出世レースで好走した2頭には、ダート界を牽引していってほしい
文/編集部
出走馬16頭を見渡すと、今年に入って中央のOPダート、もしくは交流重賞で③着以内がなかったのは5頭。ただし、
ドリームライナー、
アドマイヤシャトル、
サクラロミオは準OPを勝ち上がって1~2戦目であり、
ワンダーアキュート、
ワンダースピードは長期休養明けから1~2戦目だった。
その5頭の状況を踏まえて全体を見渡すと、
実績馬、そして
好調馬が多く集まったと言える。この
みやこSの位置付けは、
ジャパンCダートの前哨戦だろうから、そうなるのも当然と言えば当然か。
そんな中、1番人気に推されたのは
ヴァーミリアンの半弟で、重賞連勝を狙う
キングスエンブレム。2番人気は近2走が重賞で連続②着だった
トランセンド。単勝オッズは前者が2.9倍、後者が3.1倍。3番人気の
ダイシンオレンジが7.2倍だったから、
2頭が抜けた感じのオッズとなっていた。
くしくも、レースはその上位人気2頭がワンツーを果たしたが、結果から見れば、
トランセンドは
「これまで戦ってきた相手が違う」ということを
アピールするような勝利だった。
スタート。ハナを窺う素振りを見せた
ドリームライナー&
秋山騎手に対して一歩も引かず、
トランセンド&
藤田騎手は押してハナへ。3F目以降は
12.6-12.4-12.5-12.4-12.0-12.1-12.7と、平均12秒台前半のラップを刻み、②着
キングスエンブレム以下の追撃を封じてみせた。
後続を離しすぎず、引きつけ過ぎず。
藤田騎手のペース配分は絶妙だったと言えるし、
トランセンドは
逃げた時が①②②①着という成績だから、現状、これが
トランセンドの
勝ちパターン(力をフルに発揮できる競馬)ということだろう。
逃げた時に負けた相手も、
2走前の東海Sが
シルクメビウスであり、
前走の日本テレビ盃が
フリオーソである。いずれもダートG1で連対実績のある、いわば、現在の日本のダート戦線のピラミッドで頂点にランクされる2頭だ。
そういった
トップランクの馬たちと渡り合える勝ちパターンに持ち込めた時点で、今回の
勝率はグッと高まっていたのかもしれない。
一方、
キングスエンブレムは②着に敗れたものの、今回は
トランセンドに上手く乗られた印象もあり、悲観することはないだろう。今回は馬込みで我慢させ、脚を溜めて直線で弾けさせるという競馬を試み、それで好走できたことは、次走以降に向けて、
勝利と引き換えに得た収穫だったように思える。
半兄
ヴァーミリアンは5歳時に
川崎記念でG1初制覇を飾り、半兄
サカラートも重賞初制覇(
東海S)は5歳だった。
キングスエンブレムも5歳後半を迎えたいま、3連勝とはならなかったが、重賞で連続好走したように、
本格化したと見てもいいのではないか。
なお、今年新設されたこの
みやこSは、その前身が
トパーズSであり、その過去の連対馬には
タイムパラドックス、
エスポワールシチーといったのちのG1馬がいて、
シルクメビウスや
ヒシアトラスなどもG1で好走していた。いわゆる
出世レースとして見られなくもない。
冒頭では
実績馬や
好調馬が多く集まったと触れたが、出走馬16頭のうち、
ワンダースピード(8歳)、
クリーン(6歳)以外の14頭は3~5歳で、
「若手が多いなあ」とも感じていた。
トランセンド、
キングスエンブレムはまだG1の出走経験がないが、前記した
エスポワールシチー、
シルクメビウスらとともに、新世代のトップホースの一員として、ダート界を牽引していってほしいものだ。
ちなみに、JRAのホームページを見ると、
「『みやこ』は、その国の中央政府の所在地。日本では長く京都がその地であったため、京都のことを指して言うことが多い」と記されていた。
「なんで『みやこS』という名称なの?」と思ったが、それを読んでなるほどと。ただ、
『みやこS』という文字を見たり、聞いたりすると、どうしても
『ミヤコ蝶々』さんのことが連想されてしまって。その発想はおじさん世代がゆえなんでしょうか?(笑)