いったい、過去の何に学び、何を学んじゃいけないの!?
文/編集部
昨年も今年も、
トウカイトリックの秋初戦は
アルゼンチン共和国杯が選ばれた。
昨年は
ハンデ56kgで
5番人気5着。
休み明けはあまり得意ではない、との予想通り、直線で伸びあぐねた。
今年の
アルゼンチン共和国杯のハンデは
57.5kg。
歳を1つ重ね、斤量がさらに重くなっているんだから、当然消しでしょ、と考えた人が多かった。
まあ、そりゃそうですよね。人間は学習する生き物ですから。過去に学んで未来に活かす。確か
学校の先生にもそんなことを教わった気がする。
でも、
学校の先生は
競馬なんかやらないんじゃないか(笑)。得てして競馬では、
過去に学んで失敗するケースが多発する。
今年の
アルゼンチン共和国杯でも、
消しと思われた
トウカイトリックが
10番人気で
2着に激走。まさに、凡人の思惑をあざ笑うかのような快走だった。ゴールした瞬間、
「くぅ~、なめすぎたか…」と思った人も多かったはずだ。
トウカイトリックは
叩き良化型、しかも
得意の3000m以上のレースになり、さらに上の着順になるはず。今回の
ステイヤーズSでは、そう考えた人が多かったのだろう、
トウカイトリックの単勝オッズはずっと1倍台前半を付け、最終的にも
1.5倍という圧倒的なものになった。
しかし、伸びず…。
過去に学んで失敗することを
アルゼンチン共和国杯で学んだはずなのに、またも過去に学んで失敗してしまうとは…。
っていうか、
トウカイトリックさん、
「なんなんですか、あなたは!?」(笑)
まさか、
「これぞまさしく、トウカイ『トリック』」とか言うんじゃないですよね!? いや、そんなしょーもない冗談を言ってる場合じゃない(笑)。
ルメール騎手は
「昨年は2着だったけれど、中山はあまり合わないのかも」とコメントしている。確かにそうなのかもしれない。
ただ、そう思って、次に
中山にやってきた時に軽視をしたら、またも快走されそうな気もする。
もうすっかり、
過去の何に学んで何を学ばない方がいいのか、よく分からなくなってるんですけど(笑)。
トウカイトリック、罪な男です。
罪な男と言えば、勝った
マキハタサイボーグもそんな一面がある馬だ。
マキハタサイボーグは過去に3度
「穴ぐさ💨」に指名されたことがあり、その着順は
5着、
7着、
9着。結果が出なかったが、
「穴ぐさ💨」を解除された途端に
2着、
1着と激走している(笑)。
もともと、
過去の4勝がすべて5番人気以下という激走タイプではあるのだが、どうにも掴みづらい面がある。
ひとつ言えるのは、
連続して馬券圏内に入ったことがなく、5勝のうち4勝の前走が7着以下からの巻き返しであることだ。
人気が上がったら疑い、逆に人気が落ちたら積極的に狙う。そんなリズムを頼りに、今後は馬券検討をしたらよさそうだが…………なんか背後から、
トウカイトリックと
マキハタサイボーグにこの原稿をのぞき見されてるような気もします(笑)。
まあ、そんなリズムは別にしても、間違いなく言えるのは、
マキハタサイボーグにはかなりのスタミナがある、ということだ。
何度も先頭が入れ替わる今回の流れを、外を回ってマクり、
ネヴァブションや
アドマイヤモナークを振り切ったのは
無尽蔵のスタミナがなければできない芸当だ。
さすがは
天皇賞・春の覇者メジロブライトの息子、
アンバーシャダイのひ孫というべきだろう。
父
メジロブライトは、3歳時にこの
ステイヤーズSを制し、その後、
AJCC、
阪神大賞典、
天皇賞・春と連勝を重ねてG1馬に上り詰めた。
あれからちょうど10年。
メジロブライトは04年春に10歳の若さで逝ってしまったが、ようやく後継馬が現れたことは本当に喜ばしい。
5年前に
マキハタサイボーグが生まれ、10年前に
メジロブライトが
ステイヤーズSを制覇。15年前は祖父の
メジロライアンが
種牡馬入りした年で、20年前に
メジロライアンが誕生した。そして30年前に生まれたのが
アンバーシャダイで、
アンバーシャダイは6歳春に
天皇賞・春を制している。
父、
祖父、
曾祖父で30年の歴史を語れるのは、それだけ活躍馬を多く輩出し続け、繁栄してきた父系だからに他ならない。
マキハタサイボーグは
セン馬のため、この父系をさらに伸ばすことはできない。だが、先月、朗報が伝えられた。
これまで
セン馬は出走できなかった
天皇賞が、08年以降は出走可能となったのだ。
自身はこの父系を次の世代につなげられなくても、
G1で活躍すれば、この父系の活力をさらに広く伝えられるはず。
セン馬開放という時代の波に乗って活躍することを期待したい。
天皇賞・春は、父
メジロブライトが1着、2着。祖父
メジロライアンは4着。曾祖父
アンバーシャダイ2着、1着。
たとえ
来年の天皇賞・春で、
マキハタサイボーグが大きく敗れたとしても、過去にこの父系が残した偉業に学んで失敗するのなら、それはそれで本望だ。と現時点では言っておきます(笑)。