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「京都ダ1800mの白鵬」からの脱却は果汁100%のオレンジとなった時!?
文/編集部、写真/森鷹史

1番マチカネニホンバレ…548kg(+4)、2番タマモクリエイト…516kg(+4)、3番ダイシンオレンジ…502kg(+2)、4番バトードール…518kg(-2)、5番メイショウシャフト…540kg(+10)…パドックで周回する出走馬を見ていて思わず、「幕内の土俵入りみたい(笑)」と感じてしまった。

出走馬16頭のうち、馬体重が500kgを超えていたのは10頭。もっとも軽かったピイラニハイウェイ(468kg)を除けば、15頭が480kg以上だったから、ダート重賞らしいと言っていいのかどうかは分からないが、とにかく大型馬が集まった1戦だった。

その中でもっとも大きかったのが、1番人気に推されていたマチカネニホンバレ(548kg)。内枠に入った馬が好走することの多い平安Sだけに、好枠を引いたかに思えたが、直線で弾け切れず⑤着に敗れた。好位の内で揉まれる展開がこたえたのか、それとも、自己最多馬体重で重め残りだったのだろうか。

一方、単勝2.7倍の1番人気だったマチカネニホンバレに対し、2.8倍の2番人気と、オッズで肉薄するまでに至っていたダイシンオレンジは、発馬こそひと息だったが、二の脚を利かせて好位の外に身を置き、手応え良く追走していた。

直線入口でトーホウオルビスを交わして早々と先頭に立つと、後続を一気に引き離しにかかる。レースの残り1Fは13秒0で、最後は脚色が鈍った感じのダイシンオレンジだったが、直線で外から競り合いながら追い込んで来たインバルコサクラロミオの追撃を凌ぎ、復活の勝利を挙げることとなった。

ダイシンオレンジの手綱を取った川田騎手は、この平安Sがちょうど「JRA通算400勝」という区切りの勝利となったようだが、キャプテントゥーレ皐月賞しかり、ビッグウィーク菊花賞しかり。らしい強気の早めスパートだったと言えるだろう(最終レースではアナモリで直線一気を決めていたけど)。

その川田騎手のアクションに応えたダイシンオレンジも見事。前2走は休み明けから⑪着⑧着と掲示板外に敗れていたが、ダートでは3戦続けて馬券圏外になったことがなかった馬で、また、今回は得意の京都ダ1800mに替わったこともあり、鮮やかに変わり身を見せた

この平安Sの勝利により、ダイシンオレンジの京都ダ1800m成績は[5.2.2.1]となった。同コースで10戦して複勝率90%ということは、ひと場所で1敗するかしかないの白鵬くらいの安定感でしょう。

ただ、中央のダートG1が東京ダ1600m(フェブラリーS)と阪神ダ1800m(ジャパンCダート)で行われ、地方交流G1を展望するにあたっては、「京都ダ1800mの白鵬」から脱却しなければならない。果たして、ダイシンオレンジにはそれが可能なのか。

ダイシンオレンジはアグネスデジタル産駒だが、同産駒の中央での平地重賞はこの平安Sで8勝目。そのうち6勝は3~4歳時に挙げていて、5歳以上となると、ダイシンオレンジアンタレスS(10年)と今回の平安Sに限られる。

また、ダイシンオレンジは母父がラシアンルーブルだが、母父ラシアンルーブルの産駒にはハギノハイグレイドホーマンベルウィングランドシンザンなど、7歳以上でOPクラスで好走していた馬がいたりする。

というわけで、ダイシンオレンジの血統構成から言えば、この後のキャリアでまた、山の時期が来ると思えてならないし、今回はまだ、果汁70~80%くらいのオレンジではないかと(笑)。

ダイシンオレンジは果汁100%のオレンジとなった時に、「京都ダ1800mの白鵬」から脱却しているはず。そう思いながら、今後のダイシンオレンジのキャリアを見つめていきたい。