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シルクロードSの歴史を振り返ると、単勝5.9倍での勝利は価値大
文/編集部

1番人気の単勝オッズが4.9倍だった昨年ほどではないが、1番人気のエイシンタイガーの単勝オッズが4.3倍で、5番人気のプレミアムボックス(8.5倍)までが10倍を切るという、今年も混戦ムードの中で行なわれたシルクロードS。

しかし、メンバー中で2頭だけいたG2勝ち馬のアルティマトゥーレ&シンボリグランが①着&③着に来ていて、終わってみれば「なんだ、実績上位の馬を買っていたら簡単だったじゃん」といった嘆き節を口にした人が多そうなレースだった。

個人的に言えば、レース前からひとつの大きな注目点と見ていたのが、「どの馬がどんな単勝オッズで勝利を収めるか」という点。過去のシルクロードSを振り返ると、勝ち馬のその後には、この点が思いのほか重要な意味を持っていたりする。

シルクロードSは96年が第1回で、今年が第15回。その間、96~99年が4月の開催で、00年以降が2月の開催という違いこそあるが、舞台はすべて京都の芝1200mで行われている。

そして、先述の「どの馬がどんな単勝オッズで勝利を収めるか」という点で言えば、どうやらカギとなっていそうなのが、勝ち馬の単勝が7倍未満だったか、あるいは7倍以上だったかという分岐点。これで過去の勝ち馬を分類していくと、大きな違いが見えてくる。

「単勝6.9倍以内で勝った馬」と「単勝7.0倍以上で勝った馬」は、昨年までにそれぞれ7頭ずつだったので、まずはそれぞれの馬名を列記していってみよう。

「単勝6.9倍以内で勝った馬」は、96年フラワーパーク、98年シーキングザパール、99年マイネルラヴ、01年トロットスター、04年キーンランドスワン、05年プレシャスカフェ、08年ファイングレイン。仮にこれらの馬たちを「Aグループ」としておこう。

「単勝7.0倍以上で勝った馬」は、97年エイシンバーリン、00年ブロードアピール、02年ゲイリーフラッシュ、03年テイエムサンデー、06年タマモホットプレイ、07年エムオーウイナー、09年アーバンストリート。仮にこれらの馬たちを「Bグループ」としておこう。

競馬歴の長い方なら、各グループの馬たちの戦績を思い返してみると、すでに察しがついているかもしれない。そう、Bグループに比べてAグループの馬たちの方が明らかに、「シルクロードSを勝ったその後」に活躍している馬が目立つのだ。

96年フラワーパーク、01年トロットスター、08年ファイングレインは、シルクロードSを勝った次走に高松宮記念を制覇。98年シーキングザパールは、同年に仏G1のモーリス・ド・ギース賞を制した。04年キーンランドスワンと05年プレシャスカフェも、同年の高松宮記念で③着と好走している。

それに対してBグループの方は、シルクロードSを勝った後に芝G1で馬券圏内に来た馬が、97年エイシンバーリンだけ(同年の高松宮記念で②着)。それどころか、G2やG3も含めて、その後に芝重賞を勝った馬が1頭もいない。

こういう歴史を知った上でレースを見ているとなおさら、今年も「どの馬がどんな単勝オッズで勝利を収めるか」という点は非常に気になった。そしてそんな中、アルティマトゥーレ5.9倍で勝利を収め、見事にAグループ入りを果たしたのだ。

アルティマトゥーレは今回こそ3番人気だったが、2走前にはG1のスプリンターズSでも1番人気に推されていたほどの馬。過去のAグループの馬たちと同様の活躍があってもなんら不思議はないし、今回は「自身最速の上がり33秒5を計時しての勝利」という点でも価値が高いと考えられる。

アルティマトゥーレと同じフジキセキ産駒のファイングレインは、08年の淀短距離Sで自身初となる33秒台の上がりを繰り出して勝利。その後にシルクロードS→高松宮記念も連勝して、一気にG1馬へと駆け上がっていった。

その偉大な先輩の軌跡を踏まえると、アルティマトゥーレの今後も大いに気になる。同馬は次走の高松宮記念で引退→繁殖入り予定とのことだが、そうなるとなおさら、高松宮記念での好走を期待したいところだ。