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サニーサンデーが「驚く」という感覚を呼び起こしてくれた
文/編集部

先日、風邪を引いた時だった。ふとんにくるまって寝込んでいると、娘を連れて帰宅した妻が「あっちの部屋で寝ない?」と切り出す。“あっちの部屋”とは“寝室ではない部屋”のこと。1歳5ヶ月の娘がいて、新型インフルエンザが流行している状況から言えば、それはそれで仕方がないことではある。

結局はただの風邪で、誰にも迷惑をかけることなく事なきを得たのだが、開口一番で自宅内隔離の話を持ち出す妻に驚かされたのは言うまでもない。“あっちの部屋”には暖房設備がないこともあって、「私は鬼か」と自分で自分にツッコミを入れていた妻だが、末恐ろしいことこの上なしです(笑)。

妻の発言にも負けないくらい驚いたことと言えば、福島記念である。

5頭出走していた父サンデー系のうち、サニーサンデー(父マーベラスサンデー)とトウショウシロッコ(父アドマイヤベガ)でワンツー。このレースで父サンデー系がワンツーしたことなんてあったか。ありました、07年が①着アルコセニョーラ(父ステイゴールド)、②着ナリタプレリュード(父フジキセキ)でした。

では、吉田隼人騎手(サニーサンデー)と吉田豊騎手(トウショウシロッコ)がワンツーしたことなんてあったか。ありました、21回も。福島記念より前で直近のレースだと、今年6月27日の福島4R(3歳未勝利、芝2000m)で、①着メイスンヴィグラス(吉田隼人騎手)、②着シャドウライン(吉田豊騎手)でした。

ちなみに、吉田隼人騎手と吉田豊騎手は重賞でワンツーしたのは福島記念が初めてだったが、兄弟騎手による重賞でのワンツーは、04年小倉記念(①着メイショウカイドウ・武豊騎手、②着メイショウバトラー・武幸四郎騎手)以来だった。

このワンツーはそんなに驚くことではなかった。だが、サニーサンデーの強さはどうだろう。逃げたレッツゴーキリシマが前半1000mを57秒5で飛ばすハイペースの中、サニーサンデーは2番手で追走し、最後まで渋太い脚色で粘り込んだ。ペースを考えれば、追い込んで来たトウショウシロッコが突き抜けてもおかしくない流れである。

しかも、サニーサンデーは51kgの軽ハンデだったとはいえ、芝2000mの重賞で好走実績のある古馬を相手に、レースレコードと同タイムの1分58秒6で押し切った。前走のラジオNIKKEI賞(②着、53kg)では、次走で神戸新聞杯を制したイコピコ(④着、57kg)に先着していたが、4kgの斤量差や小回り適性がモノを言っただけではなかったということだろう。

サニーサンデーのおじにあたるサニーブライアンは、皐月賞(97年)で11番人気①着、ダービー(97年)で6番人気①着。いずれも4角先頭から押し切っていた。また、近親にはサニースワロー(87年ダービーで22番人気②着)がいて、サニーブライアンもしかり、ラジオNIKKEI賞が13番人気②着、今回が8番人気①着だったサニーサンデーもしかり。

「先行して渋太い」「重賞で人気薄で大駆けする」というのは、この母系特有のものなのかもしれない。その点では、今回のサニーサンデーには納得できるが、レース内容が驚愕だった。2走前のプリンシパルSでは4角先頭から⑰着に沈んでいた馬が、半年後にこれほどの変貌を遂げるとは誰が想像できただろう。

変貌と言えば、近3走が⑱⑬⑱着だったトーセンクラウン(12番人気③着)も当てはまる。これは結果論になってしまうが、同馬は4走前の福島民報杯(⑤着)が1分58秒7で走破していたから、ハンデ53kgも加味すれば、今回(1分58秒8)くらい走っても不思議ではなかったか。

①着→②着→③着は8→5→12番人気で、3連複は9万9320円、3連単は49万7430円という波乱になったが、07年が5→16→9番人気(3連複12万6950円、3連単63万1340円)、08年が7→3→14番人気(3連複4万8920円、3連単30万4680円)だから、今回の結末も「ああ、やっぱり……」とすら思えてしまう。

「驚く」という感覚をマヒさせてしまいがちな福島記念。その中にあって、サニーサンデーの強さと成長ぶりは、例えれば睡魔に襲われた時にビンタされたような感じ? これが果たして適例なのかどうかはさておき、サニーサンデー「驚く」という感覚を呼び起こしてくれたことは間違いない。

ぶっちゃければ、サニーサンデーのビンタよりも、どちらかと言えば、鬼嫁として本性を現してきた妻のビンタのほうが痛かったわけですが(笑)。いずれにしても、サニーサンデーは今後も、いろいろな形で痛快な驚きを提供してくれそう。その瞬間を心待ちにしたいものだ。