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中山芝1600m重賞もショウワモダンもイメージの刷新が必要か!?
文/編集部

あるコースや距離ごとに人それぞれ、「外枠が不利」「ペースが緩くなりやすい」などなど、何かしらのイメージを持っている場合は多いと思われるが、中山芝1600mの特に重賞について自分は、「前傾ラップのハイペース」と即座にイメージするという、言ってみれば思考のクセのようなものがついてしまっている。

これはおそらく、中山芝1600mの重賞と言えば、まず京成杯AH朝日杯FSをイメージするという影響も大きいのだろう。90年以降の両レースで、前半4Fと後半4Fを比較してみると、後半の方が速かった年は京成杯AHが03年と04年、朝日杯FSにいたっては05年しかない。

そういう思考回路の自分にとって、今回のダービー卿CTのラップはかなり面食らってしまった。前半4Fが48秒3、後半4Fが46秒0で、後半の方が2秒3も速いスローペース。

ちなみに、近年のこのレースが後傾ラップの年も少なくないことについては、過去傾向を調べていた段階で頭にはあった。過去5年の前半4Fと後半4Fを比較すると、前半の方が速かったのは07年と09年で、他の3年は今年と同じく後傾ラップ。

それにしてもだ。後傾ラップだった3年の前半4F-後半4Fを並べてみると、05年が46秒4-45秒9、06年が46秒5-45秒9、08年が47秒8-46秒4。後傾とはいえ、前半4Fが46秒台だった年も2年含まれている。

2~3歳限定のOP特別などならともかく、古馬混合のOPクラスの中山芝1600mで、今回のように前半4Fが48秒以上だったレースは、86年以降に7レースしかない。重賞としては、86年に8頭立てで行なわれた京王杯AH(①着アイランドゴッテス)以来となる。

そういった、「超スローペース」と言ってもいいようなダービー卿CTを制したのは、これまでに重賞で[0.0.1.12]のショウワモダンだった。良馬場の芝重賞に限れば、これまでは10戦中9戦が掲示板外。

この馬の勝因としては、やはりまずペースが挙げられるだろう。それは「スローペースで前にいたから」というだけではない。今回の戦前までに挙げていた良馬場の芝での3勝を見てみても、前半4F-後半4Fが以下のようになっていたからだ

07年1月の若竹賞(中山芝1800mの500万下)が49秒3-48秒3(1秒0)、08年11月のノベンバーS(東京芝1800mの準OP)が49秒1-46秒5(2秒6)、09年12月のディセンバーS(中山芝1800mのOP特別)が50秒0-46秒5(3秒5)。

いずれも後傾ラップで、カッコ内は前半とのタイム差となる。良馬場の芝で後傾ラップだったレース全体では[4.0.1.8]と、すべてで好走しているわけではもちろんないが、今回の勝利が「得意パターンの流れだったから」という面はやはり、少なからずあったのだろう。

ただし、「流れが向いた」というだけで片付けることは、もちろんできないと思う。この馬にとって注目されるのは、2走前に③着だった中山記念の上位馬が、その後に軒並み好走している点も挙げられる。

今年の中山記念は不良馬場で、3連単が53万馬券という波乱決着だったが、①着トーセンクラウンが次走の日経賞で0秒1差と惜しい③着、②着テイエムアンコールは次走の大阪杯でドリームジャーニーを撃破して重賞初制覇、そして大阪杯から間もなく行なわれたダービー卿CTで、ショウワモダンも重賞初制覇を果たした。

波乱決着だったレースの上位馬は、次走以降に軽視されてしまいがちな面があるが、上位馬がこれだけ揃って好走していれば、疑いなく「高レベルレース」と言ってもいいだろう。そして、ショウワモダンはその中山記念で、テイエムアンコールと同タイムの③着という好走をしていたのだ。力があってこその好走と言える。

「スローのダービー卿CTを制覇」という点で付け加えるなら、前半4Fが47秒8と遅かった08年に勝ったサイレントプライドも、重賞挑戦8戦目にしての重賞初制覇だったが、その次走に休み明けで出走した富士Sも勝って、重賞連勝を飾っていた。「スローだった年はレベルが低い」という言い方もできない

今年のダービー卿CTは、自分としては「中山芝1600m重賞に対しての頭のスイッチを修正する必要がありそうだな」と強く思う契機となった。と同時に、ショウワモダンが今後、どういったキャリアを積んでいくのか、以前にも増して興味が湧いてきた。