勝ち馬には、さらに高いステージでの活躍を期待したくなる
文/編集部
今年の出走馬16頭を見渡した時、
「例年にも増して、やけに高齢馬が多いなぁ」というのが第一印象だった。出走馬16頭のうち、半数にあたる8頭が7歳以上の馬なのだから、そう感じたのも当然と言えば当然である。
気になったので、過去10年の出走馬の平均年齢を調べてみた。00年→5.1歳、01年→5.4歳、02年→5.9歳、03年5.6歳、04年→5.9歳、05年→5.5歳、06年→6.1歳、07年→5.5歳、08年→5.3歳、09年→6.1歳。過去10年のうち、平均年齢がもっとも高かったのは06年と09年の6.1歳だった。
今年は、06年と09年の6.1歳を大きく上回る
6.7歳。国民の高齢化が話題に上る昨今の日本だが、高齢化の波は今年の函館記念にも及んでいたようです(笑)。
そんな状況の中、5.2倍と割れたオッズながら1番人気に推されたのは、出走馬中で唯一の4歳馬
ジャミール。2番人気(5.7倍)は、3頭いた5歳馬のうちの1頭
マイネルスターリー。重賞で豊富なキャリアを誇る古豪に混じり、重賞で未勝利の若手2頭に支持が集まっていた。
レースは
テイエムプリキュアが後続が引き離して逃げ、1000m通過57秒8というハイペース。
テイエムプリキュアは3コーナー過ぎで馬群に飲み込まれ、入れ替わって2番手につけていた
ドリームサンデーが先頭に踊り出る。
その
ドリームサンデーの外から早めに進出してきたのが
マイネルスターリー。直線入口で早々と
ドリームサンデーを交わし、直線では2番手以下を引き離す一方だった。内から追い込んで②着に食い込んだ
ジャミールだったが、
マイネルスターリーとは3馬身半差がついていた。
①着
マイネルスターリー(5歳、2番人気)、②着
ジャミール(4歳、1番人気)、③着
ドリームサンデー(6歳、5番人気)。終わってみれば、上位人気に推されていた6歳以下の3頭が馬券圏内を占める結果になった。
前日のラベンダー賞、函館記念のひとつ前の横津岳特別がレコードで決着していたように、速い時計が出る馬場に変貌していた函館。
テイエムプリキュアがハイペースで引っ張った展開が後押しした面もあるだろうが、
マイネルスターリーの勝ち時計1分58秒5は速い。
過去の函館記念で勝ち時計が1分58秒9以内だったのは、86年の1分58秒6(①着ニッポーテイオー)、88年の1分57秒8(①着サッカーボーイ)の2回しかないのだ。ちなみに、ニッポーテイオーとサッカーボーイはその後にG1を勝っている。
当時といまとでは馬場の違いなどもあるだろうから、今回の結果を受けて、
「マイネルスターリー=G1を勝てる」と即座に結論付けるのは早計かもしれない。それでも、86年以降の函館記念の勝ち馬には、のちのG1馬がニッポーテイオーとサッカーボーイしかいないこともまた事実。
マイネルスターリーの今回のパフォーマンス自体は、高評価されてしかるべきものだったのは間違いない。
マイネルスターリーは今回も含めて、7勝中6勝を函館と札幌の芝で挙げている。昨夏のポプラS(準OP、札幌芝2000m)では、のちに重賞を2勝しているアクシオンを負かしていただけに、高い北海道の洋芝適性と素質を備えていることは、今回の人気にも表れていたと思う。
今年に入って重賞で⑤⑧④④着と歯がゆい結果が続いていたが、鬱憤をきれいさっぱり晴らすかのような快走だった。函館記念は、北海道で実績のある馬の好走が目立つレースではあるが、ニッポーテイオーとサッカーボーイがそうだったように、個人的には、
マイネルスターリーは北海道に限らず、さらに高いステージでの活躍を期待したい。
一方、08年の函館記念で②着の
フィールドベアーが⑤着に入る健闘を見せたが、過去に函館記念で好走実績のある馬たちは馬券圏外に敗れた。敗因は馬によっていろいろあるだろうが、明暗を分けた最大の要因は、
「速い時計が出やすい馬場」における
「速い時計での決着」だったのではないだろうか。
エリモハリアーは05~07年に函館記念を3連覇したが、今回はその3年より速い時計(2分0秒6)で走破しながら⑬着だった。
エリモハリアーの走破時計と着順は、今年の函館記念がどんな馬場状況だったのか、如実に物語っていたように思える。来年に向けて、忘れずに憶えておきたい。