継続は力なり。難しいから、それができるのは偉大なんだなあ
文/編集部
先日、ある友人が真顔でこう言ってきた。
「このあいだ家の掃除をしていて、どうしてこの家にはお金が貯まらないのに、ホコリはこんなに溜まるんだろうと思ったんだよね。それで考えて、分かったんだ。『チリも積もれば山となる』で、少なくてもいいから積み立てていくことが大切だって」ホコリが溜まるのは、単にお前の嫁さんが掃除をさぼっているからだろう、と思ったが、もういい大人なので言うのは自粛しました(笑)。
しかし、確かに、小さなことでも
「継続は力なり」で、続けていくこと、積み立てていくことは、後に大きな成果を生みやすい。誰もがそれは分かっていながら実行できないのは、それだけ何でも続けていくことが難しいからとも言える。
今回のマーチSを制した
マコトスパルビエロは、まさに
『継続は力なり』を地で行くタイプだ。2歳秋のデビュー以来、5ヶ月以上の休みを一度も取ることなく走り、このレースの前までに稼いだ賞金は3億円超。中央重賞は未勝利だったが、10度目の挑戦にして初めて中央のタイトルを手に入れた。
他馬に比べて断然の重賞実績を持ちながら単勝が4番人気となったのは、トップハンデの58kgを背負っていたからか、それとも、好走を継続するその力よりも新興勢力の勢いに目を奪われたからか。
ゴール前で2着以下に2馬身以上の差を付けたシーンを見せられては、
「やっぱり力が一枚上だったか」と言うしかなかったことだろう。私もそのうちのひとりですが(笑)。
00年以降の中央ダート重賞で、6歳以上の馬が優勝したのは今回で47度目となる。珍しいことでもなんでもないが、その中で、
マコトスパルビエロは
「7頭目」となる記録を達成した。
2歳、3歳、4歳、5歳、6歳と毎年勝ち鞍を挙げているのが、今回のマコトスパルビエロで7頭目なのだ。
マコトスパルビエロは2歳12月に中京ダート1700mで初勝利を挙げ、3歳時には黒竹賞(中山ダート1800m)、猪苗代特別(福島ダート1700m)、関越S(新潟ダート1800m)と3勝をマークした。4歳時にはベテルギウスS(阪神ダート2000m)を勝ち、5歳になった昨年に地方交流重賞を3勝(マーキュリーC、日本TV盃、名古屋グランプリ)。そして、6歳の今年は2戦目のマーチSを制し、5年連続での勝ち鞍を挙げることになった。
中央での全10場のうち走っていないのは函館だけで、地方では
佐賀、
船橋、
盛岡、
名古屋の4場で出走歴がある。レースに出た13場の中で、③着以内に入ったことがない競馬場はゼロ! もしかしたら、
『マコトスパルビエロのひとり国盗り合戦』と称して、走った競馬場をマーカーで塗りつぶしていっているのでは!?とさえ思われる。
00年以降の中央ダート重賞を6歳以上で制した馬のうち、2~6歳まで毎年勝ち鞍を挙げていたのは、
マコトスパルビエロ以前に6頭いる。それは次の馬たちだ。
オースミジェット
→その後の重賞で2勝・②着1回・③着1回
サウスヴィグラス
→その後の重賞で7勝・②着1回
スマートボーイ
→その後の重賞で3勝・②着2回・③着1回
ワイルドワンダー
→その後の重賞で②着1回・③着4回
ヴァーミリアン
→その後の重賞で4勝・②着2回・③着1回
ヴァンクルタテヤマ
→その後の重賞で3勝・②着1回・③着2回
※ワイルドワンダー、ヴァーミリアン、ヴァンクルタテヤマは現役
過去の6頭は、その後の重賞戦線でも活躍しまくり。これを見れば、
マコトスパルビエロがこの先も太く長く活躍するのは、間違いのではないだろうか。
そういえば、NHKの
『プロフェッショナル』に出演した
藤沢和調教師は、番組内で、
馬の調教は貯金箱にお金を入れていくことに似ていると話していた。
「少しずつ貯めていって、後になって開けたら、『ワーッ、こんなに貯まってた!』ということ。それと同じ」と。
ということは、全国の競馬場で、2~6歳に渡って好走を続けている
マコトスパルビエロの陰には、毎日の調教とケアを5年以上重ねているスタッフがいるということだろう。
継続の陰にさらに継続あり、に違いない。
マコトスパルビエロはこの先もダート重賞で好走をしてくれるだろうから、継続をするスタッフと馬に感謝しつつ、馬券を買う側は継続してお付き合いしていくと、いいことがあるのではないだろうか。