異質のレースだったと考えれば評価も違ってくる
文/編集部
競馬予想の世界に
『展開』の概念を持ち込んだのは、
故・大川慶次郎氏と言われるが、果たして、大川氏がこのレースをご覧になっていたら、今回の展開を予想できただろうか?
戦前から
逃げ馬不在と言われていたが、
マルカシェンクが躓いて出遅れてそれに輪を掛ける形となり、
超スローの入りとなった。
前半3Fの通過タイムは
36秒0。1988年以降、過去20年で
中山芝1600m重賞は
76レース行われているが、
前半3Fが36秒0以上となったのは
4度だけ。そのうち3度が
2~3歳の限定戦で、
歴戦の古馬が集う重賞ではほとんどお目にかかれないスローペースだった。
同日の
中山6Rにも
芝1600m戦が組まれていたが、こちらは
3歳限定の500万戦で、前半3Fが
34秒5。前日の
隅田川特別(1000万)が
35秒2で、同じく
土曜の5R(3歳未勝利)は
34秒8なので、いかに今回の
ダービー卿CTが遅かったかが分かるだろう。
そんな展開だったから、
逃げ&先行馬が残ったことも道理がいくが、
大外16番枠の馬が勝ったことにはさらに驚かされた。
過去20年での中山芝1600m重賞(76レース)で、
馬番16番は
[0.0.0.23]だったのだ。まあ、重賞だけでは説得力に欠けるだろうから、
1000万、
1600万、
OP特別の成績も加えてみよう。それでも、
馬番16番の成績は
[1.4.6.121]。その勝率は
0.8%である。
馬番16番での唯一の勝利は、
05年ニューイヤーSでの
ミッドタウン(4番人気)で、そのレースは
雨中での稍重馬場だった。つまり
1000万以上での良馬場では勝った馬はいなかったということ。
中山芝1600mで
外枠が不利なのは、このコースは小回りの上にペースが上がりやすく、外枠だと常に外を回されてしまうから。逆に言えば、
外枠で好走するには
ペースが緩んだ隙に先行したいに違いなく、今回の
サイレントプライドはそれに上手く合致したと言えるだろう。
これだけくどくどと書くと負け惜しみにしか聞こえないでしょうが、もちろん
負け惜しみです(笑)。でも、
中山芝1600mコースを語る上では、
今回のレース(ペース)はあくまで例外と捉えておくべき。好走した馬たちの実力を否定しているのではなく、
レースとしては異質だったと考えておかないと、トータルで考えるとマイナスが生じるだろう。だって、勝ち時計(
1分34秒2)は
3歳500万の6R(勝ち馬
メスナー)と同じなんですから。
そんなことを言ったって、100万馬券を獲りたかったよ。そんな声もあるでしょうが、こういうレースが出現した時は
配当欄は見ない方がいいです。
体に毒です(笑)。
それでもどうしても、
「こうやって考えていれば当たってたかも!?」という指針が欲しい方には、こちらを処方しましょう。
過去20年の500万以上の中山芝1600mで、
大外16番枠の成績は[4.6.7.177]だが、その4勝を挙げたのは次のジョッキーなのです。
横山典騎手2勝蛯名騎手 1勝柴田善騎手1勝今回の上位3騎手ですね。ジョッキー買いをしていれば獲れていたかもしれませんので、興味のある方は来週以降でお試しください。
さて、
ダービー卿CTが
マイル戦になったのは96年で今年で
13年目になるが、これまでの勝ち馬12頭は、同年の
安田記念の成績が次のようになっている。
96年フジノマッケンオー
13着97年ロイヤルスズカ
10着98年ブラックホーク
11着99年ケイワンバイキング
不出走00年フサイチエアデール
7着01年チェックメイト
不出走02年グラスワールド
4着03年ダンツジャッジ
競走中止04年マイネルモルゲン
7着05年ダイワメジャー
8着06年グレイトジャーニー
8着07年ピカレスクコート
不出走同年の安田記念では成績不振で、
ダービー卿CTで2~3着に好走した馬の中からも、
同年の安田記念で馬券圏内に入った馬は出ていない。
位置づけとしては
「安田記念と直結しない芝マイル重賞」という感じだが、前述したように、今回のレースを
中山芝1600m重賞では異質の存在として扱えば、自ずと見方も変わってくるだろう。
今回の予想がまったくの的ハズレに終わった人も、このレースをどう評価して次に活かすかで、挽回の余地は十分に残されているに違いがない。自分を励ます意味でも、そう考えています(笑)。