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サクラバクシンオー産駒としては例外的で、非常に価値ある重賞勝利
文/編集部

血統を予想のひとつの大きな拠り所としていると、馬柱の成績だけ見ていても買いづらい馬をピックアップできたりして、時には大きな配当にたどりつけることもあるが、その一方で、血統的な先入観からまったく的外れな結果となってしまうことも、少なからずあったりする。

今年のCBC賞は、サクラバクシンオー産駒のワンツー。今回は5頭が出走していて、そのうちの4頭が4~7番人気だっただけに、「さすがに1頭ぐらいは馬券に絡むかも」と身構えてはいたが、まさかワンツーをするとは想定外だった。

想定外だったのは何より、サクラバクシンオー産駒の京都芝1200mの重賞成績が頭にあった影響が大きい。「メインレースの考え方」でも指摘したが、同産駒は今回のレース前までに、京都芝1200mの重賞で[0.0.3.13]。中京芝1200m重賞では過去6勝だけに、例年と違う京都での開催が好材料とは思えなかった。

念のために、範囲を広げて「父ナスルーラ系」としても調べてみたのだが、90年以降での京都芝1200m重賞の21レースのうち、父ナスルーラ系は[2.3.3.57]。サクラバクシンオー産駒に限らず、父系全体で意外なほど勝利数が少なかった。

しかも、勝った2頭の戦績を見ると、97年のシルクロードSで①着のエイシンバーリン(父コジーン)は、それ以前に重賞で3勝していて、G1での③着もあった実績馬。06年の京阪杯で①着のアンバージャック(父パラダイスクリーク)は、重賞勝ちの実績こそなかったものの、500万→1000万→準OPで3連勝中という上昇一途の馬だった。

今回のCBC賞に出走していたサクラバクシンオー産駒5頭のうち、2連勝以上していた馬は不在。実績的に、重賞3勝でG1での③着もあるカノヤザクラが、先述のエイシンバーリンに似た感じで、馬券的に狙うとしたらこの馬が最有力かなと予想していた。

しかし、結果はまったくの的外れ。重賞の過去6戦が⑪⑰⑫⑨⑩⑦着で、近4走に勝ち星なしヘッドライナーが勝ち、重賞未勝利で近4走が④⑫④⑧着ダッシャーゴーゴーが②着に来た。

こんな馬券、買えるわけがありません。まあ、ハッキリ言って見苦しい強がりだが、血統データの蟻地獄にズルズルと飲み込まれた感じの自分は、レース後にそう強がることしかできませんでした(笑)。

それにしても、ここ最近だけでも、サクラバクシンオー産駒をはじめとしたテスコボーイ系には、驚かされることばかりだ。

先週の安田記念を制したショウワモダン(牡6、父エアジハード)は、昨年までの芝重賞では[0.0.0.11]と馬券圏内に入れずにいたが、今年4月にダービー卿CTで重賞初制覇を果たすと、勢いに乗って安田記念でG1制覇まで達成した。

5月の京王杯SCを制したサンクスノート(牝5、父サクラバクシンオー)は、昨年までは重賞に出走経験すらなく、今年に入ってからオーシャンS⑦着→阪神牝馬S⑩着。「重賞では壁があるのだろうか?」という印象を抱かせたが、重賞挑戦3度目の京王杯SCでは一転して、レコードの勝利を収めてみせた。

キー・ワードは「成長力」だろう。サンデーサイレンス全盛時代には、早い時期から開化を見せた馬が古馬になってからも活躍するケースが目立っていた。それが、SS直仔の現役馬がだいぶ少なくなってきた現在、「SS時代」以前に戻るかのように、成長力のある血統が台頭しやすい土壌ができつつあるのかもしれない。

ヘッドライナーは今回、二の脚でハナに立っての勝利。ちょっと意外だが、芝1200m重賞を逃げ切り勝ちしたサクラバクシンオー産駒というのは実は、過去にショウナンカンプしかいない。京都芝1200mの重賞勝ちがサクラバクシンオー産駒で初だっただけでなく、この距離の重賞で逃げ切りというのも、同産駒としては珍しいことだった。

血統に触れ始めると、「同産駒が苦手としている条件を克服して勝った馬」といったような、例外的な存在に一目置いたり、妙に気になったりする人は少なくないと思うが、ヘッドライナーはそういう意味で、かなり気になる存在のサクラバクシンオー産駒と言ってもいいだろう。

そして、この馬だけに限らず、前述のショウワモダンサンクスノートなども含めて、「成長力のあるテスコボーイ系」の今後も気になる。今の活躍は一時的なものなのか、あるいは「時代が来ている」のか。ヘッドライナーについては、常にそういった視点も頭に入れつつ、今後を見守っていきたいところだ。