実績のある高齢馬は、決め付けでむやみに嫌わないでおきたいものだ
文/編集部
昨夏から今年にかけてオープン入りし、初重賞タイトルを狙う勢いのある4~5歳馬たちが1~3番人気馬を占めたが、すべて馬券圏外に終わってしまった。そして①~③着を占めたのは、すでに重賞タイトルを手にした経験のある6~8歳の古豪たち。
①着の
シャドウゲイトは、国際G1(シンガポール航空国際C)も含めて過去に重賞を2勝。12番人気と低評価だったが、②着の
タスカータソルテも08年の中京記念のほか、重賞3勝と実績上位と言える存在。③着の
ホッコーパドゥシャは、15番人気とさらに低評価だったが、昨夏の新潟記念で重賞タイトルを手にしていた馬だった。
結果論から言うと、②~③着馬などは特に、実績のわりに人気がなさすぎた印象がしてしまうが、これはおそらく、年齢面を嫌われた面も少なからずあったような気がしている。
カンパニーが8歳でG1を連勝するなど、昨年からクローズアップされてきた高齢馬の活躍。その勢いが、今年に入ってからも止まらない。そして、このような高齢馬の活躍については、『サラブレ』の2月号の特集でも取り上げていた。
その特集で主な要因として挙げていたのは、
調教施設の充実、
馬場の多様化、
薬品や医療技術の向上、
馬主経済の逼迫による馬資源の節約化など。そして、これらの状況は一過性のものでないのは明らかだろうし、この流れはこれからも続くものと思われる。
それでは、こういった状況の中で、馬券を買う側はどう対処していけばいいのか?
これはもう、
高齢馬だからといってむやみに軽視しない、ということに尽きるのだろう。高齢馬の近走成績が今ひとつだからといって、簡単に「もう終わってしまったのだろう」などと決め付けないことが大切。特に、今回の上位馬などもそうだが、実績上位と言える馬たちは力があることはわかっているのだから、なおさら軽視しないでおきたい。
シャドウゲイトは、2走前にG2のAJCCでクビ差の②着と好走していたが、勝利に関しては05年5月以来、もう17戦も遠ざかっていた。その意味で、単勝が4番人気に過ぎなかったのも、ある意味では仕方のない面があるのかもしれない。
とはいえ、国際G1の勝ち馬だ。ローカルのG3で、上がり馬の3頭に人気面で劣ったのはやはり、8歳という高齢が嫌われた面も少なからずあったような気がしてならない。それだけになおさら、結果的にこのメンバーで単勝830円というのは、
「買っておけば良かった……」と思えてきてしまう。
シャドウゲイトは今年で8歳を迎え、ここまで37戦のキャリア。年齢別に見ると、3歳時に8戦、4歳時に7戦、5歳時に7戦、6歳時に5戦、7歳時に7戦、そして8歳時は今回が3戦目となる。
年によって無理使いされた様子は見られず、さらにそのほとんどが中4週以上の間隔を開けて使われていた。先ほど高齢馬が活躍する要因をいくつか挙げたが、この馬のように、
陣営が大事にレースを使っているかどうかも大きな要因のひとつと言えるだろう。
さすがに今後、大きな上がり目を期待するのは酷かもしれないが、今回のようにすんなり先行できれば、まだまだ重賞で上位争いをすることは可能だと思われる。そして自分としては、今回のレースをしっかりと糧として、年齢を嫌われている感じで人気がない時があれば、今回の②~③着馬も含め、積極的に狙ってみたいところだ。