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サウンドバリアーの今後は推して知るべし
文/編集部

昨年のNARグランプリで2歳馬として初の年度代表馬に輝いたラブミーチャンが参戦。95年の4歳牝馬特別(現・フィリーズレビュー)を制し、桜花賞に駒を進めた同じ笠松所属の先輩ライデンリーダーの再現を期待されたのだろう。奇しくも、ライデンリーダーと同じく2番人気に推された。

結果は⑫着に敗れたものの、その挑戦はとても意義のあるものだと思うし、競馬ファンの関心を集めたのは紛れもない事実だろう。そして、ダートで6連勝した時と同じく、今回も果敢にハナを奪い、自分の競馬を貫いたのだから、その挑戦とレースぶりには拍手を送りたい気持ちだ。

その一方、初芝の馬にはやはり敷居が高いと感じさせる結果に。今回、初芝だった馬はケイアイデイジー(⑦着)、ラブミーチャン(⑫着)、ハニーメロンチャン(⑭着)、エリモエポナ(⑮着)と4頭出走していたが、いずれも掲示板外に敗れた。

今年のフェブラリーSでも、初ダートだった馬が同じく4頭出走して話題を集めたが、ローレルゲレイロ(⑦着)、リーチザクラウン(⑩着)、レッドスパーダ(⑫着)、スーパーホーネット(⑮着)は掲示板外に終わった。

3歳春の牝馬限定の芝重賞と古馬のダート重賞とでは、多少は事情が異なるかもしれない。阪神芝1400mというコースはダートの短距離でも押し切れるようなパワーが求められる部分もあり、実際、前走がダートで走っていた馬や芝で未勝利だった馬が好走するケースも見られる。

それでもやはり、「餅は餅屋」という印象を受けたのが、今年のフィリーズレビューだった。今回、掲示板内を占めたのはサウンドバリアー(①着)、ラナンキュラス(②着)、レディアルバローザ(③着)、ロジフェローズ(④着)、ニシノモレッタ(④着)。

その5頭に共通するのは、「OPクラスの芝で④着以内か5番人気以内に推された経験があったこと」である。要するに、すでに芝の上級条件で好走したり、上位人気に支持されるだけのパフォーマンス、もしくは素質の片鱗を見せていた馬と言い換えることもできる。そういった面から言えば、今回の結果はある程度、順当の部類なのだろう。

ちなみに、これはフィリーズレビューの『メインレースの考え方』でも触れたが、芝1400mで勝利実績があったのはラナンキュラスレディアルバローザロジフェローズニシノモレッタ。②着か③着ならあったのはサウンドバリアー。その5頭が掲示板内を独占したのだから、「餅は餅屋」と言いたくなるのも無理はないでしょう。

さて、好位から差し込んだラナンキュラスをハナ差で競り落とし、豪快な差し切りを決めたサウンドバリアーだが、騎乗した渡辺薫彦騎手がレース後のインタビューで、「直線は手応え通り、素晴らしい斬れ味を見せてくれました」と語っていた通り。素晴らしい末脚だった。

それは、父アグネスデジタルが制したマイルCS(00年)を彷彿とさせるレースぶりだったが、追い込みに脚質転換してからこれで①⑨①着。デビューから芝1400mやダ1200mでは先行して勝ち切れないレースが続いていたが、そういった経験を積んだからこそ得られた武器だと思う。

①~⑪着馬のうちの9頭が4角7番手以下だった馬であり、その結果を見ると、4角4番手から②着&③着に差し込んだラナンキュラスレディアルバローザは優秀だろう。その一方で、一見すると、サウンドバリアーは差し馬向きの流れになった展開の後押しがあったようにも思える。

ただ、阪神芝1400mで行われた86年以降のフィリーズレビュー(旧・4歳牝馬特別)において、4角9番手から差し切りで勝利したのはメジロラモーヌ(86年)、コーセイ(87年)、エイシンサニー(90年)、ローズバド(01年)、ラインクラフト(05年)、マイネレーツェル(08年)と、それほど多くはない。

しかも、メジロラモーヌ、エイシンサニー、ラインクラフトはその後にG1を勝っていて、コーセイとローズバドは後にG1で②着に好走。マイネレーツェルにしても同年のエリザベス女王杯で④着だったから、4角12番手から差し切ったサウンドバリアーのその後は推して知るべしである。

桜花賞では、他の路線からも強豪が集結するだろう。今年の3歳牝馬は、トップクラスの層が厚いかもしれない。それでも、サウンドバリアーの今後には期待したくなる。近親には古馬になってスプリントG1を2勝したビリーヴもいるから、長い目で見守っていきたいと思う。