今年の京都大賞典から送られてきたその難問を解けるかどうか…
文/編集部
毎年、
中距離路線のG1馬が秋初戦として出走してくることが多い
京都大賞典。今年も例に漏れず、
天皇賞・春を制した
アドマイヤジュピタが
5ヵ月半ぶりで参戦してきた。
10頭立てという頭数も例年並みと言えるし、ここまではいつもとさほど変わらない。
ところが、前日発売オッズでは
アルナスラインが2.2倍で
1番人気、
アドマイヤジュピタは2.9倍でほとんど差がなかったとはいえ、
2番人気に甘んじていた。戦前から状態を不安視する声があっただけに、それが大きく影響した結果だと思った。
当日になれば人気が入れ替わると思ったが、最終的には
アルナスラインが
2.0倍で1番人気、
アドマイヤジュピタは
3.6倍の2番人気と、逆にオッズで引き離された。これは
マイナス14kgという大幅な馬体減が反映された部分もあるだろう。
何かがおかしい。例年通りなら、
59kgを初めて背負うことになろうが、春天馬
アドマイヤジュピタが
1番人気に推されてしかるべき。
アルナスラインは
昨年の京都大賞典で3着、菊花賞2着という実績は確かに光るが、
重賞では未勝利の馬だ。
毎年のように、上位人気馬が人気に応えて勝利する。過去10年を見ても、連対馬20頭中18頭は
5番人気以内の馬が占めている。堅い決着が圧倒的に多い重賞だけに、馬券はケンして観戦に回るのが常だったが、今年は同じケンでも、
出走馬を見渡しても勝ち馬のイメージが浮かばないからケンした、だった。
アドマイヤジュピタが状態ひと息で負けるなら、他にどの馬が勝つのか。1番人気
アルナスラインは
アドマイヤベガ牡セン馬が芝重賞で前走④着以下だと[0.1.5.42]、3番人気
ポップロック、5番人気
マンハッタンスカイ、6番人気
アドマイヤモナークはいずれも
00年以降、[0.3.1.25]だった前走が⑥着以下だった馬。
4番人気に推されていた
トーホウアランは前走の
朝日チャレンジCで
②着に好走していたが、
ダンスインザダーク産駒が芝2400重賞で[0.4.5.37]、
テン乗りとなる鮫島騎手が京都芝の特別競走で[0.2.6.61]とまだ勝ったことのない条件下だった。
7番人気の
アイポッパーも、先週の
スプリンターズSを
スリープレスナイトで制した
上村騎手を鞍上に迎えたが、
同騎手は京都芝重賞で[1.2.3.52]と勝ち切れないケースが目立つ。その中の1頭がマイナスデータを覆して勝利するのだろうけど、そのイメージがどうしても浮かんでこなかった。
いままでになかった違和感を心の中に抱えながらレースを観たが、レース自体は見ごたえたっぷり。直線での激しい追い比べには目を見張った。1着
トーホウアランから7着
ポップロックまでは
0秒3差、着差は
1/2、
アタマ、
クビ、
1/2、
アタマ、
1/2と僅差で続いた。
マイナスデータを覆したのは
トーホウアラン&
鮫島良太騎手のコンビ。直線で
マンハッタンスカイと
アイポッパーとの間にできた狭いスペースを割って抜け出し、予想以上に混戦となった
京都大賞典を制してみせた。
上位人気馬が休み明けで結果を残せなかったことを考えれば、
休み明けをひと叩きされた順調度が
トーホウアランの勝因のひとつだろう。実際、
朝日チャレンジCで
8着だった
メイショウカチドキが、
休み明け3戦目で
僅差の4着になったことからもそう感じる。
ただやはり、
「G1級のG2・京都大賞典」は
順調度だけでは勝てないはず。
トーホウアランは
休み明けだった前走の
朝日チャレンジCが
6kg増で
496kg、今回が
8kg増で
504kg。今回はデビュー以来、もっとも重い馬体重だったが、それは身が入った証明なのかもしれない。
一方、5着に敗れた
アルナスライン。
宝塚記念は
重馬場で
10着と大敗したが、
良馬場で前進は示した。スタートで後手を踏んで位置取りが悪くなかった上、直線入口で
アドマイヤモナークに蓋をされて始動が遅れる場面も。敗因はスムーズさを欠いたことだろう。
アドマイヤジュピタは直線で反応できずに
9着。
出遅れを挽回し、メイショウサムソンを豪快に差し切った春天とは別馬とさえ思えた。
99年の京都大賞典では、
1番人気で
7着に敗れた
スペシャルウィークが、次走の
天皇賞・秋で巻き返して勝利したことがあったが…それに続けるか、注目したい。
「今年の京都大賞典組が次走でどんな成績を残すか答えなさい」今回好走した馬もそうでない馬も、想像しただけで頭から湯気が出そうだが、次走が
G1ともなれば、さすがにケンするわけにはいかない。今年の
京都大賞典から送られてきたその難問を解けるかどうか。
その難問の解答、答え合わせは個々人で行っていただければと思いますが、学生時代、(自分から親に頼んだくせに)
通信教育の問題集を放置してきた男にとって、試練が訪れたかもしれません(笑)。