スーパーサイアーへの道を一歩一歩突き進んでいる最中!?
文/編集部
昨年、
ローズキングダムと
アパパネという牡牝の2歳チャンピオンを誕生させた
キングカメハメハ。これは、あのサンデーサイレンスですら成し遂げていない史上初めてのことである。そのうちの2歳女王の
アパパネが桜花賞へ向けて出走してきた。
1番人気はその
アパパネ。阪神JFの覇者でもあり、2.2倍という圧倒的な支持も当然か。嫌われてもおかしくないはずの大外枠も、2歳女王となった時も18番枠だっただけにさほど不安はなく、あとは道悪(重馬場)をこなせるかどうか。ここでは桜花賞本番へ向けて、結果とともにレース内容も問われる一戦となった。
一方、女王を追う立場として2、3番人気に名を連ねたのは、未勝利、500万下と連勝中の
オウケンサクラ、紅梅S勝ち馬
ワイルドラズベリー。4番人気にファンタジーS②着、阪神JF③着という実績を残している
ベストクルーズだったことを考えると、ファンも女王打倒には新星の登場を期待したのだろうか。
レースはスタートで
エーシンリターンズがポンと出たが、外から
ストレンジラブと
パミーナがハナを主張していく。それに
ワイルドラズベリーと
アパパネも追従するように先団へ。
オウケンサクラと
ベストクルーズは後方から。
ところが、2ハロン目でペースが上がったところで、
パミーナがズルズルと下がっていく。この影響を受けたのが馬群の外目につけていた馬たち。特に
パミーナのすぐ後方につけていた
アパパネは、一瞬、驚くような素振りを見せ、その後、少し掛かっているようにも見えた。
4コーナーから直線にかけて徐々に進出していった
アパパネは、逃げる
ストレンジラブ、2番手の
ワイルドラズベリーに外から並びかける。
その2頭を交わしたかと思った瞬間、さらにその外から伸びて来たのが
ショウリュウムーンだ。道中で掛かったことが影響したのか、それとも馬場が影響したのか。いつもほどの伸びが見られない
アパパネを一気に抜き去り、先頭でゴールを駆け抜けた。
ショウリュウムーンは前走で未勝利を勝ち上がったばかりの馬だったが、その勝利は稍重のレースだった。その時はメンバー中最速の上がりを繰り出しており、勝敗の明暗を分けたのは馬場適性の差だったかもしれない。だが、3コーナーからマクリはじめ、最後まで伸びた息の長い末脚は本番でも脅威となるだろう。
一方、敗れた
アパパネだが、内から馬群の間を割るように抜けてきた
エーシンリターンズに一旦交わされそうになるも、馬体を併せてからは渋太く、その追撃をアタマ差抑えて②着は確保した。ここ2走のような後方からの競馬ではなく、先行からの押し切りを狙った走りで、この結果はまずまずといったところか。
③着に入った
エーシンリターンズはスタート直後こそハナに立ったが、外から前を窺う馬がいると、無理をせず一旦下げる。外にいた
アパパネとは違い、馬群の内にいたため
パミールが下がってきたことに寄る影響を受けなかった。じっくりと脚を溜め、直線に入ると前を行く馬たちの間を突き、
アパパネに襲いかかったが、最後のひと伸びが足りなかった。
ちなみに、上位3頭の父親はすべて
キングカメハメハである。種牡馬デビューから2年連続で2歳リーディングサイアーとなった
キングカメハメハだが、これまでは3歳になると産駒の成績が伸び悩む傾向が見られ、早熟説も出始めていた。
だが、前述の同年2歳牡牝チャンピオン誕生が史上初なら、
デビューから2年連続で2歳リーディングサイアーに輝いたことも、サンデーサイレンス以来の記録である。思えば、サンデーサイレンスにも当初は早熟説があった。
キングカメハメハはいま、
スーパーサイアーへの道を一歩一歩突き進んでいる最中なのかもしれない。