Sから
朝日杯FSに直行した馬の成績は
[0.3.1.7]……。勝ち馬は出ていない。
98年
エイシンキャメロン、99年
レジェンドハンター、03年
メイショウボーラーとデイリー杯2歳Sの優勝馬3頭が2着となっていた。
これは一体どういうことか。惜敗に止まる要因を推察するならば、
平坦の京都と
急坂の中山というコースの差が関係しているように思えてならない。
それでは、過去10年における
デイリー杯2歳Sと
朝日杯FSのラスト1Fの時計を並べてみる。レースの性質の差が浮き彫りになるだろう。
●デイリー杯2歳S96年…12秒0
97年…12秒1
98年…12秒1
99年…11秒7
00年…12秒1
01年…11秒9
02年…11秒4
03年…11秒4
04年…11秒9
05年…11秒4
06年…
11秒9●朝日杯FS96年…13秒1
97年…12秒2
98年…12秒0
99年…12秒9
00年…12秒2
01年…11秒9
02年…12秒6
03年…12秒2
04年…12秒2
05年…11秒8
06年…
?過去10年で、
デイリー杯2歳Sは
11秒台のラップが
6回。もっとも遅いラップでも
12秒1となっている。一方、
朝日杯FSは
11秒台のラップがわずか
2回。
13秒台に突入した年もある。
つまり、前者は
「終いのキレ」を、後者は
「終いの踏ん張り」を問われるレースということだ。もちろん、
G2、
G1というレースレベルの差も考慮しなければならないが。
いずれにしても、両レースの性質の差が、易々とは連勝を許さないひとつの要因のように思う。
その性質の差を超越するだけの素質を、
オースミダイドウが秘めているかは、はっきり言って未知数。ただ、適性的にはデイリー杯2歳S寄りで、
速い上がりで終いのキレを活かすタイプのような気が……。
朝日杯FSまでは2ヶ月を切った。ライバル馬の台頭もあるだろうが、
オースミダイドウの今後の成長にも目を傾けておきたい。