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「見えない強さ」を持っていたメイショウサムソンが、はっきり「強さ」を見せた
文/村本浩平

メイショウサムソンと、パリーグの覇者として日本シリーズを戦っている北海道日本ハムファイターズ。この両者に共通していることは「見えない強さ」を持っているということだろう。

成績だけを見るならば、両者とも素晴らしいものがある。例えば北海道日本ハムファイターズは、今年の交流戦を圧倒的な勝率で制し、リーグ優勝だけでなくクライマックスシリーズも制覇し、混戦のパリーグにおいて2年連続での日本シリーズ出場を果たしている。

一方、メイショウサムソン昨年の二冠馬であり、今年の天皇賞・春も優勝。だが、北海道日本ハムファイターズも、メイショウサムソン「華々しさ」という面においては、どことなく欠けているような印象を受ける。

野球の華と言えばホームラン。だが、今年の北海道日本ハムファイターズのチームホームラン数はリーグ最低であり、壮快な打撃戦を期待したくとも、打率も5位でしかない。

また、競馬の華の一部分には騎手の存在も大きいが、これまでメイショウサムソンの鞍上を務めていた石橋守騎手は、寡黙な職人タイプの騎手。だからなのか、メイショウサムソンがG1勝利を挙げた後でも、派手なガッツポーズを取ることもなければ、レース後のコメントも人柄の良さが証明されるような実直なものが多かった。

ただ、北海道日本ハムファイターズも、メイショウサムソンとコンビを組む石橋守騎手も、ソツがないから強い。

北海道日本ハムファイターズは先発からクローザーまで隙のない投手陣と、堅実な守りで1点差のゲームで確実に勝ちを掴む一方で、メイショウサムソンはスタートも良く、道中をロスなく走り、たとえハナ差でもゴール板前では前に出ていた。

土曜日の日本シリーズ第一戦では、セギノールの先制スリーランという、これまでとはまったく違った華々しい勝ち方で北海道日本ハムファイターズが勝利。また、今年の天皇賞・秋におけるメイショウサムソンの鞍上も、当代一のスタージョッキーである武豊騎手へと乗り替わっていた。

華が生まれたメイショウサムソンに対し、ファンの与えた評価は1番人気というもの。馬インフルエンザを発症し、しかも凱旋門賞を回避して4ヶ月ぶりの実戦となる馬に対しては思い切った評価とも言えなくもなかった。

この人気に続くアドマイヤムーン宝塚記念の覇者であり、ダイワメジャーは前走の毎日王冠を使ってきたことで、ローテーション的には申し分ない。失礼な見方かもしれないが、もし、メイショウサムソンの鞍上が石橋守騎手のままだったのなら、これほどの人気とはならなかったのではないだろうか。

コスモバルクデルタブルースが前を行くレースは淀みのないペースとなり、好スタートを決めたメイショウサムソンは、やや行きたがるような素振りを見せつつも先団をキープしていく。

4コーナー過ぎに一気に馬群が詰まる中、直線で前を行くコスモバルクが右に寄れる。それと合わせてエイシンデピュティがコースの外に寄れ、ダイワメジャーアドマイヤムーンなどが大きな不利を被る中、内から馬場の真ん中にコースを変えたメイショウサムソンがみるみる後続との着差を広げていく。

立て直したアグネスアークが前を行くカンパニーを交わしにかかるも、その2馬身半先にはメイショウサムソンの馬上で、クールにガッツポーズを決める武豊騎手の姿があった。

この天皇賞・秋の勝利で、メイショウサムソンは史上4頭目となる天皇賞・春秋制覇。また、勝ち時計である1分58秒4レースレコードに0秒4差まで迫る好時計で、2着に付けた2馬身半差初勝利以来となる最大着差でもあった。

もし他の有力馬たちに不利がなければ、この着差は縮まったのかもしれないが、それでもメイショウサムソンの勝利は動かなかったはずだ。

スタージョッキーを背に「強い」レースをしたメイショウサムソンは、今年の秋G1シーズンで主役になることは間違いない。

それに応じて武豊騎手の声を取り上げるマスコミの数も増えていくはず。これでメイショウサムソン「強さ」は、武豊騎手の言葉を通してさらに強調されていくこととなるのだろう。

ただ、表面には表れなくとも、メイショウサムソン「強さ」を幾度に渡って証明してくれた石橋守騎手にも、この天皇賞・秋の勝利を通して、改めて敬意を払うべきだとも言える。

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