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少頭数ながら、実績上位馬が力を出しやすい流れになった
文/編集部

近年はなんとか14頭以上が集まっていたオールカマーだが、今年は10頭立て。以前のオールカマーに戻ってしまった。

00年以降、このレースは中山競馬場では9回行われていて、06年以降は昨年まで14~16頭立てで行われていたが、05年以前は7~10頭立て。形上は、05年以前に戻ったということだ。

05年以前の少頭数競馬の時は、緩んだレースが多かった。それは勝ち時計を見ても分かる。

●00年以降のオールカマーの勝ち時計(10頭立て以下の年)
年(頭数) 勝ち時計(馬場)
00年(9頭) 2分15秒8(重)
01年(7頭) 2分13秒9(良)
03年(10頭) 2分14秒4(良)
04年(9頭) 2分13秒4(稍重)
05年(10頭) 2分16秒7(稍重)

道悪の時が多いこともあるが、最速で2分13秒4(04年)だ。

ところが、今年は、多頭数の近年を含めても過去10年で1位タイとなる2分11秒4が記録された(昨年と同タイム)。シルポートが逃げ、サンライズベガミステリアスライトなどが続いて、ペースが締まったのがその要因だろう。

結果的には、このような締まったペースが構築されて、地力に勝る馬たちが実力を発揮しやすくなったのだと思う。今回の10頭中、G1で勝ち鞍があったのはドリームジャーニーだけで、G1で掲示板内があるのは、ドリームジャーニーシンゲンだけだった(他にG1に出走経験があったのは、トウショウシロッコジャミールベンチャーナイン)。

シンゲンドリームジャーニーは、内外のコース取りの差、そして斤量差、さらには休み明けの成績にも差があったので、それらが着順に現れたと言えそうだが、いずれにしても今回のレースは、両馬にとって、G1の前哨戦としては過不足ない内容だったのではないか。締まったペースでの前哨戦で好走すれば、より厳しい流れが予想されるG1でも対応力が違ってくるように思われる。

シンゲンは前走の天皇賞・秋が初のG1で、初めて58kgの斤量を背負って⑤着に敗れた。今回は、昨年のオールカマーの時と同じ体重(496kg)で、しかし休養期間は昨年より長かったものの(昨年は3ヵ月ぶり、今年は10ヵ月半ぶり)、昨年以上の時計を記録して差し切った。

今秋にG1に出走する時には、G1未経験だった昨年時とは同じ扱いをしない方がいいのだろう。未勝利戦以来となる右回りの勝利を飾ったことを考えても、7歳にしてさらに成長、走りのレベルが上がっている。そのように思われるからだ。

ドリームジャーニーについては、G1馬であっても6歳秋に衰えを見せ始める馬が少なくないだけに、今回はその点が気になったが、7歳で初G1タイトルを手に入れたステイゴールドの息子に対して、それは失礼な見立てだったと反省する結果となった。一頓挫あった今春とは状態が違うようで、再びG1で「軽く飛ぶ」シーンも見られそうだ。

古馬になってからのドリームジャーニーの5勝は、中山小倉、そして阪神の内回りでのもので、今後もどこの競馬場に出てくるかに注目したい。

今回のオールカマーは、上位④着までを6~7歳馬が占めて、5頭いた4~5歳馬はいずれも⑤着以下に敗れた。

夏競馬に出走して好走もしていたジャミールミステリアスライトが、休み明けの実績上位馬を相手にどこまで立ち回れるかが注目されたが、現時点での力量差、経験の差を見せられた格好だった。

ただ、シンゲンにしてもドリームジャーニーにしても、4歳時にふた桁着順を喫しながら再び上昇気流を作り出した過去があって、ミステリアスライトジャミールにしても、今回の敗戦が今後にどう活かされるかに期待したいものだ。

それにしても、改めて思うのは、やっぱりマツリダゴッホサンデーサイレンス産駒としては異質のタイプだったなあ、ということだ。

マツリダゴッホは昨年までオールカマーを3連覇していたが、同馬以外、父サンデーサイレンス系で中山でのオールカマーを制した馬はいない。同馬を除くと[0.3.5.34]という成績だった。

今年は、10頭中6頭が父サンデーサイレンス系で、大挙して勝利を獲りに来た形だったが、②着から⑥着に入ったものの、肝心の①着を獲れなかった(勝ったシンゲン父ホワイトマズル)。

オールカマー「誰でも来い」という意味なんだろうけど、本当は「誰でも来い。ただし、マツリダゴッホ以外の父サンデー系には①着はご用意しておりませんというサブタイトルでも付いているんだろうか(笑)。