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ハンデ差に悩み、ハンデ差があったからこそ、今後が楽しみになった
文/編集部、写真/森鷹史

これまでにウソ発見器にかけられたことはないが、もしかけられて、「正直、高齢馬が活躍する競馬には困っている?」と言われたら、「いいえ」と答えても反応が出てしまうだろうと思う(苦笑)。

いや、別に高齢馬が嫌いなわけではないし、むしろ、自分の年齢が競走馬における高齢馬の域に入っていることを自覚していますので、応援する気持ちも持っているつもりだが、それでもやっぱり、心の奥底では「若い馬たちが活躍する競馬の方が面白い」と思っている。そんな気がする。

今年の日経新春杯には6頭4歳馬が出走し、その6頭が1~6番人気に推され、結果、馬券圏内を独占した。

別に、2011年の競馬を明るいものにしようと思って出走してきたわけではないのだろうが、結果として、明け4歳勢の強さが証明され、古馬G1戦線の楽しみがさらに広がったと思う。堅い決着で馬券はハズレたが、それでもなんだか、次走以降を予想するのが楽しみになる感覚を覚えた

今回はハンデ戦であり、①着となったルーラーシップと③着に終わったローズキングダムの間には1.5kgの斤量差があった。ヒルノダムールルーラーシップ0.5kg差ローズキングダムとは2kgの差があり、今回の着順=各馬の序列ではないことは明白だ。

レース前は、このハンデ差をどう考えるかで悩んだが、終わってみれば、今回はハンデ戦であったからこそ、今後の楽しみがさらに広がったような気がする

ルーラーシップローズキングダムは、同斤量ならどっちが強いのか? ヴィクトワールピサエイシンフラッシュビッグウィークが加わったら、何が勝つのか? 4歳勢についてだけでも、話が尽きないだろう。

「混迷の政局」はつまんないけど、「混迷の古馬戦線」は楽しい。そんな情勢を作ってくれて、ありがとう。今年の明け4歳勢には厚く御礼を申し上げたい心境だ。

今回、2馬身差を付けて快勝したルーラーシップは、道中の感じを見ていたら、そんな差で勝つとは想像できなかった。

前走の有馬記念で出負けした影響か、今回はリスポリ騎手が少し出して行く感じで序盤を走り、1~2コーナーを回る頃は少し抑えきれない感じにも見えた。

それでいて外を回りながら早めに先頭に立ち、好結果を出していなかった距離で後続を寄せ付けなかったのだから、かなり力を付けているのだろう。

母のエアグルーヴオークス馬だが、4歳秋に天皇賞・秋を制し、ジャパンCでは4歳時と5歳時に②着になっている。その娘であるアドマイヤグルーヴは3歳秋と4歳秋にエリザベス女王杯を連覇。ルーラーシップ成長曲線も、これからが最高潮を迎えるのだろうと思う。

一方のローズキングダムは未知だった58kgを背負い、直線で内に入って他馬を捌くのに苦労をしていたから、ルーラーシップとの実力差が2馬身ではないことは誰もが承知するところだろう。

競馬に「タラレバ」は禁物と言うが、予想には「タラレバ」が必要で、「もし、ローズキングダムがもっとスムーズに捌けていたらルーラーシップとの差はどれくらいだったか?」、「さらに、斤量差が1kgとかだったらどうだったか?」ということに頭を巡らし、その想定を次走以降に活かしていくことが大切だと思う。あなたは、そのタラレバについて、どう思いますか?

タラレバを抜きにしても、ルーラーシップローズキングダムには、まだ課題が残されているだろう。

ルーラーシップは今回が5勝目だが、まだ一度も連勝がない。また、リスポリ騎手が母国に帰ってしまったら、鞍上が手替わりとなる。そのあたりがどう影響するか。

ローズキングダムは57kg以上の斤量を背負って突き抜けたことがなく、そのことは今回も継続されてしまった。母のローズバドは、斤量55kg以上だと勝ち鞍を挙げられない日々が続いたが、5歳時のマーメイドSでそれを克服した(56kgで優勝)。ローズキングダムも、母と同じ道を歩めるだろうか。

今年で58回目を迎えた日経新春杯は、過去を振り返ると堅い決着が少なく、上位③着までを1~3番人気が占めたのは、77年の第24回以来、実に34年ぶりとのこと。

おそらく今年は、日経新春杯の歴史において例外の年だろうとは思うが、だからこそ、いろいろな楽しみが広がったレースだったように思う。やっぱり、4歳馬が強い年の競馬は面白い