ローゼンクロイツよ、金鯱賞レコードVなら宝塚記念でも!?
文/編集部
1分56秒9のレコードで勝利した
中京記念に続き、
ローゼンクロイツが
1分57秒2の好タイムで
中京芝2000重賞で連勝を飾った。
サンデーサインレス産駒による金鯱賞制覇は、98年の
サイレンススズカ以来2頭目となる。
98年の金鯱賞において、
サイレンススズカが2着の
ミッドナイトベットに
1秒8差をつけ、
1分57秒8というレコードで逃げ切った時には、
「この時計を超える馬は当分出やしないぞ!」と興奮したものだが。
04年の金鯱賞で
タップダンスシチーが
1分57秒5で走り、レコードを0秒3更新。翌05年、1000万の
小牧特別で
ワンモアチャッターが
1分57秒3で走り、レコードを0秒2更新。そして今年、
ローゼンクロイツが
中京記念で
1分56秒9というレコードを樹立した。
98年の金鯱賞以降、
サイレンススズカがマークした
1分57秒8のレコードと同タイム、もしくはそれ以上のタイムで走った馬は今年の
金鯱賞までで
計26頭。今年の
中京記念など、9着の
トリリオンカットまでが
1分57秒8以内で走っている。
「スズカのレコードを超える馬は当分出やしない!」どころか、
続出もいいところ(笑)。当時、受けた衝撃はそんなに安っぽいものだったのか。決してそうは思わないけど、こうもポコポコとスズカの時計を超えられると、非常にやるせない気持ちになる。
「ウクライナの鳥人」と称された
セルゲイ・ブブカは、男子棒高跳びで初めて
6mを超えた。
カール・ルイスは84年のロサンゼルス五輪の男子100mで、初めて10秒を切る
9秒99のタイムで優勝した。
マイク・パウエルは91年世界陸上の男子走り幅跳びで、カール・ルイスを退け、世界新記録
8m95の跳躍で優勝した。
列挙したのは陸上競技オンリーだが、ジャンルを問わず、スポーツにとって
タイムというのは記憶と密接な関係にある。アスリートが肉体を極限まで鍛え、血の滲む努力を重ねた先にあるからこそ光り輝くのだし、人々の記憶に鮮明に刻み込まれるのだ。
もちろん、好タイムで駆け抜けた
ローゼンクロイツの快走を、
「高速馬場の恩恵」という理由で軽んじるつもりは毛頭ない。ただし、過去を美化している気もないが、正直、
サイレンススズカを超える衝撃があったかと聞かれれば、
ノーと答えるだろう。
最近はG1になると、競馬初心者の友人に馬券の買い目を聞かれることが増えた。
ローゼンクロイツはこの後、
宝塚記念に向かう予定だが、
宝塚記念の直前に
「ローゼンクロイツって強いの?」と質問された時、どう答えればいいのか、正直迷う。
ここ2走は好タイムで連勝したとはいえ、
ローゼンクロイツは
G1ではまだ
[0.0.1.4]と連対がない。でも、そのことはあえて触れず、真意は包み隠して
「買っておいたほうがいいと思うよ」と告げるつもりでいる。
というのは、
金鯱賞でレコード勝ちした98年
サイレンススズカと04年
タップダンスシチーは次走、
宝塚記念でも勝利しているから。
ローゼンクロイツの
1分57秒2は
金鯱賞レコードに相当するので、
宝塚記念を勝っても不思議ではないという計算の上で。
ローゼンクロイツが強いのか否か。それは
宝塚記念の結果を見てから判断しても遅くはない。友人が求めてくる答えもおそらく、
強いか否かではなく、
馬券的な買いか消しだろうから。
ローゼンクロイツが
宝塚記念でどんな走りを見せるか。自分の中で俄然、注目となってきた。もし
宝塚記念を制するようなら……その時は
金鯱賞のパフォーマンスが本物だったということだろう。それなら、
サイレンススズカ、
タップダンスシチーも報われる。