ブライティアパルスの本領発揮はまだまだこれから!?
文/編集部
マーメイドSがハンデ戦となった06年以降、③着以内12頭のうち、09年③着のリトルアマポーラ以外の11頭はハンデが54kg以下。その4年すべてで1番人気は馬券圏外に負けていて、4年のうち3年で9番人気以下が連対していた。
人気薄の軽量馬が台頭する波乱の重賞へと変貌したのは周知の通り。
ただ、
『メインレースの考え方』でも触れたように、今年はヴィクトリアマイルで②着&③着だった
ヒカルアマランサス、
ニシノブルームーンを筆頭に、牝馬重賞で実績を残している馬が多く出走してきて、
「そろそろ斤量55kg以上の馬が格を見せつけるのでは」という思いがあった。
結果はというと、3番人気の
ブライティアパルス(53kg)が①着、14番人気の
セラフィックロンプ(53kg)が②着、4番人気の
テイエムオーロラ(53kg)が③着。1番人気の
ニシノブルームーンは内目から追い込んだが④着まで。2番人気の
ヒカルアマランサスは4コーナーで手応えが怪しくなり、直線で伸び切れず⑤着だった。
前述した思惑はあっさりと外れ、近4年の傾向が継続される結果に。
軽量の先行馬が残るというのも、9番人気で逃げ切りを決めた昨年のコスモプラチナしかりで、近4年で見られたパターンだったが、今年は4角3番手以内につけた3頭が③着以内を占めることとなった。
ひと昔前、
「府中の二千には魔物が棲む」と言われたりもしたが、魔物は
阪神芝2000mに引っ越しをしたんじゃないでしょうか(笑)。
開幕週の馬場を味方に、軽量馬が先行して粘り込む。重賞で好走していたり、重賞で良績を残しているタイプは重い斤量を課され、先行した軽量馬を捕まえ切れずに終わる。波乱の要因を簡単に説明すれば、そんな感じだろうか。
また、今年のレースを見て感じたのは、
ヴィクトリアマイルからの臨戦がいかに過酷であるかということ。ヴィクトリアマイルでブエナビスタに肉薄していた
ヒカルアマランサス、
ニシノブルームーンが⑤着&④着に終わったのを見て、そのことを痛感した。
特に、今年のヴィクトリアマイルはハイペースで厳しい戦いとなったため、レースの消耗度も大きかったと思われる。そのレースから中4週で、しかも、
ヒカルアマランサスのように斤量増(55→56kg)ともなれば、パフォーマンスの低下はやむを得ない面もあるだろう。
そのことは来年への教訓とするとして、勝った
ブライティアパルスは素直に評価したい。レース後の勝利騎手インタビューでは、
藤岡康太騎手が
「精神面の成長が感じられた」と話していたが、2番手で折り合い、2000mでもしっかりと伸びることができたのは、なるほど、その証明と言える。
今回は開幕週の馬場や軽ハンデが味方した部分もあるだろうが、秋華賞が0秒2差の④着で、前走のメイSがショウワモダン(次走で安田記念①着)、シルポート(次走でエプソムC②着)に次ぐ③着だったのだから、ポテンシャルの高さは示していた。それが精神面の成長で開花したということだろう。
なお、マーメイドSがハンデ戦となった06年以降の勝ち馬は、ソリッドプラチナム、ディアチャンス、トーホウシャイン、コスモプラチナ。この4頭はその後、未勝利のまま現役を引退していた。これは、
波乱の重賞へと変貌したマーメイドSのもうひとつの顔である。
ブライティアパルスにとってはうれしくないデータだろうが、精神面で成長を見せ、能力を開花させた印象の
ブライティアパルスに、この傾向が果たして当てはまるのかどうか。自分で提示しておきながら何だが、
「そろそろそのデータが覆されるのでは」という気がしてならない。
重賞初制覇は5歳とやや遅めだったが、キャリアは14戦と少ない。成長途上という印象の
ブライティアパルスにとって、本領発揮はまだまだこれから。今回のレースぶりを見てもそう感じたし、血統好きとしては、数少ないダイタクリーヴァ産駒として頑張ってほしいとも思う。今後も注目していきたい。