レッツゴーキリシマが真価を発揮するのはこれから!?
文/編集部
出走馬18頭のうち、重賞勝ちがあったのは
マルカシェンクと
エフティマイアだけ。1番人気に推されたのは重賞初挑戦の
スピリタスだったが、前走の湘南Sの勝ち時計1分31秒7は翌日の安田記念のそれと同タイムだっただけに、ポテンシャルを期待された結果と言えるだろう。
その
スピリタスは中団から伸び切れず⑥着に敗れた。⑥着とはいえ、勝ち馬とは0秒2差と小差であり、自身は自己最速の上がり(32秒7)をマークしていた。道中では頭を上げるシーンもあったが、結果的には重賞でのキャリアの差が出た感じだろうか。
そんな中、
セイクリッドバレーの急追を凌いで先頭でゴールを駆け抜けたのは
レッツゴーキリシマだった。今回は自分でレースを作れる強味を活かせた格好だろうが、8ヶ月半ぶりの実戦でこれだけ動けるのだから、馬も立派だし、重賞初制覇となった天間厩舎の仕上げもお見事だったと思う。
ちなみに、今回の1戦を含め、出走馬18頭の重賞キャリア数を見てみると、1位(27戦)は
マルカシェンク、2位(17戦)は
リザーブカード、3位(16戦)は
レッツゴーキリシマとなっている。ただし、
マルカシェンクと
リザーブカードは7歳なのに対し、
レッツゴーキリシマはまだ5歳。
レッツゴーキリシマは5歳といっても、今回の関屋記念が5歳として初のレースだったから、2~4歳時に重賞で15戦も走っていたことになる。その重賞成績は[0.2.2.11]で、07年朝日杯FSや08年京成杯AHの②着などがあるが、①着は近いようで遠かった。
そのキャリアの中では、準OPに降級したこともある。降級後はレインボーS(準OP)、カシオペアS(OP特別)と連勝し、力の違いを見せつける結果だったが、その直後、再び重賞戦線に戻った福島記念では⑦着に敗れてしまう。
そして迎えた今回の関屋記念。それまで、左回りは[0.0.2.4]。新潟外回りの芝1600mも未経験のコースだったが、逃げた時は[4.0.1.3]という好成績が示す通り、自分の競馬に徹して待望の重賞タイトルを手に入れることとなった。
レッツゴーキリシマには
「若き苦労人」というイメージがある。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉もある。
レッツゴーキリシマは別に好き好んで苦労していたわけではないでしょうけど(笑)、
敗戦を糧に、ここまで積み上げてきた努力が結実したのが、関屋記念だったのは間違いだろう。
01年以降(新潟競馬場新装後)の関屋記念の好走馬(③着以内馬)からは、アドマイヤマックス、ダイワメジャー、カンパニーがその後にG1を制している。その3頭に共通することと言えば、母父がノーザンテーストであることだが、
レッツゴーキリシマは父メジロライアンで、ノーザンテースト系に属している。
「母父ノーザンテーストのアドマイヤマックス、ダイワメジャー、カンパニーがその後にG1勝ち」=「父ノーザンテースト系のレッツゴーキリシマものちのちG1を勝つ」という論理は、ひとつの可能性として覚えておきたいが、
レッツゴーキリシマが真価を発揮するのはこれからという気がしてならない。
というのも、関屋記念での好走以降、ダイワメジャーはG1を4勝もした。カンパニーは8歳秋に天皇賞・秋、マイルCSを連勝した。この2頭を見ても、古馬になってからの成長力という面では、ノーザンテーストの血が大きく影響しているように思えるから。
今回の関屋記念での勝利は、
レッツゴーキリシマのキャリアにおいて大きなターニングポイントになるはず。
レッツゴーキリシマは目標にされやすい脚質だけに、今後の重賞での戦いも順風満帆ではないかもしれないが、その血統背景から言っても、今後にはまだまだ楽しみな要素がいっぱい詰まっていそうだ。