「本気」になった(?)アーネストリーにとって、G1制覇も現実味を帯びてきた!?
文/編集部
宝塚記念③着の
アーネストリー、皐月賞②着の
ヒルノダムール、ダービー馬の
ロジユニヴァース、春天の勝ち馬の
マイネルキッツ、さらに函館記念①~③着の
マイネルスターリー、
ジャミール、
ドリームサンデー、昨年の覇者
ヤマニンキングリー。さすが
「G1に近いG2」と言われる札幌記念だけあって、今年も多士済々な顔ぶれとなった。
そんな中、勝利を収めたのは
アーネストリー。道中は
ドリームサンデー、
ロジユニヴァースが後続を離して進む展開だったが、
アーネストリーは3番手追走から勝負所で前2頭を射程圏内に入れ、直線で
ロジユニヴァースを競り落として先頭でゴールを駆け抜けた。
函館記念で①~③着だった
マイネルスターリー(⑥着)、
ジャミール(⑤着)、
ドリームサンデー(⑫着)が馬券圏外に敗れた一方、前走の宝塚記念で⑬&⑮着だった
ロジユニヴァース(②着)、
アクシオン(③着)が巻き返し、終わってみれば、札幌芝で勝ち星のあった前走・宝塚記念の3頭が③着以内を占めることとなった。
それはあくまで結果論に過ぎないが、
アーネストリーが②着
ロジユニヴァース以下につけた着差は1.3/4馬身。レース後、
佐藤哲三騎手が
「内側につけようかと思いましたが、力が違うと思ったので、外に出しながら安全策で行って勝ってくれました」と話していたが、それで1.3/4馬身は
決定的とも思える差ではないだろうか。
札幌記念がG2に昇格した97年以降で見ると、4角2番手以下からの競馬で②着以下に1馬身差以上をつけた馬は97&98年
エアグルーヴ、01年
エアエミネム、02年
テイエムオーシャン、06年
アドマイヤムーンで計4頭いる。
エアグルーヴは97年札幌記念直後に天皇賞・秋を制し、JCでも97年と98年で2年連続②着となった。
テイエムオーシャンは02年札幌記念以降は未勝利だったが、その前に牝馬G1を3勝(00年阪神3歳牝馬S、01年桜花賞、01年秋華賞)していた。
アドマイヤムーンは06年札幌記念を制した翌年に、ドバイデューティーフリー、クイーンエリザベス2世C、JCでG1・3勝を挙げた。
エアエミネムはG1勝ちこそなかったが、01年札幌記念の2走後に菊花賞で③着に好走していた。
つまり、
「札幌記念で4角2番手以下からの競馬で②着以下に1馬身差以上をつけて勝利した馬」は、G1を勝てるだけの力を秘めている証拠とも言える。
アーネストリーは前走の宝塚記念で③着だったから、すでにG1級の力は証明しているが、今回の結果から判断すれば、
佐藤哲三騎手の
「もうG2をふたつ勝ったので、次はG1だと思っています」という言葉通り、秋に向けて期待が膨らむ勝利だったのは間違いないだろう。
アーネストリーは祖母がダイナチャイナ。同馬の全兄は、85年天皇賞・秋で13番人気という低評価を覆し、断然1番人気のシンボリルドルフを退けて勝利した
ギャロップダイナだ。ちなみに、
ギャロップダイナはその85年天皇賞・秋が2回目のG1挑戦で、年齢は5歳だった。
ギャロップダイナだけでなく、近親の
ヴァンクルタテヤマなども、重賞初制覇だった08年プロキオンSが6歳7月で、どちらかというと、遅咲きのタイプが目立つ牝系ではある。そう見ると、
佐藤哲三騎手の
「ようやく本格化してきたかなと思います」という言葉も納得が行く。
佐藤哲三騎手はまた、
「僕の言うことも聞いてくれるようになってきているので、またこれから走りが楽しみですね。(成長を感じる部分は)気持ちでメリハリがついてきたこと」とも話していたが、
アーネストリー「Earnestly」という馬名の意味は、
「本気で」とのことらしい。
「本気」になった(?)
アーネストリーにとって、ここまではビッグタイトル奪取へ向けて序章に過ぎない!?
ギャロップダイナのように、5歳となった今年、2回目のG1挑戦で大仕事を成し遂げる!? 札幌記念の勝利は、いろいろと楽しい想像を巡らせるには十分なパフォーマンスだった。