我慢を重ねるには、それが可能な条件と好調さも必要なのではないか
文/編集部
競馬に行くとテンションが上がっちゃうということは、よくある。いや、
馬ではなく、
馬券を買う人間の方の話です(笑)。
ウインズや競馬場に行った時が顕著で、当初は買う予定じゃなかった
午前中や
平場のレースに手を出し、終盤になって手持ちが少なくなり、買い目を絞り込んで挑んだら、抜けてガックリ……ということは、誰しも経験があることでしょう。
カップラーメンにお湯を注いで、
2分半ぐらいで「もういいかな」と思ってフタをめくったら、まだ早くて。それでも口に入れたら
麺がガチガチだった時も同様です。
「3分待て」と書いてあるのに、我慢ができない。あれはどうしてなんでしょう?
「どうせ待ちきれないんだから、メーカーはそれを見越して『4分待て』と書いてほしいよ」と言っている友人もいました。
無茶苦茶な話です(笑)。
ステイヤーズSを見ると、毎年、
『我慢が大事』って思うんですよね。3分30秒を超える長丁場のレースだからでしょうし、
師走なので、「今年の俺も…」という
反省モードになっているからかもしれません。
内で我慢に我慢を重ねて、最後の直線で伸び脚を見せて優勝する。そんなシーンを、この
ステイヤーズSでは何度も見てきた。
そして、今年も、
コスモヘレノスがそのようなレースで
重賞初制覇を果たしたわけだが、過去のこのレースで好走していた馬たちが先に動いて伸びを欠いたシーンを見て、
「我慢をするにも、それ相応の条件が必要なのではないか?」との思いもした。
ステイヤーズSは、近8年ではすべて
ひと桁馬番の馬が優勝していて、05年以降は
馬番6番以内の馬が6連勝。今年は、過去3年の優勝馬が出走していたが、
マキハタサイボーグと
エアジパングはふた桁馬番に入って
⑩着と
⑧着に敗れた(
フォゲッタブルは馬番4番で
⑤着)。
内枠の方が道中で他馬を前に置くことが容易になるので、我慢を利かせやすい。まして、小回りの中山で、長距離戦でもあるために、道中での隊列は崩れにくいのだから、内枠の方がレースはしやすいだろう。このことが
馬番6番以内の6連勝にもつながっているのだと思う。
ただ、
馬番4番ながら今年は
⑤着に敗れた
フォゲッタブルを見ると、内枠だったら何でも我慢できるかというと、そうでもない気もする。我慢を利かせるには、
自分自身がノッていないと難しい面もあるのではないか。
00年以降の
ステイヤーズS優勝馬は、10頭中9頭が
近3走以内に③着以内の好走歴があった(例外は07年の
マキハタサイボーグ)。ある程度の好調さがあるから長丁場のレースでもスタミナが切れない面があるのだろうし、騎手も我慢を利かせやすいのではないだろうか。
今年のメンバー中、近3走以内に③着以内があったのは
7頭で、そのうち
馬番6番以内だったのは、
コスモヘレノス、
ミッキーミラクル、
トウカイメロディの3頭。この点を考えれば、
コスモヘレノスの
単勝14.9倍は、けっこうついたと言えそうだ。
コスモヘレノスは
我慢できそうな条件が調い、近2走が
①着→
③着で
ノッている感じもあった。あとは
3600mを乗り切るスタミナがあるかどうかだったのだろうが、
有馬記念馬(父)と
凱旋門賞馬(母父)の配合馬らしく、3600mもまったく問題にしなかった。
我々もコスモヘレノスのようになりたいものだ。鮮やかに抜け出せなくても、せめて道中で我慢を利かせて、直線に向きたいもの。競馬場やウインズに行っても我慢を利かすには、
そうなれるような条件を作ることから始めてみるのがいいかもしれない。
例えば、午前中や平場のレースについては、
競馬新聞を持参しないとか。もしくは、あえて
書けないペンを持っていって、
マークシートを塗れないようにするとか。
マークシートを塗れない状態に陥って、
「そうか! 俺は平場戦はやらないつもりだったんだ!」と我に返るわけだ。他人が見たら、
何やってんだと思うでしょうけど、それぐらいの
荒療治も必要でしょう(笑)。
もちろん、ある程度の
好調さも重要であることが判明しているので、そちらの精進も心がけたい。
馬券の調子を上げるのはかなり至難の業だが、簡単そうであまりやっていないこととしては、
購入する馬券の種類を変えることがある。
「単」の付く馬券(3連単や馬単)から
「複」の付く馬券(3連複や馬連複)に変えたり、
ワイドに変更してみたり。
枠連なら
「代用」で的中する可能性もある。
当然、当たりやすい馬券にシフトすれば、好配当は得られにくくなるわけだが、
我慢を利かせて折り合いを付けるようにするのが目的だから、ここは目をつぶろう。競走馬だって、道中での折り合いを付けられるようにするために、調教では他馬を追い抜かない稽古をしたりするんですから。
こうして調子も上がり、我慢ができるようになっても、
いきなり動くのは危険なので避けたいものだ。
「よし、ここだ!」と思っても、そこはまだ
1周目のスタンド前だったりしますから(笑)。
我々が
コスモヘレノスのようになるには、
我慢に我慢を重ねて、
2周目でも
3周目でも
我慢して、それでも我慢して
日が暮れるまで我慢する。それくらいで丁度いいような気がします(笑)。