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新潟2歳Sの鬼門を突破したマイネイサベル&松岡騎手は見事
文/編集部

1番人気(4.3倍)がクリーンエコロジー、2番人気(5.9倍)がキッズニゴウハン、3番人気(5.9倍)がリーサムポイント、4番人気(6.0倍)がエーシンブラン、5番人気(6.8倍)がレッドセインツ、6番人気(6.8倍)がサイレントソニック

最終的には上記6頭が単勝オッズで10倍以内に収まってレースを迎えたが、発走直前で競走除外となったホーマンフリップは締切前で2番人気に推されていて、レース直前では上位人気7頭が単勝オッズで10倍以内にひしめいていた。

86年以降の過去24年を振り返っても、上位人気7頭の単勝オッズが10倍以内だったことは一度もなく、上位人気6頭の単勝オッズが10倍以内だったのも92年だけ。また、1番人気クリーンエコロジーの単勝オッズは4.3倍だったが、1番人気の単勝オッズが4倍台だったのも07年だけだった。

今年の新潟2歳Sがいかに上位混戦だったのか。単勝オッズを見るだけでもそのことが窺い知れ、自分もそのひとりだったが、馬券検討で頭を悩ませた人も少なくなかったのではないだろうか。

レース直前に07年の新潟2歳Sの結果を眺めていたが、その年は①着エフティマイア(4番人気)、②着シャランジュ(16番人気)、③着ゴールドストレイン(9番人気)で決まり、1~3番人気のタケミカヅチ(⑥着)、エイシンパンサー(④着)、アドマイヤフォース(⑪着)はいずれも馬券圏外に負けていた。

「今年もこんな結果になっても不思議ではないのかもしれない」などと思っていたが、その予感は現実のものに。1~3番人気のクリーンエコロジー(⑩着)、キッズニゴウハン(⑧着)、リーサムポイント(⑫着)は馬券圏外に敗れ、馬券圏内を占めたのは5番人気以下の3頭だった。

①着マイネイサベル(9番人気)、②着マイネルラクリマ(10番人気)、③着レッドセインツ(5番人気)。前、前で粘り込みを図ったマイネルラクリマを、上がり33秒5の末脚を繰り出し、ゴール寸前で外から差し切ったのがマイネイサベルだった。

実は、マイネイサベルが7月17日に新馬勝ちした直後、松岡騎手と会う機会があったのだが、その時に松岡騎手「マイネイサベルは走りますよ。期待している馬です」と話していた。その言葉には力強さがあったので、マイネイサベルはずっと気になっていたが、入った枠が8枠だった。

新潟2歳S『メインレースの考え方』でも記されていたように、このコースで行なわれるようになった02年以降、8枠の馬は[0.0.0.21]と連対どころか③着すらもなかった。果たしてマイネイサベル&松岡騎手は、この枠順的な逆風を跳ね返せるのか。当然ながら、答えが出ないままレースを迎えることになった。

ところが、そんな外野の心配をよそに、マイネイサベル&松岡騎手は大外から力強く突き抜けた。レース後のインタビューで松岡騎手は、「3コーナーで2頭くらい、内で引っ掛かっていく馬がいて、少しペースが上がってくれたので、ちょうど良い位置になったと思います」と答えていた。

新馬戦では先行策から押し切り、新潟2歳Sも好スタートを切っていたマイネイサベル&松岡騎手だったが、その位置取りは中団。馬のリズムに合わせた結果、その位置取りになったということだろうが、そういう競馬でも力を出せる確信めいたものがあったのだろう。

ゴール通過後に、右手で大きくガッツポーズをし、喜びを爆発させていた松岡騎手。そこには騎手の期待に応えてみせた馬と、その馬の力を信じて乗った騎手の姿があった(と自分には見えた)。

レース後、8枠に入ったことでマイネイサベルを軽視してしまった自分が情けなく、どこか遠くへ行きたい気持ちになったが、それはそれとして(笑)、マイネイサベルの末脚、松岡騎手の手綱捌きは実に見事だった。

また、マイネイサベルの父はテレグノシスで、同産駒は中央でまだ3頭しかデビューしていないが、その中から早くも重賞ウイナーを輩出。同じ新種牡馬のディープインパクト産駒やハーツクライ産駒が次々と勝ち名乗りを上げる中、その存在感を示してくれたことは、トニービン(テレグノシスの父)好きとしては喜ばしい限り。

8枠という新潟2歳Sの鬼門を突破したマイネイサベル&松岡騎手には、今後も、向かい来るであろう難関を、父テレグノシス譲りの末脚で打ち破っていってほしい。その光景を、どこか遠くから見守ってます(笑)。