前半3F、位置取りの面から、かなり優秀なブラウンワイルドの勝利内容
文/編集部
今年の2回小倉8日目で、
小倉2歳Sの以前に芝1200mは4レース組まれていたが、1Rの2歳未勝利が1分8秒8、4Rの2歳新馬が1分9秒5、6Rの3歳未勝利が1分8秒9、9Rの3歳以上1000万下(
八幡特別)が1分7秒8。
4Rの新馬戦以外は1分9秒を切り、1Rの2歳未勝利でも1分8秒台だったことから、重賞の
小倉2歳Sが1分9秒を切るだろうことは容易に想像がついたが、結果的に
1分8秒7という、歴代3位の速さとなった(1位は
コスモヴァレンチが勝った04年の1分8秒2、2位は
アストンマーチャンが勝った06年の1分8秒4)。
前日の
「メインレースの考え方」に
「勝ち時計が1分9秒3以内だった03年以降の過去7年では、1~5番人気が[7.4.7.17]、6番人気以下が[0.3.0.63]。速い時計の決着になると、上位人気サイドが順当に強さを見せるのが近年のトレンド」といった記述があったが、実際に今年も①~②着は1~2番人気による順当な決着。
だから、時計が速くなったことで①~②着が順当(③着は9番人気の
スギノエンデバー)に決まったことには
「なるほど」という感じだったが、驚いたのは
ブラウンワイルドの位置取りだ。中団を追走して直線に入る前には外に出し、
「3角9番手→4角9番手」からの差し切り。
先述の
「勝ち時計が1分9秒3以内だった03年以降の過去7年」の成績をもう一度見ると、
連対14頭中の実に13頭は4角4番手以内で、例外の08年①着の
デグラーティアにしても
「3角5番手→4角6番手」だった。
08年の
デグラーティアも
ブラウンワイルドと同じく
浜中騎手の騎乗だったことは興味深いが、
小倉2歳Sは基本的に先行有利の傾向。その傾向は、時計が速くなるほど顕著になる面が見られた。
例えば、
「3~4角とも6番手以下からの差し切り」は、過去20年さかのぼっても他に2頭だけだが、
ゴッドスピードが3角7番手→4角6番手で勝利した96年は1分11秒3、
タムロチェリーが3角14番手→4角12番手で勝利した01年は1分10秒6。
要するに、
「1分10秒~11秒台の決着にでもならないと、中団~後方からの差し切りは困難」という傾向が見られていたわけだが、
ブラウンワイルドの
「1分8秒台の決着の中を3角9番手→4角9番手からの差し切り」という芸当は、そういった傾向も頭に入れて見返すと、非常に鮮烈な内容だった。
さらに、それを補完する意味で、今回の勝利内容には将来が楽しみとなる2点の要素がある。
まずは、先述の
「3~4角とも6番手以下からの差し切り」で挙がった
ゴッドスピード、
タムロチェリーがともに、2走後に重賞2勝目を挙げていたこと。
先行有利の傾向が強い小倉2歳Sを中団~後方から差し切るというのは、高いポテンシャルがないとできない内容なのだろう。
それから、今年のレースラップを見ると、前半3Fが33秒1。これは過去20年さかのぼって見ても、32秒5の06年(①着
アストンマーチャン)、32秒9の03年(①着
メイショウボーラー)に次ぐ速さとなる。
06年の
アストンマーチャン、03年の
メイショウボーラーはともに、次走でも重賞を制して、後に芝G1で連対。
前半3Fが非常に速くなった中を勝つというのも、高いポテンシャルを証明する面があるのだろう。
こういった2点、さらに
ブラウンワイルドは
「ワイルドラッシュ産駒による芝重賞の初勝利」という型破りな面もあり、レース後のインタビューで
浜中騎手も話していたように、距離延長にも対応できそうなタイプでもあるだけに、クラシックも見据えて長い目で注目していきたい。