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少しずつの貯金がそのまま結果に反映された
文/浅田知広

今年の中央競馬開幕初日。さて皆さんは……、「いや、5日の水曜なんて仕事だよ」という方も多かろうが、こっそりPATで参戦された方、今年の出脚はいかがだっただろうか。

当方は14番人気馬を狙ったらハナ差の④着に泣いたり(中山7R)、その後ちょっと取り返したり。その後もいろいろあったが、結果としてはまずまずのスタートを切ることができた。

さて、好スタートを切りたいのは人も馬も同じ。差し馬などはそうとも言い切れないかもしれないが、メンバーを見渡すと先行型の揃った今年の中山金杯。しかも、外枠のほうに行きたいタイプが結構多く、いったいどんな展開になることやら、と、まず1コーナーまでの動きが注目された。

いざゲートが開くと、1番人気に推された内枠のコスモファントム出脚が良く、その内のキョウエイストームも悪くないスタート。一方、外枠の各馬は揃ってわずかに遅れ気味。道中で外々を回るロスは避けたいとばかりに、スタンド前で一気に前へ前へと殺到していった。

しかし、道中のコーナー4つで外を回らされるよりはマシとは言えど、1コーナーまで外から脚を使って先行すると終いが厳しくなるということか。終わってみれば、中~外枠から先行したグループが、③~⑦着あたりにずらり勢揃い、という結果になった。

そして勝ったのは、好発からいったん前を見る位置に控えたコスモファントム。そして②着は、コスモファントムの次にスタートが良く、道中はコスモファントムの直後で折り合いに専念していたキョウエイストームである。

まずスタートでコンマ1秒でも2秒でもリードを奪い、道中はまったく距離損のないラチ沿いを追走。なにせ「ゴール前横一線」が理想とされるハンデ戦、そんな少しずつの貯金がそのまま結果に反映されたレースだった、と言ってもいいだろう。

もちろん、いわゆる「外差し」の馬場なら内有利とも限らないし、馬によっては窮屈な競馬が苦手だったり、勝負どころで不利を受けるケースもある。

実際、今回も直線坂下でコスモファントムは進路を立て直し、その後ろにいたキョウエイストームも影響を受けてはいたが、脚と前にわずかな間隔があれば、なんとかなる時はなってしまうもの。特に、どうにも勝ち切れない競馬が続いていたコスモファントムにとって、この好スタート好騎乗は大きかったのではなかろうか。

振り返れば、この馬の重賞②着、③着が始まったのは、一昨年のラジオNIKKEI杯2歳S②着から。その時の勝ち馬ヴィクトワールピサ皐月賞有馬記念を勝ち、③着だったダノンシャンティNHKマイルCを制し、そして④着ヒルノダムール皐月賞②着。コスモファントムジャパンダートダービー(ダートJpn1)の②着があったとはいえ、上位を争った各馬とはやや差をつけられてしまった印象もあった。

しかし、今年はゲートもレース結果も「好スタート」。強い3歳世代、改め強い4歳世代の一角として、再びライバルたちと互角に戦う姿を見せてくれることを大いに期待したいところだ。

というわけで。中山金杯(と京都金杯)は好スタートを切った馬が先頭でゴールを駆け抜けたが、我々ファンの戦いは始まったばかり。好発を決めた方はぜひそのまま逃げ切りを、ちょっと出遅れを喫してしまった方はマクリや一気の差し切りを。特に今年は、3連単以上に一発逆転、ゴール前強襲の可能性があるWIN5(五重勝単勝式)導入も控えている。最後まで逆転可能な範囲内に渋太く食らいついていこうではないか。