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1400m戦を制するのは、スプリンターでもマイラーでもない1400ラー
文/編集部

マイルでも1200mでもない1400mという距離は、特殊であることがよく言われるが、今回の阪神牝馬Sも、やはりそう思わされる結果になった。

近走でマイル以上、もしくは1200m以下の距離を使われていた馬たちが敗れ、勝ったのは、前走で牡馬相手のオーロC(東京芝1400m)を快勝していたアイアムカミノマゴ。同馬はこれで、芝1400mでの成績が④着(紅梅S)、②着(フィリーズレビュー)、①着(オーロC)、①着(阪神牝馬S)となった。

アグネスタキオン産駒が芝1400m以下の重賞で未勝利だったことや、休み明け(約5ヶ月ぶり)が危惧されたものの、前走とまったく変わらぬ体重(472kg)で現れ、終わってみれば②着以下に2馬身差。1400m適性の差をまざまざと見せつけられた思いがした。

アイアムカミノマゴには思い出がある。ちょうど1年前、桜花賞で穴ぐさ💨に推奨したからだ。

前走のフィリーズレビューで②着になり、2走前のエルフィンSではレッドディザイアと0秒2差。マイルは距離が長いというより、折り合い面に不安を感じていたので、鞍上の武豊騎手がなんとかしてくれればという思いがあったことを記憶している。

しかし、本番の桜花賞は、フィリーズレビューの時よりもやっぱりペースが遅くなり、道中で行きたがる面も見せて、もうひとつ弾けきれなかった(0秒5差の⑥着)。

母のアイアムザウィナーが1400m以下で活躍したことも覚えていたので、やっぱり1400m以下のペースが合うということか……と思ったものだ。

あれから1年。芝1400m重賞という舞台は、アイアムカミノマゴにとって約束された場所だったのかもしれない。「餅は餅屋」ではないけれど、1400mは、スプリンターでもマイラーでもない、「1400ラー」を重視すべきということだろう。

芝1400m重賞で、①着と②着の差が0秒3以上になったのは、昨春の京王杯スプリングC(勝ち馬スーパーホーネット)以来となった。あの時は1馬身3/4差で、①着と②着の差が2馬身以上開いたレースとなると、07年フィリーズレビュー(勝ち馬アストンマーチャン、2馬身半差)以来になる。

この距離の重賞でこれだけの差が付くことは珍しいわけで、それはすなわち、前述したように芝1400m適性の差と思われるが、着差が付きすぎただけに、余計な不安も頭をよぎってしまう。1400m適性が高すぎて、1600mだと距離が長いという結果になりはしないか、という不安だ。

芝1400m重賞で、②着以下に0秒3差以上を付けて快勝した牝馬は、前述のアストンマーチャンなどがいるわけだが、次走がマイル戦だと、なかなか勝てないという歴史がある。

アストンマーチャンはそのようなケースが2度あり、ファンタジーS①着阪神JF②着フィリーズレビュー①着桜花賞⑦着という成績。ラインクラフトもそのようなケースが2度あって、ファンタジーS①着阪神JF③着阪神牝馬S①着ヴィクトリアマイル⑨着

次走のマイル戦も勝った牝馬は、97年に4歳牝馬特別①着(1秒1差)桜花賞①着となったキョウエイマーチが最後になっている。アイアムカミノマゴが次走でヴィクトリアマイルに出走し、そこを勝てば、キョウエイマーチ以来、13年ぶりの快挙になるのだ。

果たして、アイアムカミノマゴは、マイルG1でも、今回と同じようなパフォーマンスを見せられるだろうか。

昨年の桜花賞で穴ぐさ💨に推奨した身としては、アイアムカミノマゴにはヴィクトリアマイルでも好走してほしいところ。そうすれば、「アイアムカミノマゴは、やっぱり芝のマイルG1でも好走する能力があったんですよ!」、1年前の無念を思い出しつつ、胸も張りたくなる。

もしそのような結果にならなかった時は……昨年の桜花賞で受けた傷口が、またも疼いてしまうかもしれない……。アイアムカミノマゴ、次走も頑張れ(笑)。