「男子三日会わざれば刮目して見よ」とはまさにこのこと
文/編集部
単勝オッズは、
マリエンベルク4.4倍、
オースミマーシャル4.6倍、
キャプテントゥーレ7.5倍、
マルブツイースター7.9倍、
シャランジュ8.5倍、
タケミカヅチ8.9倍、
ウイントリガー9.1倍。
以上の7頭が10倍を切るオッズとなった。
混戦模様というのは想像通りだったが、まさか、
重賞や
OP特別で好走歴のある馬を差し置いて、
未勝利を勝ったばかりの
マリエンベルクが1番人気に推されるとは思わなかった。
実績に固執せず、前走のパフォーマンスから類推し、その馬が持つスケール感に投資した人間が多かったということか。いずれにしても、今年の
デイリー杯2歳Sは、
2歳戦線における主役候補の登場を待ち侘びる、そんな心理が馬券ファンに働いていたのかもしれない。
そんな中、2番手から余裕の手応えで抜け出し、2着以下を完封したのは3番人気の
キャプテントゥーレだった。父は4戦無敗で皐月賞(01年)を制した
アグネスタキオン。全兄は00年のダービー馬
アグネスフライト、その母
アグネスフローラは桜花賞(90年)の勝ち馬。
母系はというと、祖母が京王杯SC(94年)を制した
スキーパラダイス、その半弟は朝日杯3歳S(94年)2着の
スキーキャプテン、母は阪神牝馬S(01年)を制した
エアトゥーレ。どこからどう見ても、
良血としか言いようがない。
ただ、初戦は道中で鳴いたり、周囲の馬に気を遣って走ったり。若さが目立つ
キャプテントゥーレの競走人生は、好調な滑り出しとはとても言えなかった。そう見てしまうのは、
期待がつい先走ってしまう良血馬の宿命でもあるのだが。
また、
未勝利(小倉芝1800m)を勝った時の上がりが
35秒0。3着に敗れた
野路菊S(阪神芝1800m)の上がりは
35秒4。
アグネスタキオン産駒というのは、
上がりの速さが素質を測る上でひとつの基準になり得る。
デビュー2戦目から
秋華賞までの6戦で
上がり33秒台をマークしている
ダイワスカーレットがその最たる例であり、キャリア6戦中5戦で
33秒台をマークしていた
アドマイヤオーラもしかりだろう。
その点でいえば、
キャプテントゥーレは
上記2頭からかけ離れたところにいる馬。それが、
野路菊Sを終えた時点での自分の評価だった。
さらに、
デイリー杯2歳Sは
スローペースから上がりの勝負になりやすいレース。実際、今年も1000m通過は
61秒0の超スローペース、レースの上がりは
34秒6と速かった。
「35秒台の上がりしか使ったことがないキャプテントゥーレは消し」ところが、この予想はあっさりと覆された。気分良く2番手から追走し、上がり
34秒5をマーク。しかも、レース後の勝利騎手インタビューで、
川田騎手が
「抜け出してからもまだ余力があった」というのだから困ったもの。
3戦しかしていない
キャプテントゥーレのキャラクターを、勝手に決めつけてしまった自分に非があったことは明白。直前の坂路で
4F49秒8という破格の好時計を叩き出していたので、変わってきそうな雰囲気は感じていたが。
ただ、
これが良血馬の底力なのかと恐れ入ったことに変わりはない。
「男子三日会わざれば刮目して見よ」とはまさにこのことか。
キャプテントゥーレが今後、どのような馬に成長していくか、興味津々だ。
ちなみに、自分の馬を見る目のなさはいまに始まったことではない。昨年のPOGにおいて、
キャプテントゥーレの半姉
アルティマトゥーレを指名しておきながら、今年は
キャプテントゥーレの指名を見送っていたのだから(笑)。
2歳馬の見極めは奥が深て難しい。今年の
デイリー杯2歳Sには、そのことを改めて痛感させられた。